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喫煙防止条例案:大幅後退に批判の声 知事「施設には大きな規制」 /神奈川

 9日発表された「公共的施設受動喫煙防止条例」(仮称)の骨子案は、飲食店や娯楽施設などに分煙を認め一部に猶予期間を設けるなど、4月公表の概要で示した当初の方針に比べて、大幅に後退する内容となった。賛否の立場から県に要望書などを出した団体・企業からは、失望や批判の声が上がった。

 松沢成文知事は概要を公表した際「受動喫煙防止には禁煙(が最善)」などと述べ、全面禁煙を強く打ち出していた。9日の会見では「少し後退とみられる可能性がある」と認めながら、「施設にとっては大きな規制。今までどこ(の自治体)もやっていない」と先進性を強調した。

 松沢知事は業界団体と意見交換会を開き、反発が強い飲食店やパチンコ店なども視察して理解を求めてきた。だが当初方針のままでは「県民や県議会に理解いただけない」と会見で述べたように、条例成立自体が危うい情勢だった。このため「理解が得られ、受動喫煙防止が最も進む形の接点」の“妥協点”に至った。また、松沢知事は「(各業界の)自助努力を求めたい」と完全禁煙を目指す考えを述べたが、実現の時期は明言を避けた。【五味香織】

 ◇「分煙意味ない」団体も反発

 骨子案には、県の取り組みを支持してきた団体も反発した。禁煙推進を求める日本禁煙学会(新宿区)の作田学理事長(杏林大客員教授)は「分煙では意味がない。非常に残念」と失望感をあらわにした。「服についた有害物質が散るなど、分煙では受動喫煙の防止は不可能。全面的な規制でないと、禁煙の店の客が減るなど、かえって経済活動に影響する」と懸念する。

 一方、条例制定に反対姿勢を示す日本たばこ産業(港区)は「最終的に全面禁煙や完全分煙を強制するもの」と反発するコメントを出した。「民間施設は、行政が規制するのではなく、施設管理者が実態に応じた対応を行うべきだ」との考えを示した。

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 ★骨子案による施設の区分★

 【禁煙義務付け】

 ▽学校▽病院▽百貨店▽劇場▽公共交通機関(新幹線など一部除く)▽社会福祉施設など

 【分煙選択可】

 ▽飲食店(ファミリーレストラン、居酒屋、喫茶店など)▽宿泊施設▽娯楽施設(ゲームセンター、カラオケボックスなど)▽サービス業施設(クリーニング店、美容院、場外馬券売り場など)

 【3年間規制猶予】

 ▽飲食店のうちキャバレー、バーなど▽娯楽施設のうちパチンコ店、マージャン店など

毎日新聞 2008年9月10日 地方版

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