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戦場に向かうような気持ちで、手術に入ることがあります。
麻紀さん(仮名)は、前回帝王切開、前置胎盤の妊婦さん、
あの福島県立大野病院事件でお亡くなりになった妊婦さんと、同じ状態の方です。
考えられる範囲で、あらゆる準備をしました。
術者は私ですが、助手には産婦人科部長に入ってもらいます。
麻酔科の先生にも、よくよくご相談しておきました。
そして、麻紀さんとご主人にも、厳しい説明をしました。
前置胎盤で、通常の帝王切開より出血が多くなる可能性のあること。
もしかしたら、癒着胎盤である可能性があること。
場合によっては、子宮を取らないとならないかも知れないこと。
そして、麻紀さんと同じ状態の妊婦さんで、お亡くなりになった例があること。
私の話を静かにお聞きになっている麻紀さんご夫婦は、何と福島事件をご存知でした。
当然のことながら子宮温存を強くご希望されつつ、
万が一の場合は子宮全摘もやむを得ないということを、ご理解下さいました。
手術は、午後からでした。
午前の外来が終わってから、お昼を食べる時間はあったのですが、
緊張のあまり、何も喉を通りそうにありません。
レモンボルビックをひと口だけ飲んで、手術室に向かいました。
幸いなことに、物々しい準備や、皆の厳粛な覚悟をよそに、
あっけなく胎盤は剥がれ、ほどなく止血し、無事に手術は終了しました。
全身の力が、抜けます。
手術室の前で、ご主人が緊張した面持ちでお待ちになっていました。
無事手術は終了し、輸血もせず子宮も取らずに済んだことを説明し、
「もう一人いけますよ」と言い添えると、
ご主人は涙されていました。
麻紀さんの乗ったストレッチャーを引いて、病棟に帰る途中のことです。
新生児室で先に赤ちゃんと会ったご主人が、麻紀さんに話しかけます。
「赤ちゃん、かわいいぞ。なあ、ほんっっとに赤ちゃん、かわいいぞ。
俺、チューしちゃおうかと思ったもん」
麻紀さんもナースも私も、一斉に笑い出します。
産婦人科医として、至福の時です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
手術が無事にできたのも、過剰なくらい厳重な準備ができたためだと思っています。
これも、大野病院事件という、苦くも貴重な前例があったおかげです。
あの事件がなかったら、あそこまでの準備はできなかったでしょう。
しかし、あの事件の顛末と昨今の状況を見ると、
この手術に入る前に、場合によっては刑事罰もあり得るだろうと、
覚悟せずにはいられませんでした。
今まで苦労してきた若い麻紀さんに、是非とも幸せになってほしいし、
そんな麻紀さんとご主人のために、子宮を残す努力をぎりぎりまで頑張るつもりでした。
それができなければ、医者ではありません。
しかし、どこまで頑張っていいものか。
きちんと見極められるのだろうか。
結果が悪かったら、書類送検ぐらいはされるんだろうな。
そう、思っていました。
帝王切開の前に、緊張しながらもそんとなことが思い浮かんでしまう現実が
ちょっと悲しくなりました。
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コメント
コメント一覧
これほどの緊張感の中で
どこまでも真摯にお仕事に取り組まれている先生を
心から尊敬しています
それにしても
『チューしちゃおうかと思った』ってご主人の発言
素敵~(^0^)
先生、連休中は少しはお休みできていますか・・・?
先生自身のプライベートも
どうか大切になさって下さいね・・・
大野事件については、最近私も術前のICでは時に引き合いに出すことがあります。
腹腔鏡で胆嚢をとる手術、1時間程度の手術でありながら、それと同じくらい、場合によっては、また合併症を有する方では、それ以上の時間をかけてICしなければならないこともあります。
まさに手術室にはいるときは、ある意味洗浄に向かう気分そのものです。
これからの外科系医療をかんがえるうえで、このようなストレスがずっと続くのかと思うと、やりきれません。
がんばりましょうね。
ところで、ドクターの緊張と果てしない努力に本当にいつもお世話になっております、といいたくなる記事ですね。私がお母さんと分娩室で二人っきりになって、ドキドキしないのも後ろにはドクターがいてくれる、と思っているからだと思います。決して、全面的におんぶされているわけではありませんが・・・今日も会陰保護失敗してしまいました。先生は何も言われず(あきれていたのかもしれませんが)きれいに縫ってくださいました・・・トホホ。多少落ち込んでおります。
私は決して、医師からみると一緒に働きたくない助産師だと思います。なぜなら、呼ぶのです。このような事例の方を。そして緊急帝王切開になったりするのです。それは学生のときからなのです。よく、当直の医師に「今日はお前か~」と言われていました。
今回の記事は医師の範疇に属することなので、細かなコメントは差し控えますが、やはり、勉強と、最近の話題はしておかなければならないな、と強く感じました。日々の努力ですね。教員の立場では「常にあたらしいものを」と勉強していましたが、臨床に戻り、かつ、夜勤のバイト生活だとどうしても勉強がおろそかになりがちでした。でも、私もついこの間、助産的に「う~ん」とうなるような症例にあたり、さぼっていてはいかん、と初心に戻ることにしました。
それがちょうど先生の記事と重なりました。また、新しい職場に行きます。現在3足のわらじを履いていますが、いろいろな体験をして大きくなろうと思います。
先生もお体に気をつけて。
帝王切開の話は、いつも以上に真剣に読んでしまいます。
コメントがまとまらず、長文となってしまい、申し訳ありません。
緊急帝王切開(胎児の心音が落ちた為)だったので、何の知識もなく、手術となりました。
そのときは、母子ともに死んでしまうのだろうと思い、
大声で泣きながら、夫に保険証券の場所を教えてました(笑)
幸い、平日の夕方だったので、3名の先生がいらしたようです。産婦人科部長ともうひとりの先生に執刀していただき(帰る準備をしてたのに、進んで手術室に入って来られました)、ことなきをえました。羊水がよごれていただけで、子どもは無事に生まれました。
さて、話がそれて申し訳ありません。
皇室の方のお産で、前置胎盤を知りました。
自分の帝王切開は無事に終了しましたが、もし、子どもが助からなかったり、元気に生まれなかったら?
子どもの心音が落ちてるといわれても、病院の機械が壊れたのだと本気で思っていました。(産婦人科というより、病院全体の評判がよくなかったので)
しかし、本当に手術を受けることになった時、「助かりたい。」と心から思いました。「部長先生の執刀だから大丈夫だろう。」とわらにもすがる思いでした。
もし、子どもが助からなかったら、自分を責めることはあっても、先生個人をを責めることはなかったと思います。なぜなら、麻酔をしていたとはいえ、意識がはっきりしていたからです。先生たちは必死でした。焦っていて、緊迫していました。子どもを取り上げた後、連れていこうとしたナースに性別を聞いてくれた後は、急いでお腹を縫ってくれました。
傷跡はきれいで、目立たなくなりました。
最後に、母子ともに残念な結果になったら、誰もお医者さん達のがんばりを証言できないのですね。
私がそうだったとしても、夫の人柄を考えると病院を訴えたり、誰かを責めることはないでしょうね。
人をうらんでも命は戻りませんから。
そういえば、夫のおじいちゃんは、夫が生まれるとき
「赤ちゃんより、娘の命を優先してください。」と言われたそうです。無事に生まれたら、初孫の夫を誰よりもかわいがったそうです^^
先生の手術における緊張が痛いほど伝わってきました。
なな先生はいつも「手術の1症例」ではなく「一人ひとりの人間」を思って向かい合ってくださってるんですね。
そのあたたかいお気持ちが、一患者としてとてもうれしく、ありがたく思います。
私たちも先生の努力に応えるべく、
「妊娠出産は病気じゃない」と妄信するのではなく、正しい情報にきちんと耳を傾けて、わが子を迎えていく準備を整えなくてはならないと感じました。
>手術が無事にできたのも、過剰なくらい厳重な準備ができたためだと思っています。
>これも、大野病院事件という、苦くも貴重な前例があったおかげです。
>あの事件がなかったら、あそこまでの準備はできなかったでしょう。
辛い結果となってしまったことがあるからこそ、過剰な準備をするものです。
十分な(過剰ではなく)準備をして、それを使わなかったらホッとする。という様な事に落ち着くといいのですが、私たちの職業と違って命に直接関与するところだけに、準備の程度の見極めが難しいのでしょうね。
>ぎりぎりまで頑張るつもりでした。
>それができなければ、医者ではありません。
>しかし、どこまで頑張っていいものか。
ご自身でお持ちの力を尽くされれば、それが「ぎりぎり」なのでしょう。
ただ、医療者と被医療者の場合、どこが「ぎりぎり」なのか認識が違うかもしれませんね。
術前の確認(以前話題にあがった「インフォームド・コンセント」)が重要になるのでしょうね。
私は一応、将来行きたい領域をぼんやりとだけ決めています。母性ではありません。
しかし、なな先生の今回の様な記事を見るといつも、
母性もいいなぁ、なな先生のようなドクターとだったら仕事をしたいなぁと思います。
記事の旦那さんの言葉、私も将来、生で聴きたいものですw
臨床医は皆さん、つらいプレッシャーを抱えていますね。
私も、臨床上、いろいろと逃げたくなる場面があります。深夜の救急外来で、腹痛で来られる患者さんを診るのが一番嫌ですね。できる検査といえば検尿とエコー位で、初診時に症状、所見が乏しい方などザラです。時間の経過により、後からなら研修医でも簡単に診断のつく疾患を見落とした、などということも時にあります。
この「時間の経過」という概念を、法律関係者を含む一般人の方は、判ってくれそうにありません。本当に、救急からいつ手を引こうかと腰が引けています。
ものすごい緊張感とものすごい脱力感でした・・・。
全国のお医者様たちが日常的に感じていらっしゃることになってきているのでしょうね。
なな先生、夢に出てきませんか?ちゃんと熟睡できていますか?
ぐっすり眠ってくださいね。
最近では、自然分娩に立ち会うのも、帝王切開をするのも、すべての医療行為を行うに際して、「私はこのまま逮捕されるかもしれない」と思うようになりました。
言い尽くされてきたことですが、元気でなんともなかったはずの人が、あっという間に三途の川の向こう岸に渡ってしまうことがあるのが妊娠と分娩。前置胎盤・常位胎盤早期剥離・羊水塞栓etc・・・・起こってしまえば、状況によっては医学は全くの無力です。都心の病院で起ころうが、何も出来ないまま死にいたることもあります。
妊娠とは、ある日突然重い病気になるかもしれないという状態です。それが一般の方に理解されない限り、産科医の立ち去りがなくなることはありません。
病気で人は死ぬのです。医学は魔法ではありません。
過失など何もなくても、人は死ぬのです。
病死だというのに「医師の対応が悪かったから死んだ」と訴えられ、場合によってはぶち込まれるのであれば、医師になる人などいるはずもありません。
これっておかしい考え方でしょうか?
以前から私は、合併症の話などはかなりきつめにする方でしたが、大野病院以降、きついなんてものではありません。その医療行為が必要であることについての話が3割、合併症の話が7割もしくはそれ以上、という感じです。必ず「医療行為は絶対ではありません。死ぬことがあります。それは誰にでも起こりうることです。」と付け加えなくてはならなくなりました。
先人が頑張りぬいた末、日本の医療は世界でも例を見ないほどのレベルになりました。その結果、「助かるのが当たり前、死ぬなんてあり得ない」になりました。最前線に踏みとどまっている者として、悲しい限りです。
アフガニスタンでは女性の死因の第一位は妊娠・分娩です。医療が十分でなければそれほどまでに妊娠・分娩とは危険なものです。いい加減な育児情報雑誌の記事を見つける度、抗議のメールを送っています。
ハイリスク患者対応もされるのですね。
過去の事件が頭をよぎる絶対にミスの許されない緊張感。
どうぞ、ゆっくりお休みを取って、心身ともに大切になさってくださいね。
産科医としてのプロ意識、本音が伝わってきました。僕も慢性疾患を持っていますので、Drと二人三脚したいと思っています。そんな点で、医療関係者の裏側や、魂の叫びが勉強できました。ありがとうございます。
蛇足ですが、私も先日 産科医不足に関する記事を書きました。よろしければ、見てください。http://blogs.yahoo.co.jp/kidneydesease/23158710.html
ずーと読んでいました。
私も3回同じ医師(教授)に帝王切開で出産しましたが、
その医師とペアで組む先生がどういう人かで、
緊張感が違いましたね。
全身麻酔ではないので、会話が丸聞こえなので、
中堅の先生とのペアだと静かなオペですが、
若い先生とのペアだと、怒りながらされるので、
ドキドキしますね(汗)
1人目の時は若い先生とのペアで、
「縫い方習わなかったのか!」
と注意されていたので、
一体私は何縫いされているの^^;と(苦笑)
でも、患者さんに丁寧で優しい先生だったので、
病棟担当医が検査オーダー忘れたりすると、
(PCでチェックされているみたいです)
「○○呼んでこい」
と連れてこさせ、
「なんで○さんのオーダーしていないんだ」
と若い先生に注意していましたね。
教授回診じゃなくても、
良く受け持ち患者さんの様子を見にいらしていて、
「今日傷の消毒まだなんですよ~」
と話したら、自らワゴン押して持ってきて、
消毒してくれました^^
やさしいお心遣い、ありがとうございます。
ご主人、素敵でしょ?
あれがあるから、産婦人科医はやめられないんです~
改めて、外科系療に対する大野事件の重大さを感じます。
先生と同じように、私のところでも合併症の話にかける時間は長くなりました。
それが病気を抱え、手術を控えた患者さんにとってプラスになっているのか、時に疑問に思います。
現場の、こんな我々の気持ちを、福島地検は知っているのでしょうか。
頑張れるところまで、頑張りましょう。
後ろにドクターがいることによって、助産師さんが本領を発揮できるというのが
産婦さんにとっても誰にとっても理想ではないでしょうか。
我々は、分娩第一期にあんなケアはできません。
お互いカバーしあって、存分にやりましょう。
日々勉強、私も感じます。
数年前の知識は、すぐに古くなります。
産婦人科領域だけでも、カバーしきれない勢いです。
もちろん、自分の専門分野に関してはぬかりありませんが。
新天地、ななさんにとって心地良いところだといいですね。
以前の『胎盤をクーパーで剥離しました』と同様、改めて事故調・第三次試案について考えるきっかけとなり、久しぶりに拙ブログで事故調関連記事を書きました。
記事中、先生のブログ内容を一部引用させていただきました。事後報告になり恐縮ですが、厚生労働省への第三次試案に対するパブコメキャンペーンを、僻地の産科医先生のところで知り、パブコメを書くにあたりまして、『現場の声』として、大変参考になりました。
多くの医師達の声が、行政に届くことを願っています。
医療者が、安定した気持ちで患者さんと向き合い、医療行為を行えることこそが、一番大事だと私は思っています。
このコメント欄で、自分が診た患者さんと同じような経験をされた方の生の声をお聞きすることがあります。
産婦人科医にとっては、格別に意義深く、ためになるものです。
>子どもの心音が落ちてるといわれても、病院の機械が壊れたのだと本気で思っていました。
うう~~ん、なるほど。
赤ちゃんの心音が落ちている時の患者さんの気持ちって、こんなものなんですね。
我々医療者との意識の違いに、愕然としています。
こんな患者さんの心をきちんと理解して、急変についていけない患者さんの気持ちに
少しでも寄り添えるようにならないとなりませんね。
>母子ともに残念な結果になったら、誰もお医者さん達のがんばりを証言できないのですね。
このことは、福島事件を見ていて感じることです。
お亡くなりになった当の妊婦さんは、今の状況を見たらどんなお気持ちになられるのでしょうね・・・
最後のおじいちゃまのお話、和みました(笑)
3児のママの立場から、「妊娠出産は病気ではない、と妄信しない」と言って下さることは、
とても意味があると思います。
全ての女性に、きちんと心と身体を整えて、妊娠生活を送り、出産を迎えてほしいと
切に願っています。
それが、準備の程度の見極めは、今回に関してはあまり考える必要はありませんでした。
このような症例ですので、いくら厳重に準備をしても誰も何も言わないどころか
むしろ当然と思っていた様子でした。
唯一、思い浮かんだけれど実行しなかった準備は、
警察に通報しておくことくらいでしょうか(笑)。
最近は看護師の職も、専門化が進んでいますね。
感染、創ケア、尿失禁、ストマ、
選択範囲は広く、今のれいさんは多くの可能性を秘めていらしゃいます。
これからが楽しみですね。
あのご主人の言葉、いいでしょ~
夜間の腹痛の急患は、内科・婦人科共通の課題ですね。
>時間の経過により、後からなら研修医でも簡単に診断のつく疾患を見落とした、などということも時にあります。
なんだか、ものすごくよくわかります。
あるんですよね、誰しもこういう経験・・・
最近は、法律とメディアが睦まじかった医師・患者関係を壊そうとしているように思えてなりません。
先生の「救急から手を引こうか」というお気持ちも、よくわかります。
いつもやさしいお心遣いを、ありがとうございます。
手術の朝、家を出る前に主人にこのことを話してから出かけました。
無事で帰って来れないかも知れないからよろしく、と。
黙って送り出してくれましたが、主人も心配していたと思います。
夕方には、お母さんも赤ちゃんも、医者たちも無事であることを連絡することができました。
うちに帰ると、キャンディボックスのように色とりどりの薔薇の花が、
主人と一緒に待っていました。
もう枯れそうになっている、薔薇の半分くらいの長さのカーネーションの入った花瓶に
ぶすぶすと無造作に入れられているのを見て、吹き出してしまいました(笑)
ちょっと不器用でやさしい主人の、贈り物です。
この日は、よく眠れましたよ。
>「私はこのまま逮捕されるかもしれない」と思うようになりました。
私もそうです。
産婦人科医、みんなこんな様子なんでしょうか。
自分の主治医が、こんな気持ちで帝王切開に入っていることを知ったら、
患者さんも悲しくなるのではないでしょうか。
そう思うと、さらに悲しいのです。
先人が必死で築き上げてきた医療は、
手術を控えた患者さんに脅迫ばりの説明をしなくてはならないようなものではなかったと思うのです。
はい、ハイリスクの対応もします。
しかし最近は、リスクと言えないような状態の妊婦さんでも、
今までだったら、クリニックで普通にお産していたような妊婦さんでも、
基幹病院に紹介されるようになってきました。
連休は、ちょっとゆっくりできました。ありがとうございます。
記事、全部お読み下さったのですか?!
うわ~、感激です。
ブログ、拝読しました。
一般の方が産科医療の問題に目を向けて下さることは、
大変心強く、ありがたいことです。
今後ともよろしくお願い致します。
患者さんにしかわからない視点ですね。
とても貴重です。ありがとうございます。
帝王切開中の業務会話は、なるべく控えるように心がけていますが、
それでもつい、口から出てしまうことがあるんですよね。
でも大丈夫、一人指導医レベルのドクターが入っていれば、妙な縫い方をされたりはしません~
しかし教授が自ら消毒のワゴン(包交車といいます)を引いているのを目撃したら、
誰もが縮み上がると思うのですが(笑)。
ブログを引用して下さって、ありがとうございます。
多くの方に読んで頂いてこそ意味がありますので、
引用して下さることは、大変光栄で嬉しいことです。
いつも明晰なazukiさん、一体どんな方だろうと思い浮かべていたのですが、
前記事で4児のママとお聞きして、ちょっとびっくりしました。
現場で苦しむ我々医師にとっては、非常に心強い存在です。
今後ともよろしくお願い致します。
ある小さな命にコメントを残したのですが、読んでもらえないかなあと思って、こちらにもコメントを残してます。
私は、陣痛促進剤を使った後、原因不明の子宮破裂をして、子供が脳死になりました。
だから、麻紀さんが、すごく羨ましいです。
私を担当してくれた先生、助産師の皆さんも本当にいい人でしたが、個人病院だったので、大きい病院に搬送されました。私は、5リットルの出血、子宮はとりました。
でも命を助けてもらって、感謝しています。
どうしてこんなことに、子宮に傷でもあったのか、エコーの時に分からないのかと、聞きたかったけど、聞けませんでした。大きい病院の先生からも、促進剤の分量も適量だったと、原因は分からないと言われたし、個人病院の先生もお見舞いに来てくれたり、助産師さんも、お見舞いにきてくれたり、退院しても電話をくれたりと、本当に、いい人すぎて、責めて楽になる事はできませんでした。
今を受け入れるしかないと、直後は泣いて泣いて、心のもって行き場がなかったです。
でも今、子供はNICUに入院しているのですが、こういう子育てもあると、ふっきれて、在宅治療をめざしています。
といってもまだまだ不安だらけですが頑張っています。
しかしお産って何がおこるか分かりませんね。
なんだか愚痴になってしまいましたが、産婦人科がいつも幸せな場所であるよう祈ってます。
私もほっとしたのかもしれませんし、私の母が私たち兄弟を2回も帝王切開をして産んでくれたことを思い出したのかもしれません。
どんな手術にもリスクは伴うんですよね。
うまく感想が書けなくてすみません。
なな先生お疲れ様でした(*^_^*)
まだ3ヶ月しかたっていませんが、お身体の具合はもういいのでしょうか。
本当に本当に、大変な思いをなさいましたね・・・
産婦人科医をしていると、時々思うのです。
お産て、何て理不尽なのだろうと。
真面目に生きてきた愛情あふれるパパとママが、かわいい赤ちゃんを心待ちにしているのに、
何も悪いことはしていないのに、
それなのに、こんなに苦しく悲しい目に遭ってしまう。
よく、生きのびて下さいました。
> こういう子育てもあると
この言葉に、鳥肌が立つほど感動しています。
こんなに清廉で深い愛が、あるでしょうか。
お子さんがおうちに帰れることを、心からお祈りしています。
この記事に泣いて下さる方がいて、何だか妙に嬉しい気持ちです。
ご家族をはじめ、何人もの人が安堵の涙を流しました。
女性が2回もお腹を切るって、すごいことですよね。
いつもやさしいバリ島さんと、バリ島さんの愛するお母様が、
重なって見えました。
仕事が終わってすぐ帰りたくなるようなパートナーがいるからこそ・・・(以前の買い物をしてすぐに食事を作る可愛いいなな先生を思い出して)
精神的にも癒されているとは思いますが、お身体を大切になさってください。 パートナーのためにも
産まれた瞬間を一緒に喜んでくださる先生の笑顔の裏には、こういった何重ものストレス、強い精神力、周到な準備、それは、私達は計りしれないものです。 だから、せめて、先生方に感謝する気持ちを忘れないように そして、できるだけ、私達が、このような先生方の環境を知って、正しい理解を身につけてやっていくことで、少しでもリスクのあるお産を避けれるように社会に広めていくこどが、今、私達ができることだと思います。
前置胎盤の帝王切開、お疲れ様でした。24時間いつなにが起こるかわからない状況の中、がんばっている先生達は本当に大変だろうな・・と思います。
私も2005年に前置胎盤の為、2人目の子供を帝王切開で出産しました。
1人目は36週の検診で張り止め服用で自宅で絶対安静を言い渡され、37週にはいってすぐに普通分娩で出産しました。なので、2人目が前置胎盤ということで、37週ですぐの帝王切開の予定が組まれました。
「そこまでは、たぶんもたないんじゃないかなぁ~」との主治医の先生の言葉のとおり、34週で出血して管理入院。36週に入ってすぐに再度出血し、輸血用の血液の到着を待って緊急手術となりました。2050ccの出血で、自己血550のみの輸血で済みました。
主治医と、産科の偉い先生、非常勤の先生、研修医1人、麻酔科医2人、小児科医1人、助産師1人、その他に看護師さんがたくさんいて、いったい何人いたのかもわかりませんでした。
手術中はとにかく、恐怖でした。子供が無事に出てからは、先生達の雰囲気がピリピリしているのが伝わってきました。
自分は何もできることがないので、ただ、子宮は残るのかな~出血とまるかな~とぼんやり考えながら、看護師さんが読み上げる出血量を聞いていました。そのうち、貧血を起こす時の頭がザワザワする感覚があって眠くなり、「あ~私死んじゃうのかなぁ~」なんて考えていました。眠っていたのは少しの間で、先生達の話す声で目が覚めました。
切ってみてわかったそうなのですが、完全な前置胎盤に加えて、「臍帯卵幕付着」だったそうで、「本当に帝王切開でよかった」と先生がホッとしていました。
管理入院中から、主治医の先生は診察日ではなくても、毎日朝晩様子を見に来てくれました。主人への説明の日にちを決める時に、先生の手帳がちらっと見えたのですが、文字がびっしり詰まっていて真っ黒でした。本当に毎日休む暇もないんだなぁ~と逆に先生の事が心配になりました。
そんな中でがんばっているのに、無事に生まれて当然。でなければつかまってしまうなんて、あまりにも酷で、産科の医師がやめていってしまうのは当然のことのような気がします。
子供達が親になる頃はどうなってしまっているのでしょうか・・・。気がかりです。
お忙しい中、お返事ありがとうございます。
先生の朝のご様子、だんな様の心境が伝わってきて
画面が曇って先が読めませんでした。
日本中、忙しい・・・忙しい・・・で、心が亡くなってきているのでしょうか。
心で考えれば見えてくるものを・・・。
お察しの通り、大変なストレスでした。
でも、記事中の麻紀さんのご主人の、あの言葉が全部吹き飛ばしてくれましたので、
もうあの時のストレスは忘れました(笑)
この忘却力も産婦人科医の能力のうちかも?!
何よりも、これから赤ちゃんをつくろうと思っている全ての人のために、
妊娠出産に対する正しい知識を広める努力を、一緒にして行きましょう。
リアルな描写、ドキドキしながら読みました(笑)
輸血を待って手術開始、完全な前置胎盤、
これだけでも、非常に大変だったと思います。
帝王切開でよかったと私も思いますが、
キサラさんがご自分のお産に納得していらっしゃることと、
キサラさんが納得できるようにお話して下さった主治医の先生の姿勢が
何よりも素晴らしいですね。
それにしても、ほぼ同じ体験をした患者さんと産婦人科医が、
キサラさんと私という形で、ここで出会って、それぞれの思いを告白できたことは、
とても素敵で、意味のあることだと思いませんか。
目の前の患者さんと、お産を振り返って「あの時はああだったね、こうだったね」
と言うことはできますが、
まさか絶食で手術に入ったことなんて、言えませんもの(笑)
今の子供たちのために、産科医療を守って行けるのか、不安はあります。
少なくとも今ここにある、良好な医師・患者関係を、大切にして行きたいですね。
お返事に共感して下さって、
とっておきの裏話を公開した甲斐がありました(笑)
>心で考えれば見えてくるものを・・・。
すごい、ひと言です。
心に刻んでおきます。
あ、せんせ、絶食しても、おやつくらいはご褒美に!(笑)
今回はご主人(ご家族)からで、もちろん、患者さんからもかけられることもありますよね。
なな先生を見ていつも思うのは、先生が前向きだから、私もできるだけポジティブな言葉を贈れるように、そして、私自信にもかけれるようにしていきたいと思います。
好きだからこの仕事をって仰った先生の言葉をずっと大切になさってほしいと心から願うからです。
お忙しい中、返信有難うございます。いつもコメントさせていただきながら、自己紹介がまだでした。私は、大学院を卒業して、10余年、外資系企業の研究所に勤務しています。いつも、非医療従事者の観点から、興味深くブログを拝見させていただいております。日本の産婦人科医療の社会的背景や医療従事者側の心理など、別の視点から眺められるところが、興味深いです。患者として医師と接する中で、疑問に思うこと・不思議に思うことの理由が、こちらのブログを読むと見えてきます。いつも楽しみにしています。
読んでくださって嬉しいです。
私の体の方は、大丈夫です。入院していた時、担当の先生方が笑うほど、術後の経過がよく、死にかけた人とは思えないとよく言われました(笑)
子供の方は、先日、気管切開の手術をうけました。
在宅への一歩前進です。
第一子の時は、安産だったから、出産で大変な思いをしている人、先生の苦しみは、どこか人事だったように思います。
この経験で、いろいろな人と出会い、普通に無事、産まれてくる事がどんなにすてきな事か、子供に教えられました。
なな先生、産婦人科の先生は、生と死とつねに向き合う大変なお仕事ですね。
先生の患者さんが、みな安産に産まれてくれると最高ですが、もし何かあったとしても、自分のために頑張ってくれていると感じた患者は、どんな結果でも先生に感謝するとおもいます。私がそうですから。
お体に気をつけて頑張ってくださいね!
はい、好きだからやっています、産婦人科医(笑)。
何だか人気のない職種になってしまいましたが、
仕事そのものは、就職希望者が殺到してもいいくらい、いい仕事だと思うんです~
おやつは、チョコレートとポテチでしょうか、やっぱり(笑)
産婦人科医の世界へようこそ。
先生と同じくらいの、何人もの若手男性医師と一緒に働いてきました。
皆、必要とされることに誇りを持って、活き活きと働いています。
共に頑張りましょう。
↓ この記事、是非お読み下さい♪
http://blog.m3.com/nana/20080304/1
研究者なんですね。
大学院時代に、女性研究者の方と何人もお会いしました。
優秀で知的な彼女たちを思い出します。
お褒め下さいまして、ありがとうございます。
ある産婦人科の町医者の視点に興味を持って下さる方がいることが
妙に嬉しいです(笑)。
お身体の具合は良いようで、少しほっとしました。
お子さん、気管切開ですか。
まだ小さい身体で、とても頑張っているのですね。
「どんな結果であれ、医者に感謝する」
今、このように言えるようになるまでには、ご本人にしかわからない葛藤があったのではないでしょうか。
そんな患者さんたちの気持ちにお応えするには、
ただ誠実に、一生懸命やるしかないのか・・・
医者は無力です。
羽さん、きっと心も身体もフル回転ではないでしょうか。
ご自愛下さいね。
普段は冷酷と理不尽がこの世の本質だ、などとニヒルぶっている私ですが、先生のお話と皆様のコメントを拝見すると、善の存在を実感します。
何かにつけて厳しいお話を患者さんにしなければならないのは、こちらとしても心苦しいですよね。ですが今回、涙するご主人のお話を読んで、思ったことがありました。
産科医の先生方のお陰で多くの妊婦さんが安全にお産をできるようになった結果、逆に無事であることの僥倖が分かりにくくなってしまったと言われます。そんな現代日本で、言葉の上だけでも様々な不幸がありうる事を知って覚悟をすることは、今の自分の幸せをあらためて噛み締める効果があるのではないでしょうか?
説明を受けているときは余計に不安を煽られてしまうかも知れないけれど、無事に赤ちゃんや奥様と対面できたときの喜びは、きっと「そんなの当たり前」と思っていた場合よりずっと強かったに違いありません。
これからは自分が厳しい話をするときも、そういう風に考えてみようと思います。
先生のお話は本当に勉強になります。これからもかげながら応援しております。どうぞ無理のないよう、頑張ってください。
>善の存在
コメントを下さる皆様のことをお褒め頂いて、何より嬉しい気持ちです。
ありがとうございます。
厳しいお話をするのは、こちらも心苦しいですね。
事実が厳しい以上、ある程度はどうしようもないのかも知れません。
厳しいお話をしなくてはならない時は、「愛情を持って話すこと」と思っていました。
理想は、私自身や家族が医療行為を受ける時にはこう話してもらえたらいいな、と思えるような
過不足のない説明です。
さらに先生のお考えをお借りして
「無事に終わった時に患者さんとご家族が、順当に安堵できること」も加味できたら、
より良い説明ができそうです。
コメントありがとうございました。
遊佐さんのブログにて、なな先生のブログの紹介がされていて、先日からブログにおじゃまし、全て読ませていただきました
なな先生には、言葉では言えないくらいの参考になる情報をいただいて、とても感謝しています
先生は、ブログの更新は大変かもしれませんが、ブログって、情報の発信・やりとりができて、いい手段ですね
私は、神経内科を3年したあと、現場がやりきれなくて、健診機関に移った、6年目の女医です
(私も、福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医の無罪を信じ支援します)
大野病院事件は、せつないです・・・
私自身は、難病(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんを救えなかった、とご遺族より裁判をおこされていまして、凹み、しこりになっています
どうして、難病を救えなかったことが、裁判沙汰になってしまうのでしょう・・・
ご家族とは、何もトラブル無く診療できていたように思っていました
もちろん、通常どおり診療を行ったのですが、病状も、家族の思わくも、予想できない結果になりました
事が起こってから、2年経ち、ようやく冷静に事を見られるようになってきました
医療者としての良心を無くさずに、診療し、現状を甘んじて受けようとしております
これからも、よろしくお願いします
とっても勉強になりました。
先生の産科をもっと取り上げて欲しいと思いました。
私のような医療関係者以外の方は、よかったら、参考にしてくださいね。
http://www1.ntv.co.jp/action/theme/02/
「NEWS ZEROスペシャル 徹底討論~医療崩壊」
(2008.4.19 O.A)
「“救急”の危機(2)」
救急受け入れ不能の背景
突然「専門外の急患」が…
(2008.3.12 O.A)
「“救急”の危機(1)」
医師が急患を断る瞬間
“受け入れ不能”の現実
(2008.3.11 O.A)
「医療を、救う。(3)」
病院「集約化」の現実 医師がいなくなった…
(2008.1.25 O.A)
「医療を、救う。(2)」
“内科”が閉鎖 何が起きた?
(2008.1.24 O.A)
「医療を、救う。(1)」
手術ができない… 知られざる麻酔科医の実態
(2008.1.23 O.A)
「医療崩壊」過酷な勤務医をサポートせよ
(2008.1.6 O.A)
コメント、拝読しました。
ここに書くにも、勇気が要ったのではないでしょうか。
自分を慕ってくれる患者さんを大切に思わない医者は、いません。
その患者さんと、行き違いがあるだけでも苦しくてたまらない、
助けることができなかったら、悲しくてたまらないのに。
その上、大切にしていた患者さんのご家族と法廷で対峙しなくてはならないということは
筆舌に尽くしがたい苦渋ではないかと思うのです。
途方もない苦悩の中に身を置きながら、
現状を見つめ、医業をこなしていらっしゃるきみち先生は、立派です。
お身体とお心を、どうか大切になさって下さい。
動画の持つ力って、すごいですよね。
知人の映画プロデューサーが、
「100冊の本を読むより、1編の映画を見る方が、
説得力を持つ場合がある。だから僕は、映画が好きだ」
と言っていました。
映画も、テレビ番組も、ブログも、
必ず発信者の視点が加味されます。
医療系ブログも、医療者の視点から完全に離れることは不可能でしょう。
テレビ番組も、編集者の視点で編集されるのは当然、
現場事情とは違っても、当然なのかも知れませんね。
私自身も、患者さんの視点からはかけ離れているのかも知れないということを
忘れてはならないと、自戒しています。
コメント、ありがとうございました。
なな先生は本当に真摯な医師です。見習いたい、改めてそう思いました。
前置胎盤の場合、少量でも出血があることの重大さを知っていらっしゃったら
本当に怖い思いをなさったのではないかと思います。
帝切時の、胎盤が出るまでのあの緊張した雰囲気も、たまらなかったでしょう。
まさに「生きた心地がしない」という心持ちでしょうか。
頑張りましたね。
お褒めの言葉、ありがとうございます(笑)。
多くの産婦人科医も、みんなこんな感じですよ~
なな先生の文や、べんべん先生のコメントのように「逮捕」などがよぎること、わかります!助産師になる時点で、母子の死亡などに遭遇することに覚悟と緊張感を持って仕事をしてきました。でも、ここ数年はそれ以上に「刑事罰」「訴訟」の恐怖が正直あります。(もちろん産科の先生方の責任の重さは、私たちの比ではありませんが。)
たとえば前置胎盤の発生率0.3~0.5%、それに対して死亡率
0.03%という教科書の記述に対して、救命し得ない場合があると理解していました。けれども、今は、その0.03%に当たってしまった先生方は、責められる側になってしまいます。
死亡率が下がってきたことは、その何倍、何百倍もの似たような状況に遭遇した産科医の先生方の経験が生かされているからに他ならないと思うのですが。
べんべん先生がコメントされたように、突然元気だった母子が急変することがあります。どうしようもないことが起きる現場にいる側の立場が理解されなければ、たとえば0.3%の前置胎盤の妊婦さんを受けてくれるところがなくなるのではないかと思います。実際には、医師の倫理観と使命感で診療拒否されていないのだと思います。
母子の死亡は、もちろんご遺族にとって理不尽なことへの怒りや悲しみにあることでしょう。
遭遇した医師や助産師、看護師にとっても自責の念で立ち直れないのではないかというほど、打ちのめされます。
そうした新聞記事を読むたびに、そのスタッフたちの思いが身につまされます。でも、是非、仕事を続けて欲しいと思います。そうしたつらい状況に出会った経験こそ必要なのですし、勇気を持って次に生かしていくことが産科医療を良くして行くことにつながるのですから・・・。
訴訟や刑事罰のリスクは、医者だけに留まりませんね。
正当な業務に就く時に、訴訟や刑事罰が頭に浮かぶ職業、
なんだかとてもおかしなことだと思うのです。
前置胎盤のようなハイリスク症例は、
これまではたしかに医療者の倫理観・使命感に支えられてきました。
しかし最近は、本来はクリニックでお産していたような、
合併症とも言えないような軽微な条件を持った妊婦さんが、
次々基幹病院に送られてくるようになりました。
分娩施設の崩壊を加速化しています。
今のようなご時勢では、やむをえないのかも知れません。
経験が活かされなくなれば、医療は滅びます。
どうなって行くのでしょうね・・・
という検索を入れたらこのブログにたどり着きました。
私は2007年7月に全前置胎盤(エコーで見ると子宮口のど真ん中に胎盤がありました)で大出血をして緊急オペで32週の早産で出産しました。
私には3人の子供がいます。みんなやんちゃな男の子ですがとってもかわいいです。
私は初産の時に子供がお腹のなかで私の陣痛に耐えられず、緊急で帝王切開となり、3人とも帝王切開で産みました。
大変でしたが今はとっても幸せです。
3人目の出産は24週で警告出血がありそのまま入院
24時間ウテメリンMAXでマグセントもいれ、最後はふらふらでした。もうこれ以上耐えられないと思っていた矢先に大出血をし出産にいたりました。
私ももしかしたら命は無かったかもしれません。
でも今は本当に幸せです。
子供はそんなこと全て忘れさせてくれますね。
私の子宮にはまだその時にいれたヨードホルムカーゼが残っている可能性があります。
来週、また担当の先生に内診で診てもらうのですがとても不安です。
またよらせてもらいます
先日実家の母が乳がんの手術を受けた時に、私の主治医にエレベーターの中でバッタリ会いました。里帰り出産だったので、一ヶ月検診以来会っていなかったのですが、
「2年半前にお世話になりました」と言ったら、
「お顔だけは」とおっしゃっていました。年間500人の赤ちゃんが生まれる病院なので、2年半も前のことなので名前を言っても(クラスに1人はいる苗字ですし…)わからないですよね(笑)あ、でも、「全前置胎盤の臍帯卵幕付着」って言ったら覚えているでしょうか?頻繁におこることではないと思うので。
なな先生とここで会えたこと、うれしく思います。
私も主治医には言えないことがありました。
赤ちゃんが生まれた後の、先生方がいちばんピリピリしている時に、看護師さん?が読み上げる出血量を聞くたびに、頭の中で500mlのペットボトルが並んでいき、
「ウーロン茶かなぁ…トマトジュースかなぁ・・・。・・・やっぱトマトジュースだよなぁ・・・」などと不謹慎なことを考えていました(笑)恐怖を通り越すと、人間、ろくな事を考えないですね(笑)
必死だった主治医には申し訳なくて、口が裂けても言えません。
梅雨入りしてしまいましたね。体調を崩しやすい時期です。なな先生もお体には気をつけてくださいね。
文中にある単語だけでも、どれだけ大変だっただろうとお察しします。
また、帝王切開でヨードホルムガーゼを使うのは、多くの場合は最後の手段ではないかと思います。
本当に、ママも赤ちゃんも命がけだったのですね。
よく、生き延びて下さいました。
>今は本当に幸せです。
患者さんだった方のこのひと言は、最高です。
どうかお大事になさって下さい。
出血とペットボトルのお話、圧倒されます。
恐怖を通り越したというキサラさんのお気持ちが、
臨場感を持って伝わってきます。
以前コメントを頂戴した時も思いましたが、目の前の医者(あるいは患者さん)には言えないお話ですね。
偶然、以前の患者さんにお会いすると、確かにわからないことが多いですが、
お顔は大体覚えていますね。
でも、キサラさんの場合は
>全前置胎盤
きっとこれだけで、担当医は思い出すのではないでしょうか。
突然のメールで大変失礼致します。
先週、28週に入りました妊婦です。
先日の8ヶ月の検診の際「前置胎盤」の診断を受けました。子宮口に2cmほど胎盤が掛かっているそうです。妊娠3ヶ月の頃に出血し、切迫流産と診断されました。25週で少量でしたが破水してしまい、上部の膜が薄い部分から漏れ出た、とのことでした。破水した際は主治医の先生がご不在で、その時診てくださった先生には安静の指示を頂きました。3日後、再度主治医の先生の診察を受け、安静の必要はないとのことでした。切迫流産の時も安静はいらないとのことでしたが、大事を取り、会社は2日ほど休みました。いずれの際も主治医の先生は安静の必要はない、とおっしゃるのですが・・・。
3人目の妊娠で、出血・破水・前置胎盤は今回が初めてで、とても不安です。
上の2人は自然分娩で、下の子を出産してから6年経ちますが、ここ2,3年ほど子宮内膜症で不正出血があり、年に1度は産婦人科で受診していました。
本当に安静の必要はないのでしょうか?7ヶ月検診で貧血が認められ、鉄剤の服用をしていますが立っていられなくなることがしばしばで、職場にもかなりの迷惑を掛けています。それがまた、ストレス等にもなっていると思うのですが・・・。
産休まではまだ1ヶ月以上ありますし、破水の際も職場でだったので、また出血・・・。と言う迷惑は掛けられない、と言う思いもあります。何より赤ちゃんは大丈夫なのでしょうか?
主治医の先生が大丈夫とおっしゃっている以上、診断書を書いていただく訳にもいかないでしょうし、会社に出社して全く動かない、と言うわけにはいきません。
本当に通常の生活を続けて大丈夫なものでしょうか?
どのような生活が望ましいか教えて頂けたら、と思います。
初めてのメールで長々とご質問してしまい、大変申し訳ございません。どうぞ、宜しくお願い致します。
メッセージ拝読しました。
ご不安なことと思いますが・・・
ごめんなさい、ここは個人のブログですので、
つぶやきの場に留めておきたいのです。
医学的な質問は、お許しを。
こちらこそ、突然の質問大変失礼致しました。
お察し下さったとおり、今はとても不安な状態です。
藁をも掴む気持ちで「前置胎盤」からこちらのブログにたどり着きました。
ただ、昨晩主人と2人涙を流しながらブログを拝見させて頂きました。
今は授かった命を大事に、主人と2人1日1日を過ごそうと思います。
なな先生も暑い中、御忙しいことと存じますがお体ご自愛下さいます様・・・。
お返事、ありがとうございました。
これまでも、医学的な質問にはお答えできない、ということが何度かありましたが、
こうしてきちんとお返事を下さったのは、ゆうさんで2人目です。
そんなゆうさんにお答えできなくて、ごめんなさい。
お話だけだと、やっぱりゆうさんの状態が分かりません。
本当に破水だったのか、胎盤の状態は?
実際に診ずにお答えしてしまうのは、気が引けるのです。
主治医の先生は、ゆうさんに対して責任を持ってくれます。
大切なことですから、遠慮しないで主治医に聞いてみるのがいちばん。
(ゆうさんもきっと、「やさしい患者さん」なのでしょうね。)
ゆうさんが、主治医の先生ともっとコミュニケーションを取れますように。
そして無事に、良いお産をされることを、お祈りします。
お忙しい中と思います。お返事なくてOKです。
私の通う産科は、検診を受ける施設と出産する施設で建物が離れた所にあり、検診の先生と、出産時に立ち会って下さる先生は異なります。
25週目に破水のようなものがあった日は、椅子に腰掛けていて、生理時に膣から血液がコポッと出てくる感覚がして(血液よりはサラッとしていました)急いで病院へ。量は下着からズボンまで染みて、股に手を当てて濡れているのが確認できるほどで、色は透明でサラサラ、臭いもありませんでした。
その日は、出産時の先生の診察で、リトマス紙の色の変化もなく、先生も破水ではない。とおっしゃいましたが、
「この白いのは、ここにあったらまずいんだよ。」
と。私は気が動転していて、白いものが何で、それがどこにあってどういけないのか、聞けなかったんです。その日は「リトドリン」と張り止めのお薬を1週間分処方頂き、安静を言い渡されました。
3日後、26週検診を受けた際、検診の先生に自分がきちんと説明の内容をお伺いしなかった旨お伝えし、再度説明をお願いしたところ、
「上の方の薄い膜から羊水が漏れ出てしまった、と説明したかったんだ。」
と、説明を受け、「リトドリン」も張り止めの服用も止めるようにとの指示でした。
先々週28週の検診で、
「あれ??この白いの見えるか?これが胎盤なんだけど、これが子宮口。被っているのわかる?」
と、その時点で気付かれました。私もそれで、破水のような時に先生がおっしゃっていたことがわかりました。
前置胎盤を調べみて、怖いイメージしか持てず、子供達や主人と過ごせるのがあと2ヶ月あまりだったら・・・。とネガティブになっておりました。実際、破水のようなものが何だったのか、25週で前置胎盤に気付いた時点で、なぜ検診の先生に伝わらなかったのか、「リトドリン」の服用が続いていたら、出産時の先生の指示通り安静にしていたら、胎盤が上がったんじゃないか、とか。
でも、なな先生のお返事を頂いて少し気持ちが軽くなった気がします。どんなに不安でも、先週出血もなく29週を迎えることが出来ました。
今は先生を信じて、赤ちゃんが無事産まれてきてくれるよう、頑張りたいと思います。
ひとつだけ(笑)!
安静にしてても、胎盤上がりません。
子宮を切る手術(帝王切開や子宮筋腫の手術)をしたことのない人の前置胎盤は
たまたまそこに胎盤が着いてしまった、というものです。
ご本人には全く責任はありませんし、食生活や運動などで、改善されるものではないのです。
秋篠宮紀子様が、低位胎盤でしたね。
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