10月13日(土)・14日(日)の両日、ユアテックスタジアム仙台・仙台市泉サッカー場(いずれも仙台市泉区)を会場に、カメイカップ2007が開催されました。今年で29回目の開催となるこの大会は、東北の若い世代のサッカー選手たちにとって憧れの大会。今年も東北各県から選抜された中学3年生によって、2日間にわたる激闘がくり広げられました。
秋晴れのきれいな青空が広がる日曜日のユアテックスタジアム仙台。前日に行われた予選ブロックリーグの結果、Aブロック1位の青森県選抜チームとBブロック1位の山形県選抜チームが決勝戦へと駒を進めました。序盤から試合のペースをつかんだのは山形。手堅い守りからすばやく攻撃へと切り替え、積極的に青森ゴールを狙います。そんな姿勢が早くも実を結んだのが前半15分。相川優介選手のクロスを受けた松永拓選手が右足を振り抜きシュート。ボールは左のゴールポストを叩きましたが、そのままゴールイン。山形が貴重な先制点を奪いました。続く前半27分には、中央で鹿野智也選手がうまく相手ボールをカットし、左にいた松永選手にパス。松永選手は落ち着いて2点目をゲットしました。
一方の青森もカウンターから何度かチャンスを作りますが、山形のGK名取伸選手の好守に阻まれます。それでも前半36分、青森は成田鷹晃選手から横浜充俊選手へとパスをつなぎ、最後は簗場拓人がキーパーの手を弾くシュートでゴールを決め、1点差として前半を終えました。
後半、追いつきたい青森が攻勢に出ますが、後半開始早々、フリーキック後の混戦から山形の相川選手が追加点。その後は一進一退の攻防となりましたが、山形が2点差を守り抜き、2002年以来3度目の優勝を飾りました。
青森・山形ともに最後まで運動量と集中力を切らすことなくプレーを続け、緊迫した見応えのある試合となりました。
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山形県選抜チーム |
青森県選抜チーム |
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「中学生として最後の県選抜なので、山形県の代表として誇りを持って戦おうと大会に臨みました。僕はこれまで点の獲れる選手ではなかったし、今日も最後は足がつってしまったのですが、チームのみんなで走って勝てたと思います。ここまでカメイカップを目標に練習してきたので、この先のことはあまり考えていないのですが、プロになって、代表でプレーすることを目標にがんばりたいと思います」 |
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決勝戦に先立ち、予選ブロックリーグAブロック2位の宮城県選抜と、Bブロック2位の福島県選抜による3位決定戦が行われました。過去3年連続で優勝し、今年も優勝候補と目されていた宮城でしたが、ブロックリーグで青森に3−2と惜敗。3位決定戦にまわったショックが尾を引いたのか、個々の技術の高さは見せたものの、永瀬達哉選手を中心とした福島の固い守りを崩すことができず悔しい4位となりました。
カメイカップ2007ポスターコンクール大賞受賞/仙台市立市名坂小学校5年 松本 和樹くん『シュート』
予選ブロックリーグAブロック3位の岩手県選抜と、Bブロック3位の秋田県選抜が対戦した5・6位決定戦は、全得点がPKによる得点という珍しい展開となり、1−2で秋田が勝利しました。
決勝戦の前には低学年の小学生を対象にしたカメイサッカークリニックも行われ、ちびっ子たちが元気にユアテックスタジアム仙台の芝生の上を駆け回る姿も見られました。
また、決勝戦のハーフタイムにはポスターコンテストの表彰式が行われました。大賞に選ばれた作品「シュート」は仙台市の小学校5年生による勢いのある絵で、大会ポスターやプログラムの表紙を飾りました。
東北の才能ある中学生がこのカップを目指す
「東北から日本代表選手を!」との思いから、中・高校生を対象とした東北ユースサッカー大会が始まったのは1978年のこと。そして10年後の1988年、当社カメイ株式会社が特別協賛として優勝杯を寄贈したことをきっかけに「カメイカップ」が誕生しました。長い歴史の中で、この大会を経験した数多くの選手たちがJリーガー、日本代表へと成長していきました。2005年までは中3と高1の選手を対象としていましたが、2006年から国体のサッカー少年男子の部が16歳以下となったため、カメイカップは中学3年生を参加資格とし、国体予選の前哨戦としても位置づけられるようになりました。
宮城県サッカー協会技術委員長 鈴木武一氏
宮城県サッカー協会技術委員長を務める鈴木武一氏は、「カメイカップは東北の選手育成にとって重要な大会。各県の中学3年生にとって、県の代表としてカメイカップに出場することはステイタスになっていますし、指導者にとっては中学年代の強化・育成の成果を試す大会にもなっています」と、カメイカップが東北サッカーのレベルアップに果たす役割を強調。また「ナショナルトレセン(※)のコーチも視察に来ますから、この大会で活躍して日本代表のトレーニング会に呼ばれることも十分ありえます」とも。カメイカップは東北の選手たちにとってさらに大きなチャンスをつかむ場でもあるのです。
※ナショナルトレセン=「トレセン」はトレーニングセンターの略。日本サッカー協会がU-12・U-14・U-16の年代別に行っている育成システムのトップに位置するのがナショナルトレセンで、全国から選抜された選手が参加する。
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●加藤 望(湘南ベルマーレ、元日本代表) ●小笠原満男(鹿島アントラーズ、元日本代表) ●今野泰幸(FC東京、日本代表) ●千葉直樹(ベガルタ仙台) ●中田洋介(ベガルタ仙台) |
●菅井直樹(ベガルタ仙台) ●萬代宏樹(ベガルタ仙台) ●大久保剛志(ベガルタ仙台) ●佐々木勇人(モンテディオ山形) |
Aグループ対戦成績
| 岩手県 | 宮城県 | 青森県 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失 | 順位 | ||
| 1 | 岩手県 | - | 0-2 | 1-6 | 0 | 1 | 8 | -7 | 3 |
| 2 | 宮城県 | 0-2 | - | 2-3 | 3 | 4 | 4 | 0 | 2 |
| 3 | 青森県 | 6-1 | 3-2 | - | 6 | 9 | 3 | 6 | 1 |
Bグループ対戦成績
| 山形県 | 秋田県 | 福島県 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失 | 順位 | ||
| 1 | 山形県 | - | 5-0 | 0-2 | 3 | 5 | 2 | 3 | 1 |
| 2 | 秋田県 | 0-5 | - | 3-2 | 3 | 3 | 7 | -4 | 3 |
| 3 | 福島県 | 2-0 | 2-3 | - | 3 | 4 | 3 | 1 | 2 |
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決勝戦 |
3・4位決定戦 |
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5・6位決定戦 |
<山形県選抜>
| ●GK | 名取伸選手 | 蔵王第一中学(モンテディオ山形Jrユース村山) |
| ●MF | 鹿野智也選手 | 山形第二中学(山形FC Jrユース) |
| ●MF | 松本峻輔選手 | 山形第六中学(山形FC Jrユース) |
| ●FW | 川俣進之介選手 | 山形第三中学(山形FC Jrユース) |
| ●FW | 松永拓選手 | 山形大学付属中学(モンテディオ山形Jrユース村山) |
<青森県選抜>
| ●DF | 乳井大選手 | 青森山田中学 |
| ●DF | 横浜充俊選手 | 青森山田中学 |
| ●FW | 成田鷹晃選手 | 田名部中学 |
| ●FW | 簗場拓人選手 | 青森山田中学 |
<福島県選抜>
| ●MF | 野口大輔選手 | 小名浜第一中学(JヴィレッジSC) |
<宮城県選抜>
| ●MF | 小松皓希選手 | 将監東中学(ベガルタ仙台Jrユース) |
大会MVP 松永 拓選手
■主催/東北サッカー協会
■主管/宮城県サッカー協会
■特別協賛/カメイ株式会社
■協賛/カメイプロアクト株式会社、仙台コカ・コーラボトリング(株)、ミヤギテレビ
「80分を通して集中して守備ができました。優勝できたことは今後に向けても非常に大きなきっかけ。これからこのチームをベースにミニ国体(U-16)の東北予選に臨みますが、これからも攻守ともにがんばれる選手を育てていきたいと思っています」