【発明の名称】 |
焼上食品およびその製造方法 |
【発明者】 |
【氏名】岡本 誉充
【氏名】稲熊 隆博
【氏名】島田 清之助
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【要約】 |
【課題】搾汁液、磨砕物、抽出色素物等の通常の野菜処理物を使用して得られる野菜の風味や色を生かした焼上食品を提供する。
【解決手段】乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合した生地に野菜処理物を混合し、混合物を加熱処理することによって、煎餅、あられ、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー等の焼上食品を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 野菜処理物を混入した生地を加熱処理してなる食品であって、前記生地に乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合したことを特徴とする食品。 【請求項2】 前記デンプンが米由来である請求項1に記載の食品。 【請求項3】 前記野菜処理物が緑黄色野菜の処理物である請求項1または2に記載の食品。 【請求項4】 乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合した生地に野菜処理物を混合し、混合物を加熱処理することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、煎餅、あられ、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー等の、生地を加熱処理してなる焼上食品およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】自然食品に対する関心の高まりから、野菜などの素材の色や風味を生かしたスナック等の焼上食品の需要が増している。しかしながら、焼上食品の製造においては、生地の加熱処理があるため、単に素材を混入しただけでは、素材の色や風味の劣化が生じる。 【0003】この劣化を防ぐ方法として、例えば、特開平4−4845号公報には、野菜、果物及び/又は種子を減圧フライして得られた乾燥物をスナック生地に混入し、これを加熱処理してスナック食品を製造することが提案されている。この方法では、適熱した野菜、果物及び/又は種子を任意の大きさ、形状にスライスしこれを食用油を熱媒体として減圧下において低温乾燥するという減圧フライ処理が、生地の加熱処理による素材の色や風味の劣化を防ぐために必要とされている。 【0004】一方、加工食品用途の野菜は、搾汁液、磨砕物、抽出色素物等として供給されることが多いので、これらの素材も使用できる、素材の色や風味を生かしたスナック類の開発が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、搾汁液、磨砕物、抽出色素物等の通常の野菜処理物を使用して得られる野菜の色や風味を生かした焼上食品を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究した結果、デンプンを生地に配合することによって、加熱処理による野菜の色や風味の劣化を防ぐことができることを見い出し、本発明を完成した。 【0007】すなわち、本発明は、野菜処理物を混入した生地を加熱処理してなる食品であって、前記生地に乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合したことを特徴とする食品(本発明食品)を提供する。 【0008】本発明食品において、デンプンは、好ましくは米由来である。また、野菜処理物は、好ましくは緑黄色野菜の処理物である。 【0009】また、本発明は、乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合した生地に野菜処理物を混合し、混合物を加熱処理することを特徴とする、本発明食品の製造方法を提供する。 【0010】なお、本明細書においては、特記しない限り「%」は重量%を示す。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明食品は、生地を加熱処理してなる焼上食品であり、例としては、煎餅、あられ、スナック、クラッカー、ビスケット、クッキー等の焼上菓子が挙げられる。 【0012】生地は、乾燥換算で30〜100%のデンプンを配合することが必要なことを除き、焼上食品の製造に通常に使用される材料によって構成することができる。通常に使用される材料としては、米粉(もち米粉を含む)、小麦粉、ヒエ粉、ソバ粉等が挙げられる。 【0013】デンプンは、米(もち米を含む)、コーン、馬鈴薯、タピオカ等の、植物のデンプンに富む部分から蛋白質を取り除くことによって得ることができ、また、市販品として入手可能である。具体的には、ウルチ米デンプン、モチ米デンプン、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、小麦デンプンなどが挙げられる。これらのデンプンは、本来の特性を大きく変えない限り、加工したものでもよく、例えば、リン酸架橋処理、軽度の酸化処理、アセチル基のエステル化等の化学処理または湿熱処理、油脂コーティング等の物理的な処理を施したものが挙げられる。さらには、2種以上を混用してもよい。好ましいデンプンは米由来のものである。また、生地は、焼上食品の製造に通常に使用される膨化剤等の添加物を含んでいてもよい。 【0014】本発明において、野菜処理物とは、野菜に処理を施したものを意味し、例としては、野菜の搾汁液、磨砕物、抽出色素物等を挙げることができる。 【0015】搾汁液は、野菜を、そのまま或いは細断し、物理的な力を加えて圧搾して得られる液をいう。このとき、野菜の繊維質をメッシュ等で濾しても濾さなくても同様に使用可能である。 【0016】磨砕物は、野菜を、そのまま或いは細断し、すりつぶしたものをいう。 【0017】抽出色素物は、野菜を、そのまま或いは細断後、食品添加物用アルコール等の有機溶媒で浸出し、得られた浸出液を濾取後、濾液を濃縮或いは乾固したものをいう。 【0018】また、野菜処理物としては、加熱処理における素材の色や風味の劣化を防ぐための処理が施された処理物も使用でき、これを用いた場合には素材や風味が一層生かされた食品を得ることができると考えられる。 【0019】使用される野菜は特に限定されないが、ニンジン、トマト等の緑黄色野菜であることが好ましい。 【0020】上記のような野菜処理物は、市販品として得ることも可能である。 【0021】野菜処理物の生地への混入は、生地の材料とともに野菜処理物を混合・蒸練する方法によってもよいし、予め製造された生地に野菜処理物を混練する方法によってもよい。 【0022】加熱処理は、焼上げとも呼ばれる工程であり、焼上食品の種類によって適宜選択される通常の条件で行うことができる。 【0023】加熱処理の前に、焼上食品の製造において通常に行われる、整型、硬化、切断、乾燥、ねかせ等をおこなってもよい。 【0024】また、加熱処理の後に、調味付け、仕上乾燥等の通常に行われる処理をしてもよい。 【0025】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 【0026】 【実施例1】(1)スナックの製造(a)原料の混合下記表1に示す原料を表1に示した量で量りとり、混合機(関東混合機工業(株)社製5L用卓上万能型ミキサー「キッチンエイド」)にて混合した。 【0027】 【表1】
・米粉:たかい食品(株)社製乾式ロール米粉・米デンプン:島田化学工業(株)社製ミクロパール・トマト抽出色素物:三栄源F.F.I.社製トマト色素KGM・米粉、米デンプンの水分含量:米粉13.5%、米デンプン12.7%(測定機器:Kett社製 赤外線水分計FD-600、測定条件:120℃、20分間) ・水添加量は、混合時の水分含量が38%となるように設定した。 ・トマト抽出色素物は混合時に0.2%となるように配合した。 【0028】(b)蒸練100℃の水蒸気で予め余熱しておいた蒸練機((株)品川工業所社製小型蒸練機「団子郎」)に上記混合原料(各区分毎)を投入し、さらに蒸気(100℃)を加えながら、15分間、混練し米粉・米デンプン由来のデンプンをα化した。 (c)整型蒸練後の生地をビニール袋に入れ、1.5〜2.0cmの厚さにのした後、室温になるまで放置した。 (d)硬化4℃で72時間、低温保存し、硬化させた。 (e)切断硬化した生地を1〜2mmの幅に切断した。 (f)乾燥27℃で48時間、通風乾燥機(ヤマト科学(株)社製ドライングオーブンDN43)にて乾燥した(この時、水分含量は20%)。 (g)焼き上げ(加熱処理) 乾燥した生地を焼き上げ機(幸和工業(株)社製全自動煎餅焼機KSD 16-2型)にて260℃で焼き上げた。 【0029】(2)色調評価製造されたスナックをオスター社製ミニブレンダーにて粉砕した後、この粉末の色調をミノルタ社製スペクトロフォトメーターCM-3500dにて測定した。結果を表2及び図1に示す。なお、L値は明るさを示し(数字が大きいほど明るい)、a/b値は、赤さを示す(数字が大きいほど赤い)。 【0030】 【表2】
【0031】表2から明らかなように、生地にデンプンを乾燥換算で30〜100%配合した試験区では、トマトの色が鮮やかに発色しており、風味だけでなく、トマト特有の色も保持されることが分かる。 【0032】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、デンプンを含む生地を用いたことにより、野菜処理物を含む生地を加熱処理してなる食品において、野菜の色が鮮やかに発色し、従って、野菜の風味だけでなく、野菜特有の色も保持された食品が得られる。
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【出願人】 |
【識別番号】000104113 【氏名又は名称】カゴメ株式会社 【識別番号】000218982 【氏名又は名称】島田化学工業株式会社
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【出願日】 |
平成10年(1998)4月27日 |
【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
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【公開番号】 |
特開平11−308967 |
【公開日】 |
平成11年(1999)11月9日 |
【出願番号】 |
特願平10−117511 |
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