小泉純一郎元首相の人気は、いまだに根強い。「次の首相にふさわしい政治家は?」というマスコミの調査で、必ずといっていいほど上位に名前が登場するほどだ。
小泉氏の政治手法は「改革か否か」というふうに二者択一的な選択を熱狂的に迫るのが特徴だった。分かりやすさが受ける一方で、問題を単純化する危うさも指摘された。
反小泉論者の一人として知られる北海道大大学院の山口二郎教授が、先日の本紙に掲載された評論でこんな見立てをしていた。「たとえは悪いが、小泉氏は自民党にとっての覚せい剤であった」というものだ。
理由は、これを使った当座は元気になったような錯覚に陥る。改革という意味不明の言葉を振り回せば何かをしているような気分になれた。しかし、これに依存してしまうと体はぼろぼろになる、という手厳しい内容だった。
規制緩和を重視した小泉氏の構造改革路線の評価は分かれる。きょう告示される自民党の総裁選は、小泉政権以降の構造改革路線の是非も争点になりそうだ。
小泉氏の考えに近い人、距離を置く人など少なくとも五人の出馬が予想される。にぎやかな選挙戦で自民党の支持率回復を狙う思惑が透けて見えるが、果たして小泉改革は覚せい剤だったのか、冷静に総括する必要があるのではないか。