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< 中絶手術と産婦人科医の葛藤 | メイン | やさしい患者さんを助けたい >
2008.06.23 18:27 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 23

臍帯血に思うこと

お産の時に、臍帯血(胎盤と臍帯に残った血液)を採ることによって、

白血病のような重い血液疾患の治療に使うことができます。

臍帯血の採取・管理・供給をしている「臍帯血バンク」という事業があります。

臍帯血に関わっている方たちのお話です。

 

<臍帯血をバンクから全国各地に運んでいる人>

飛行機で臍帯血を運ぶ際、優先搭乗・優先降機になるそうです。

空港でも非常に細やかな配慮を受け、

航空会社の方々の臍帯血に対するご理解とご好意に、感謝するばかりです。

臍帯血の到着を待っていた血液内科の先生から

「血内も医者が足りません。患者さんの傍を離れられない中、届けて下さって、

 本当に助かります」

と感謝されたこともあるそうです。

「この仕事は、生命と善意のリレーです」。

ずっと年長の方の、輝く言葉でした。

 

<元患者さん>

白血病の治療は、非常に厳しいものです。

ひどい倦怠感、吐き気と嘔吐、全脱毛、精神的苦痛。

そんな中、「適合する臍帯血が見つかった」と聞いて

これで地獄から解放される、という思いと

提供してくれた妊婦さんに対する感謝だけで、精一杯だったそうです。

臍帯血移植を受け、元気を取り戻してから改めて、

臍帯血を提供してくれた妊婦さんだけではなく、

採血した産婦人科医や、臍帯血バンクの人たちの存在に気づき、

感謝の気持ちを伝えたいのだ、とおっしゃっていました。

元患者さんの言葉です。

「私には2回誕生日があります。

ひとつは本来の誕生日、もうひとつは臍帯血移植を受けた日です。」

 

<採血協力病院の産婦人科医>

「当直が何日も続いて、夜中に何件もお産があると、正直きついな、と思うことはあります。

でもそんな時に、臍帯血提供希望の妊婦さんのお産があると

”よし、頑張ろう!”という気持ちになります」

そうそう、そうなんですよねー。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「こんなご時勢に善意でやっている産婦人科には、しかるべき報酬が支払われるべきだ」

と言って頂くこともあります。

嬉しい評価です。

でも、不思議と何もほしくないのです。

ボランティアの何たるかが、ちょっとだけ理解できたのかも知れません。

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新しい命が別の命を救うこと
みなさん、臍帯血バンクってご存知ですか? 赤ちゃんが生まれた時に、胎盤と臍帯(へその緒)から採った血液で、白血病などの重い血液疾患の患者さんを救う事ができるんです。 提供者には骨髄提供の様な負... [続きを読む]
posted from わんこの日記 2008.06.26 21:56

コメント

コメント一覧

臍帯血バンク普及するといいですよね。
私は二人目の時に申し出たのですが、帝王切開だとやらなきゃいけない手技が増えることで出血が多くなる危険もあるからと止められました。
う〜〜ん、ハイリスク妊婦だったからなあ。
いまだに残念です。
もう妊娠の予定は無いしあれは1回だけのチャンスだったのに〜って今も思ってます。(笑
written by 沼地 / 2008.06.23 21:47
なな先生、いつもいいお話ありがとうございます。

日本では臍帯血提供希望の妊婦さんが出産されると、産科の先生は、何か大変な作業、ペーパーワークがあるのですか?
アメリカでは、出産後、臍帯から採血して、スピッツにいれて、あとは、胎盤ごと、いつのまにか、どこかに運ばれていましたので、医師サイドは、ほとんど何もしていなかった気がします。

日本では、臍帯血を提供したくても、出来る病院が限られていて、しかも、某国立病院では、出産費用と一緒に、胎盤処理料を別途3500円請求しています。

命を救える可能性があるものを捨てるのに、お金がかかる、これって、変ですよね。
written by R3 resident / 2008.06.23 23:32
なな先生、ご無沙汰しています。
でも、毎回記事は読ませてもらっていましたよ。

臍帯血は、確か、本田美奈子.さんも移植されたのではなかったでしょうか? 少し前に、有名な作詞家の先生と彼女とのの病院内でのボイスレコーダーのやり取りの特集番組を見て、一人でいろいろと考えさせられました。

今回のお話もとても心が温まりました。最近、自分の病気の事で疲れてしまって、気持ちが沈んでいますが、頑張ろう思います。ありがとうございました。

これからも素敵なお話を楽しみにしています。
written by バリ島 / 2008.06.24 00:22
なな先生、おはようございます。

コメントは久しぶりですが、ずっと寄らせて頂いていました。
臍帯血バンク普及するといいですね。

>「この仕事は、生命と善意のリレーです」
いいお言葉です。

そうそう、先生にご報告。
私の父ですが、ここしばらく輸血していないそうです。
MDSも一休みみたいです。
written by わんこ / 2008.06.24 04:45
沼地先生、こんにちは。

臍帯血提供希望妊婦さんだったんですね。
それだけで嬉しい気持ちです。
確かに帝王切開の時の方が、止血操作に気をつけながら採血するので
帝王切開の理由によっては、採血が難しいことはあります。
他にもコストやマンパワーの壁があったり、
妊婦さんの善意を生かしきれてないのが現状です。

でも幸いにして、最近は増加傾向にあります。
骨髄移植に比べて、提供に伴うリスクがないに等しいことと、
レシピエント側にとっても、移植後の皮膚症状が少ないなど、メリットは多大です。
私の目がくろいうちは、頑張りますよ~(笑)

written by なな / 2008.06.24 08:20
R3 resident先生、こんにちは。

いいお話でしょう(笑)。
ちょっとマニアックなお話ですが、私の身の回りだけに留めておくのは勿体ないので
ここに書いてみました。

日本でも、臍帯血採血に伴う医師の仕事はほとんどありません。
母親学級と外来で説明することと、
お産の時に輸血バックに採血して封をして、
重さを計ってラベル貼って、書類書いておしまいです。

捨てちゃうものから採って、誰かの命が助かるのですから、
もっともっと普及してほしいところです。
written by なな / 2008.06.24 08:28
 おはようございます。
そうなんですね。
いつも思うのですが”捨てちゃうもの”を有効活用してみようと考え付く人って素敵だなぁ。・。・。・

私のお産の時は全部冷凍されて業者さんがまとめて取りに来ていましたね。研究用だったのかな。
研究に役立ったのなら良しとしようかな。

職場にも白血病と闘っているケアマネジャーがいます。
毎月の検査の後は「今月も大丈夫だったぁ。」と、
生きていることを実感させてくれています。
そうそう、私も今生きていることが不思議な人なのでした。
さっ今日もがんばろう。
written by ぴょん / 2008.06.24 08:43
>お産の時に輸血バックに採血して封をして、
重さを計ってラベル貼って、書類書いておしまいです。

わ~たったそれだけのことだったんですか?
やっぱもったいないことしちゃった。(笑
看護婦さんがやっちゃダメなのかな?

私の場合は子どもが出た時点で麻酔科の先生が後は眠っとく?って聞いてくださったので、ありがたく眠らせていただいてその後執刀医が手を離せなかったかどうかは知りません。

いろんな意味で人手が増えて欲しいですよね。
written by 沼地 / 2008.06.24 10:25
なな先生、こんにちは。

>でもそんな時に、臍帯血提供希望の妊婦さんのお産があると


臍帯血提供って、自分から申し出て希望するものなのですか?
実は私も臍帯血を提供したのですが、臍帯血提供の同意書を助産師さんから分娩台の上で渡され(!)、「サインして貰えますか?」と。A4の紙一杯に細かい字で書かれた同意書をお産の真っ最中に熟読できるはずもなく、陣痛と陣痛との合間にヒイヒイ言いながらサイン致しました(笑)。

コメント欄を拝読していると、研究試料用の提供という可能性も有り得るようですね。もしかして私の臍帯血は研究用にまわされたのかも知れません・・。何にしろ役立てて頂ければ嬉しいのですが、自分からお産の前にしっかり確認しておけば良かった。反省至極です。もし2人目を授かったら、次こそは出産前に希望を申し出てみたいです。一つ良い勉強ができました。有難うございました。
written by みどり / 2008.06.24 11:23
なな先生こんにちは。お仕事お疲れ様です。血液・腫瘍グループで仕事をしたのははるか昔研修医のときだけですが、赤ちゃんから中学生まで病気や薬の副作用と一生懸命戦っていました。そんな子供たちををみて以前骨髄バンクのドナー登録していました。しかし、9年ぐらい登録していてもマッチする人がいませんでした(血液グループを率いている上司はドナー登録してから十数年たっても、お声がかからないらしいです)。今回妊娠を期に臍帯血を提供したいと思いましたが、私のいる県ではできませんでした。技術があってもいろいろなコストや人員の問題からいろんな病院ではできないようですね。私の研修医の頃からすると移植も格段に予後が改善してきています。臍帯血で助かるのなら、二重の喜びでこんな嬉しいことはないですよね。
written by piyo / 2008.06.24 17:24
もう少し前からこの治療法があったら、私にも3人の白血病患者さんを救えたのかも知れません。残念。

一回のお産で新しい生命が生まれ、その上もうひとつの命が第2の誕生日を迎えるって、すごいですね。
産婦人科ならでは!先生の張り切りようが伝わってきて、元気もらっちゃいました。
written by ぐー / 2008.06.24 17:27
バリ島さん、こんにちは。
梅雨らしい日が続いています。お身体の調子は如何ですか。

本田美奈子さんのお話は、初めて知りました。
そうだったのですね。
秋篠宮紀子様がお産の時に、臍帯血をご提供下さったことは
お聞きしていました。
臍帯血事業に加わることによって、
私自身も、日常の産婦人科医の仕事とはまたちがったものを学びました。
written by なな / 2008.06.25 05:56
わんこさん、こんにちは。
お父様、本当によかったですね。
わんこさんのお父様思いのお気持ちを感じるひと言です。

いい言葉でしょう。
長年この仕事に携わっている方がおっしゃった、重みのある言葉です。

written by なな / 2008.06.25 06:02
沼地先生、こんにちは。

軌道に乗り始めたら、至ってシンプルな仕事なんですよ。
ただ、臍帯血の質を確保するためには、量を採らなければならないので
それなりのコツや、設備が要るのですが、
病院によっては、助産師が採血しているところもあるそうです。

マンパワーが例えば倍に増えたら、医療も劇的に変わるのではないでしょうか
……と、夢のようなことを考えてしまいました(笑)。
written by なな / 2008.06.25 06:06
ぴょん先生、こんにちは。

捨てちゃうものを活かそう、という発想は素敵ですよね。
臍帯血はその中でもさらにすごいと思うのですが、欲目でしょうか(笑)。
研究用の臍帯血も、なくてはならないものです。
臍帯血にも輸血並みの制限があって、
ある時期にイギリスへの渡航歴があると治療には使えなかったりと、
なかなか大変です。

今日も頑張りますよ〜。
written by なな / 2008.06.25 06:12
みどりさん、こんにちは。
臍帯血のにご関心を寄せて下さって、ありがとうございます。

臍帯血も献血と同じで、提供して下さる方の善意によるものです。
多くの採血協力病院では、母親学級で一度まとめて説明して、
お産が近づいて来た頃に、外来で個々の妊婦さんに再度説明しているようです。
陣痛の合間の書類サイン、たまに緊急帝王切開の時にやらざるを得ないことがありますが、
妊婦さんは本当に大変そうで、こちらも忍びない思いです。
みどりさん、大変でしたね。

きちんと採血できれば、人一人の生命を救うことができますので
機会がありましたら、是非ご協力お願いします。

written by なな / 2008.06.25 06:18
piyo先生、こんにちは。

そうなんですよね。日本ではまだまだ提供てきる病院が限られているのです。
臍帯血事業に関わる人、みんなすこぶるやる気がありますので、
本当にコストの問題だけなのです。
コストがかけられれば、マンパワーも補充できるのに。
お国も、こういうところにお金をかけてくれないのかなと、とつくづく思います。

>臍帯血で助かるのなら、二重の喜びでこんな嬉しいことはないですよね。

こう言って頂けると、本当に嬉しいです〜
written by なな / 2008.06.25 06:26
ぐーさん、こんにちは。

>一回のお産で新しい生命が生まれ、その上もうひとつの命が第2の誕生日を迎える

素晴しいメッセージです!
次回から母親学級で使わせて頂きます。
ありがとうございます。

ところで張り切っているの、わかりました?(笑)

written by なな / 2008.06.25 06:29
なな先生、初めまして。
最近からブログを拝見させて頂いてます。

もう、7年前になりますが、息子を緊急帝王切開で出産しております。
その時のエピソードは、今回の話題から外れてしまうので割愛しますが、退院の前日に胎盤を見せてもらったのと、臍帯血移植のパンフレットを発見して「もっと早く知っていれば!」と悔しい思いをしました。

何も知らなければいらないものになってしまう物が役立つなんて、素晴らしい事だと思います。
次のお産の時には、ぜひとも臍帯血移植を希望しようと思っています。
written by 月桃 / 2008.06.25 09:38
なな先生、はじめまして。
先生の書かれる記事は興味深く、いつも楽しみにしております。

今回は、臍帯血について取り上げていただき、ありがとうございます。
実はわたし、かつて臍帯血の分離・保存の仕事に携わっておりました。
当時、当直医の先生に上手な方がいらしたのか、夜中の分娩にもかかわらず、たっぷり採血してくださる施設がありました。(その頃は現在より容量の基準が低かったのです)
それが一晩何個もあったり、時には分娩時間もほぼ立て続けになっていることさえありました。
ずっしり重い血液バッグを手に取るたび、真夜中に奮闘してくれた産科のスタッフの皆様には、頭の下がる思いでいっぱいでした。
今回、なな先生はじめ採取される先生方の気持ちがわかり、とても嬉しくなりました。

なな先生、これからも「はじめてのプレゼント」のお手伝い、よろしくお願いします(^-^)
written by もちもち。 / 2008.06.25 12:52
臍帯血バンク提携病院の産婦人科で勤務していました。
提供率は分娩件数(年間600件)の約半数でした。
自分の出産の時にも当然、提供しようと思っていました。
しかし、他県に嫁いだら臍帯血バンク提携病院が
ほとんどありませんでした。
提供したくともどうにもできません。
臍帯血提供は、骨髄提供に比べればはるかに楽で安全な
ものです。全国への普及を望みます。
written by ごん / 2008.06.25 16:14
すみません。先程の私のコメントで修正です。

>臍帯血移植
臍帯血提供 です。

失礼致しました。
written by 月桃 / 2008.06.25 17:51
月桃さん、こんにちは。
最初から見て下さっている方がいらっしゃるなんて、感激です(笑)。

臍帯血は普及しつつあります。
これから妊娠をお考えの方が興味を持って下さることは、
本当に嬉しいことです。
先日も、2回目の帝王切開の方の臍帯血を頂戴しました。
その時は是非、よろしくお願いします。
written by なな / 2008.06.26 08:15
もちもち。さん、こんにちは。
何だか仲間に出会ったような気持ちです(笑)。

分離保存に関わっているスタッフも、大変ですよね。
一端作業を始めると、2時間はかかり切りになるのだそうですね。
夕方、同じような時間にいくつも運ばれてくると、
嬉しいながらも大変だというお話もお聞きしています。

採るのは夜中でも、心弾みますよ(笑)。
150mlとか採れると翌朝までルンルンになったり、
逆に採れなかった時は「採れなくてもがっかりしないのが、頑張れるコツ!」と自分を励ましたり。
回収を待つだけになった採血バックには、生命が宿っているような感覚になります。
骨髄移植が自然に役割を終えられるくらいまで臍帯血が普及するのが、私の夢です。

PCの向こうで見守っていてくれる方の存在に、パワーをもらいました。
ありがとうございます。
written by なな / 2008.06.26 08:24
ごん先生、こんにちは。

普及しつつある臍帯血ですが、まだまだなんですよね。
ある程度の分娩数のある病院でないとルティンワークに乗せられないし、
予算は限られているし。
でも、実績が上がれば予算も増えてくると思うので、
着実に結果を積めるように、頑張ります。

現役を引退したら、臍帯血を全国に運ぶ係に雇ってもらおうかな、なんて思っています(笑)。
written by なな / 2008.06.26 08:30
なな先生 お久しぶりです。
臍帯血のこと、こんなに大事に思ってくださってて嬉しく思いました。

私の母は4年前、臍帯血バンクでやっとドナーがみつかり移植をしました。
小さな小さな臍帯血が
大事にクール航空便で運ばれることをそのとき知りました。
そして、臍帯血を行っている病院の少なさに驚きました。

そんな中で、適合するなんて、
提供してくださった産婦さんに本当に感謝しました。

けれど、費用はかかりました。保険適応外でもあります。
でも、それだけの手間がかかっているので仕方ありません。
残念ながら、母の移植は成功しませんでしたが
あの時、母に少しでも生きる希望を与えてくれた臍帯血バンクに
本当に本当に感謝しています。

そして、臍帯血提供できる病院の普及を願ってやみません。
written by ジェイク / 2008.06.27 00:14
ジェイクさん、こんにちは。

お母様が臍帯血移植をお受けになったのですか。
移植を受けたご家族の方のお気持ちは、初めてお聞きしました。
心に響きます。
一人の方に、生きる希望を持って頂くことができたなんて、
間接的に、でもとても報われた気持ちです。

保険の問題も重要ですね。
何でもそうですが、保険適用が認められるまでには、時間がかかります。
臍帯血関係者、みんな仲が良いのですよ(笑)。
ひとつのファミリーみたいになっていて、それぞれの役割を頑張ってこなしています。
私はせっせと協力を呼びかけて採血する係ですが、
保険の問題等を国に交渉する立場の人が、きっと頑張ってくれます。
written by なな / 2008.06.27 06:23
 やや遅いレスですが…(そしてなな先生には釈迦に説法かも知れませんが、他の一般の方へ伝えたくて)
 臍帯血の採取法を確立したのは当科の先輩で、日本初の造血幹細胞も当科のものが使われたのはご存じの通りです(当方の素性はなな先生にだけメールアドレスから分かると思います)。
 しかしその事業に対して、国も自治体もまともな援助をせず、したらしたで一部の大学が学閥で微々たる予算をせしめてしまい、その管理能力は低く妊婦さんの行為を無にする使えない血液の山。
 マスコミは移植に成功した旧帝大の血液内科は賞賛しても、その臍帯血がどこから来たかは報道せずむしろ格好の餌食として叩きやすい単科医大は叩き放題。結局、そのとある地域での事業は完全赤字事業のために撤退を強要されてしまいました。今も続いているのは広い地方のなかである県の一部地域のみです。
 そのうちに「バンク」ではなく、「自分の子供自身」のためだけに造血幹細胞を集める保存業者の方が普及しだしてしまいました。関東の一部や協力的な(余裕のある)全国のごくわずかな病院以外で臍帯血バンクが普及しなかったのは間違っても医者の側の問題ではなく、行政の失策です。業者のビジネスそのものは特に罪はないと思いますが、その技術を開発した(特許などはありません)側として、先人の少しでも貢献したかった思いを結局ビジネスに利用されるだけに終わらせた行政の無策、一部学閥の愚かさ、マスコミの無知の罪を思い返すと慚愧の念に堪えません。後輩でこうなんですから、先輩たちの無念さときたら…

 でも、理想は失いたくない。そんな人間でなきゃ、こんな現状で「産科医」を名乗り続けるなんて、バカなことはできませんよ、ね?
written by 産科医 / 2008.06.30 11:32
産科医先生、こんにちは。

そんな経緯があったのですか。
恥ずかしながら、初めて知りました。
貴重なお話を、ありがとうございます。
また一人の科学者として、誇りある業績が思わぬ方向に持って行かれてしまった無念は
よく理解できます。

でも、先生方のご尽力は、決して無駄にはなっていません。
臍帯血移植は増加の一途を辿っており、とうとう骨髄移植の件数を上回ったそうです。
素晴らしいことだと思いませんか。

メディアが報道しないことを綴っていくのも、ブログのひとつの役割だと思っています。
先生が寄せて下さったコメントは、多くの方がご覧になっています。
ありがとうございました。

末文、心から共感します。
臍帯血に携わっていることは、私の誇りです。
written by なな / 2008.07.01 08:20
なな先生、しばらく前から日記拝見してます。
なな先生の優しい目線と産科医療の日常に、日々新たなことを発見し、コメントも毎日読んでは感心しています。
ほんとうに、激務の中ご自分のお仕事に真摯に向かい合われていることがよくわかり、頭が下がる思いです。・・・自分が妊婦だから、というのは大きいと思います。
そういうわけで、せめて自分にできないことはないか。
と思い、臍帯血について調べてみましたが、現在私が通っている病院では採取を行っていないようです・・・。
残念です。

臍帯血のシステムが普及しないのは行政の失策、との産科医先生のコメントを拝見しました。このことに限らず、行政の矛盾がたくさんあることを最近多く感じています。なにか、自分にできることはないか。最近、ときどき思ったりします。まとまりがなくなってしまいました、ごめんなさい。

なな先生、あまりがんばりすぎないことによって、結果的には多くの患者さんを支えてあげてくださいませ。
なにもできませんが応援しています。
written by みんみん / 2008.07.01 16:21
ところで・・・・
内容が不適切になりそうなので、コメントを分けました。もちろんなな先生のご判断で本コメントを削除してください。(勝手なことを申し上げてしまい、あらかじめお詫びさせていただきます。)
上でも申し上げましたように、現在妊娠中です。
私、横浜市南部に住んでいますが、距離的になな先生にお産を見ていただける可能性ってありますでしょうか?(当然ですが)なな先生の勤務地が想像もつかなくて、でも、ブログを拝見して、できたらなな先生に見ていただけないかと思う気持ちが抑えられず・・・・。こんな質問、ブログでされたらたぶん、ご迷惑でしょう・・・申し訳ありません。が、どうしてもお伺いしてみないとずっと心残りになるような気がしたので書いてしまいました。ほんとに、すみません。
written by みんみん / 2008.07.01 16:35
臍帯血を頂いて移植する側です。
日本ではすごく盛んです。
ななさんのような先生方のおかげっす。感謝感謝
written by 立木 志摩夫 / 2008.07.02 01:14
みんみんさん、こんにちは。
温かいメッセージをありがとうございます。

妊婦さんなんですね。
臍帯血のお話に妊婦さんが興味を持って下さることは、
とても嬉しく、励みになります。
お通いの病院が臍帯血を取り扱っていないのは残念ですが、
みんみんさんにも協力して頂けることがあります。
是非そこの病院で「臍帯血は献血できないんですか?」と
ひと言聞いてみて下さい。
私が臍帯血導入に関わった時に、背中を押してくれたのが
妊婦さんからの提供の申し入れが、何回もあることでした。

さて2つ目のコメントですが、
嬉しくて照れくさくてたまりません(笑)
どこかに書きましたが
「先生にお産を取ってほしい」というのは、産婦人科医にとっては殺し文句です。

でも、本物の私を見てがっかりなさる姿を見たくないです~~(苦笑)
それから、ここのコメント欄にもよく産婦人科医の同志が投稿してくれるのですが、
びっくりするほど、皆同じ気持ちです。
今の時代に現場に残っている産科医は、みんな心がありますよ。

2年近くブログをやっていますが、みんみんさんのように言って頂いたことは初めてでした。
一生の記念です(笑)。
ありがとうございました。
また、遊びに来て下さいね。
written by なな / 2008.07.02 08:34
立木 志摩夫先生、こんにちは。

先生、移植をなさっているのですね。
大事に採った臍帯血を託す血内の先生方は、
我々にとっても大切な存在です。
>感謝感謝
こう言って頂けるなんて、最高です!
written by なな / 2008.07.02 08:37
なな先生、
お返事ありがとうございました。
臍帯血の件ですが、了解です。提供を申し入れてみます。実際にかなわなくても。

二つ目の件ですが・・・・
かなり本気で熱望していたのですが・・・・・
残念ですが、しかたがないですね。
うーん、なな先生はどこにいらっしゃるのだろう・・・
written by みんみん / 2008.07.03 09:34
なな先生こんにちは。

6月初め予定日当日に娘が誕生しました。2300gと小さめでしたが今は元気に母乳を飲んで随分と重たくなりました。

私も臍帯血提供したくてネットで色々調べたのですが、県で一番大きな県立病院でしたが採血は行われておらず、残念ながら提供できませんでした。
出産後、胎盤が黒い袋に入れられていくのをじーっと見て、もったいないなあと思ってしまいました。

ドナー側にもレシピエント側にもやさしい臍帯血、
人生で何回もできないことだけど、我が子の誕生と一緒に何処かで生きたいと切望する誰かの新しい人生に出会えるかもしれないのです。
いいこといっぱい。
いつか次の子を授かったら、今度こそ提供できるところで出産したいです。

どうしたら普及するのでしょうか。一妊産婦が声を挙げるだけでは動かない問題ですが、何かできないか考えてみようと思います。
written by まな / 2008.07.03 21:49
みんみんさん、重ねてのコメントをありがとうございます。

>なな先生はどこにいらっしゃるのだろう・・・

多分、日本中にいると思います(笑)。
生き残っている産科医、みんな同じような感じです。


written by なな / 2008.07.04 07:45
まなさん、こんにちは。

>我が子の誕生と一緒に何処かで生きたいと切望する誰かの新しい人生に出会えるかもしれないのです。

素敵な言葉です。
ここに置いておくのだけでは勿体ないですね。
こんなふうに言って頂けると、「さあ、もっと頑張って普及に努めよう!」と思います。
一人一人にできることは限られていますが、
機会があったら臍帯血のことを話題に出して下さるだけでも、
充分パワーにつながります。
全国の妊婦さんの善意がひとつの大きな柱になって、
これまで不治の病だった血液疾患が不治の病でなくなっていく・・・
そんな現象を思い浮かべると、ぞくっとします(笑)。

産後1か月、授乳で大変な時期ですね。
お身体を大切になさって下さい。
臍帯血に興味を持って下さって、ありがとうございます。
written by なな / 2008.07.04 07:56
こんにちは。初めてコメントさせていただきます。臍帯血をバンクに受け取りに行ったとき、液体窒素の容器の重さにびっくりしたことを思い出しました。患者さんのお父さんも一緒に行ったのですが、2人で交替で持ち運んだのを思い出します。飛行機も優先搭乗させていただいて、容器の座席の前後は、空席にしていただきました。シートベルトを延長してしっかり固定しましたが、周りのお客さんは不思議そうに見ていましたね。
written by 元小児科医 / 2008.07.05 09:38
元小児科医先生、こんにちは。

臍帯血の運搬は大変だそうですね。
小柄な女性には厳しいだろうとお聞きしました。
本来、先生や患者さんのお父さんの仕事ではないと思う一方で、
そうやって患者さんのご家族と、患者さんのために力を併せる作業も
きっとまた楽しいんだろうな、と思いました。
written by なな / 2008.07.05 14:59

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