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< 産婦人科医療に残されたもの | メイン | どんな病院で働きたいか >
2008.01.24 19:00 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 34

拒食症少女の記事に思う

拒食症で入院中の患者さんについて、精神科の先生から診察の依頼を受けることがあります。

入院が必要なほどの拒食症の患者さんは、まず無月経になっています。

極端にやせ細っていますので、月経どころではないのですが、

産婦人科医の立場からもケアをすることによって、患者さんを支えるのが目的です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

花子さん(仮名)は、拒食症で入院中の高校生の患者さんです。

身長155cm、体重27kgと、骨と皮だけのような身体に

どこかあどけなさが残る、かわいらしい女の子でした。

躾の行き届いた聡明なお嬢さん、という感じで、

月経や妊娠・出産のしくみをお話しすると、目を輝かせて聞いていました。

花子さんと私はすぐに仲良くなり、他愛のないお話をしに

毎日訪室するようになりました。

 

しかし。

日ごとに、花子さんの別人のような面を見るようになりました。

極度に体力が低下していますので、安静を指示されているはずなのに、

部屋に入ったら、室内に踏み台を作って、昇降運動をしている最中だったことがあります。

頑なに食べることを拒否している花子さんですが、

お料理の本や食べ物の写真に夢中になっていて、

ノックの音に気づかなかったりもしました。

花子さんにとっては、「デパートの地下はお花畑みたい」なのだそうです。

また、点滴をこっそり外して、「金の烏龍茶」のペットボトルに貯めているのを発見!

なんてこともありました。

 

情緒も不安定でした。

ほとんどは穏やかに笑っている花子さんですが、

暗い表情で「太るくらいなら死んだ方がまし」と言うこともありました。

もちろん、本気で言っているわけではありません。

「将来、赤ちゃん、ほしくない?」と聞くと

これには必ず「ほしいです」と答えます。

 

ある日のことです。

午前の外来が終わる頃、病院内全館放送で、緊急コールがかかりました。

招集先は、精神科病棟です。

患者さんの急変時にかかる招集の合図で、産婦人科医は行っても役に立たないことも多いのですが

ひとまず行きます。

 

行ってみると、呼ばれたのは、花子さんの部屋です。

全身に、鳥肌が立ちます。

必死で覗いた人垣の間から見えるのは、花子さんの枯れ枝のような手足が、

異様に伸び切って硬直した姿です。

麻酔科の先生が既に何人か駆けつけていて、必死で挿管を試みますが、入りません。

鼠径部の血管から点滴を入れると同時に、ブドウ糖や薬剤を投与しますが・・・

 

花子さんは、亡くなりました。

16歳でした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

拒食症は、5%が死に至る、恐ろしい病気です。

他にも、救急車で運ばれた患者さんを、何人か知っています。

意識を失い、調べたら血糖値が10mg/dlだった人。

こんにゃくゼリーを50個くらい食べて、腹痛で運ばれて来た人。

爆発的な過食の後、自己嫌悪感と絶望とで、手首を切ってしまった人。

 

1月19日付けの時事通信の記事からです。

同じ16歳の女の子が、拒食症で死亡しています。

 

<7病院断り、16歳少女死亡=拒食症で治療拒否-大阪> 

 大阪市で2006年11月、救急搬送を要請された16歳の少女が7病院に受け入れを断られた後、

搬送先の病院で死亡していたことが19日、分かった。

市は搬送遅れと死亡との因果関係は不明としている。

 市消防局によると、06年11月30日午後10時20分ごろ、少女の母親から

「娘が食事をせず、起きてこない」と119番があった。間もなく救急隊が到着、搬送先を探したが、

7病院に断られ、8病院目となる守口市の病院に搬送した。

救急隊が少女の自宅に到着してから搬送先の病院に到着するまで57分かかった。

 搬送先の病院によると、少女は拒食症で、到着時にはショック状態で意識が無かった。

約1時間後に心肺停止状態となり、翌朝心不全で死亡した。

それまでも複数の病院で受診していたが、治療を拒んでいたという。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

報道の仕方を、間違っていると思います。

書き方によっては、

「拒食症って怖いんだ、死んでしまうこともある、恐ろしい病気なんだ」

ということを、世の中の女の子とそのお母さんたちを啓蒙するのに

役立てることだってできたはずです。

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拒食症の女の子が死んだ話。
7病院拒否、大阪の16歳少女死亡 大阪(IZA) 大阪市で平成18年11月、救急搬送された拒食症の少女=当時(16)=が7病院に受け入れを断られた後にショック状態に陥り、心不全で翌日に死亡していたこ... [続きを読む]
posted from 3番目の落書き帳 2008.01.24 19:50

コメント

コメント一覧

***拒食という道。。。ななちゃんのエントリーは、覚悟して読まないと。。ね。結末はきょうは、特別ミゼラブル。わたしは、すべてをやり残したまま倒れた。**** by ゆめみ

食べないと、死んでしまう。。。
こんな当たり前のことでも、
本当にそのことを経験するひとはめったにいない。

太ってしまったら、自分を愛せない。
こんな当たり前のことでも、
本当にそのことにうなづいてくれる人はほとんどいない。

おいしそうでしょ。この料理本。
まあ。おいしそー。
でも、食べたら自分を愛せない。

もうすこし食べましょう。こどもは欲しい?
ええもちろん。
でも食べたら愛されない。

このままじゃ、本当に死んじゃうよ。
そうかしら。
でも愛されないなら死んでもいい。

自分を愛すること、愛されることと、
食べること、太ることが一枚の絵の表と裏のように、
くっ付いてしまったひと。。。痛いほど、よくわかるわ。

愛すること、愛されることと、
勝つこと、負けることが一枚の紙切れの表と裏のように、
くっついてしまった人がいるように。。。

愛すること、愛されることと、
捧げること、もらうことが一つの壁の表と裏のように、
くっついてしまった人がいるように。。。

***安らかに。天国でいっぱい愛をもらってください。***
written by 夢見る掃除人 / 2008.01.24 20:25
夢見る掃除人先生

先生のコメントに、こちらが泣いてしまいそうです。
特に、最後の一文は。
もう何年も前のことですが、
未だに忘れられずにいました。

それにしても先生は一体、どんな方なのでしょうね(笑)
written by なな / 2008.01.25 08:22
世界で一番敬愛するカレン・カーペンター(イエスタディワンスモア、青春の輝き、トップオブザワールドなどで知られるCarpentersのボーカル)がたしか30代前半で拒食症で亡くなったと新聞の1面記事に載っているのを見たとき、ショックにうちひしがれました。そして拒食症の恐ろしさをはじめて知りました。あれから何年たつのでしょう。やはりそれほど治療が難しい難病だということなのですね。
written by Paul Carpenter / 2008.01.25 08:43
拒食症・致死性不整脈・交通事故による多発外傷、死因となった病気、外傷のことは全く考慮にいれず、「たらいまわし」がなかったらこの患者さんは助かっていたはずだ!という病院たたきの為の、報道者の姿勢には、大変ギモンがのこります。
彼らにとっては、病で死んだのではない、「たらいまわし」をされて死んだのだ、と本当に思っているのでしょうか。
written by akagama / 2008.01.25 12:59
拒食症を含む摂食障害の人と、同じ医療機関に通っていたことがあります。
摂食障害は特に母親との関係に問題のある場合が多いと聞きます。
そして。多くの人が、私と同じ、アダルトチルドレンの自覚を持ちます。
生きづらい。このままで生きていていいと思えない。自分を受け入れられない。
自分に生きる価値があるとすら思えないから、死んでしまうかもしれないことに憧れさえ覚えるのかもしれません。
特に摂食障害の人は、「美しくありたい」気持ちが強いから。
回復には、長い時間が必要です。
救急車で運ばれたからといって、治るわけではない。
この記事を書いた人は、摂食障害に関する知識がないのでしょうね。
written by なあ / 2008.01.25 15:30
拒食症の患児は大学病院で沢山診ました。高名な渡辺久子先生がいらっしゃったからでした。

拒食症の怖さはボディーイメージの崩壊。彼女達は自分が太っているとしか認識できません。脳内麻薬によるものといわれています。

確かに僕らも空腹時になぜかハイになることがあります。彼女達の異常な活発性(運動・活動・勉強など)は脳内麻薬のせいなのでしょう。

しかし脳は萎縮し、心臓も徐脈となり(これが発見の一番の方法といわれています)。女性の方が男性の30倍近くなりやすいというのは単なるファッションへの興味だけではないのかもしれません。

流動食のような食事を根気よく続ける。主治医も看護師もいっぱいいっぱいになります。しかし立ち直った時、彼女達は強くなります。人間はあやまちをおかした時こそ、真に目覚めるのかもしれません。
written by いっちゃん / 2008.01.25 16:46
 美しくありたい気持ちから来る、ボディイメージの崩壊、、、この怖さを、学生時代に実感しました。
 私は栄養学を専攻し、「正しく食べて身も心も健康に!」といった授業ばっか学びました。が、拒食症になる学生は年に数人は出たし、それで亡くなった学生もいました。「健康な食事とは…」なんて栄養指導しながら、自らは食べ吐きの日々を送る栄養士もいます。知識と自分の理想と、実際は別モノですし、単なるファッション上の理由でもない例も目の前にしました。
 私も栄養学の知識をフルに生かし、元々スリムなのにモデル並になってやるぅっと気合い入れて減量したことがありました。。。が、その気持ちがストレスとなり、ドカ食いし逆に太ってしまいました。
 で、多忙で減量どころじゃなくなったら、ストンと体重が落ち、今ではうんと食べても思うように太れません。若さはバカさだった、無駄な時間を費やしたと、赤くなっちゃいますです。
written by christmas / 2008.01.25 19:44
http://www.youtube.com/watch?v=l7G0ENIwIpg

患者さんの目に映る自分の姿。
これが誇張でないのだとしたら、「認知の歪み」というのは本当に驚異だと思います。
written by fuka_fuka / 2008.01.25 20:38
拒食症は単にボディーイメージの崩壊による疾患ではありません。
反応性愛着障害の一症状として現れたものと考えます。
母児の愛着形成が乳幼児期に行われておらず、当然のように「母親から愛されていない自分」に対して自尊心が育つわけもなく、自分のことが好きになれないのです。
自殺する人、拒食症に陥る人、ブランド品で身を固めないと気が済まない人、これらは皆自分自身が好きでなく、自分に自信が持てないからそういった行動に駆り立てられるのです。
両親との関係が極めて良好な若者には拒食症は殆どいないはずです。
治療の第一歩は母親との愛着形成のやり直ししかありません。
written by 愚痴 / 2008.01.25 21:37
申し遅れました。
ご結婚おめでとうございます。
ご懐妊される前に、「こどもへのまなざし 佐々木正美著」と「子を愛せない母 母を拒否する子  ヘネシー澄子著」を是非読まれて下さい。
written by 愚痴 / 2008.01.25 21:40
Paul Carpenterさん、こんにちは。

カレン・カーペンター死亡のニュースは、何の授業かは覚えていませんが、
授業を始める前に、担当の先生がまずその話をしたのを覚えています。
その時は、ことの重大さがわかりませんでしたが。
イギリスの故ダイアナ元王妃がやはり摂食障害でしたね。
自ら告白するインタビューを見てとても驚いたのも、もう10年以上前です。
摂食障害による死亡の、文献上の一番古い報告は、1689年というものがありました。
しかし症例は増える一方、病態も深刻化する一方のような気がしてなりません。
written by なな / 2008.01.26 12:43
akagamaさん、こんにちは。

今回言いたかったのは、まさに先生がご指摘下さったことです。
花子さんは入院中、平日の昼間に突然亡くなりました。
数分で救急部の医師・看護師が何人も駆けつけられる場所ですら、
救命することができなかったのです。

マスコミのレベルアップなど期待していませんが、
当該事象を見て、亡くなった患者さんの病気の内容に全く思いを巡らせずに
脊髄反射的に「あ、たらい回しネタだ」とだけ思って記事にしたのだとしたら・・・
空恐ろしいことです。
written by なな / 2008.01.26 12:52
なあさん、こんにちは。

おっしゃる通り、摂食障害は非常に難しく、長い経過を辿る大変な病気ですね。
病因も複雑ですし、症状もなあさんがお書きになったようなうつ的なものから、
逆に非常に活発であったりと、様々です。
本文には、5%が死に至ると書きましたが、
20年の追跡調査だと、20%の患者さんが亡くなっています。

「7病院に受け入れを断られた後、搬送先の病院で死亡」
が、一番に発信すべき内容ではないと思うのです。
written by なな / 2008.01.26 13:04
いっちゃんさん、こんにちは。
いつものことながら、先生のコメントには息をのみます。

脳内麻薬、ひとつのkey wordですね。

>女性の方が男性の30倍近くなりやすいというのは単なるファッションへの興味だけではないのかもしれません。

これは、とても面白い考え方だと思いました。
ファッションへの興味の性差が、確かにこんなにあるとは思えません。
個人的には「生物・心理・社会的因子」という言葉がまさにぴったりの疾患だと思っています。

さらに、最後の一文に感動しました。
患者さんに対する、いっちゃん先生の深い愛情が伝わってきます。

written by なな / 2008.01.26 13:26
christmasさん、こんにちは。

コメントを読んで、christmasさんにとって決して無駄な体験ではなかったのでは?とお見受けします。
ご本人は大変な思いをなさったのに、すみません。
でも、ご自分も含めて栄養学を専攻した人たちの実態を冷静に振り返って、
こうして教えて下さる姿勢を見たら、何だかそんな気がしてなりませんでした。
いつか漫画に生かせますように。
いえ、もう生かしてらっしゃるかも知れませんね。
written by なな / 2008.01.26 13:34
fuka_fukaさん、こんにちは。

ぴったりの画像をありがとうございます。
認知の歪みは、驚異です。
この疾患に限って話しても、他にも例えば
顔に老婆のようなしわができるようなやせ方をしても
「やせている自分は美しい」と思うような認知の歪みが存在します。
written by なな / 2008.01.26 13:38
愚痴さん、こんにちは。
小児科の先生の立場からの貴重なコメントを、ありがとうございます。

愛着形成の重要性を、改めて感じます。
実際にそのような症例を診ることがありますが、治って行くと
むしろお母さんの方が「私自身が成長した」と異口同音におっしゃるのが印象的です。
また、ご両親が既に他界されている独居女性のようなケースは、
治療は困難を極めるという話を聞いたことがあります。

お祝いのメッセージとお勧め、ありがとうございます。
これまでも先生には、予防接種、妊娠・新生児と喫煙と、
とても貴重な知識を教えて頂きました。
今後ともよろしくお願い致します。
written by なな / 2008.01.26 13:46
なな先生こんにちは。
この新聞記事を読んだ時、伝える内容が違うのにと憤りながらそのままになりました。お忙しいのに、この少女の思いを見逃さずにこうして伝えてくださる先生は、本当に愛に生きる方だなと思います。それからゆめみ先生の詩も、泣きました。

本質を伝えずに、いったい報道の意味があるのでしょうか。

最近思います。世の中は、医療にだけでなくあらゆる方向へバッシングを繰り返していますが、医療従事者だって突然変異ですばらしく優しい人になるわけではないのですものね。
同じこの日本の社会の中で、価値観や生き方を見ながら育ってきたわけですから。医療や福祉に優しさがまだ不足しているとすれば、それはその社会のレベルの裏返しでもあると思います。ジャーナリズムというのは、その本質を見極めていく仕事だと思うのですが。
人に優しさを求めるのなら、自らも優しくなる努力をしたいものです。なな先生のブログは、そんな意味でも読む人を変える力を持っていると思います。
written by フィッシュ / 2008.01.27 14:13
フィッシュさん、こんにちは。

過分なお褒めほ言葉を、ありがとうございます。
照れくさいですが、褒められるとやはり嬉しいです(笑)。

言われてみれば、世の中バッシングだらけですね。
本来の職務など忘れてしまったジャーナリズムですが、「売れること」を追求するという姿勢は一貫しています。
「売れること」=「バッシング」なのだとしたら、これが社会のレベルなのだとしたら、
嘆かわしいことですね。
そして自らも、社会レベルの形成に加担していることを反省しなければなりません。

ゆめみ先生のコメントは、私も繰り返し読んでいます。
若い患者さんにお見せしたら・・・号泣されるかも知れませんね。
written by なな / 2008.01.28 08:14
はじめまして。以前、大学病院の救命で看護師をしていました。何度か、摂食障害の患者さんを見たことがあります。それも、ほとんどが少女。やせ細った体。それでも、やせたいと言っていました。何でだろう。。。それが、正直な気持ちでした。
今思えば、「何でだろう」と患者さんの気持ちをわかろうとすることがもっと必要だったのでしょうね。
written by modern / 2008.01.30 01:25
modernさん、はじめまして。

救急外来で摂食障害の患者さんに接するとしたら、
主として身体的なケアになることが多いのではないかと思います。
しかし、例えば低血糖発作やリストカットのような、
患者さんにとってはインパクトのあるイベントが起きている時でもありますので、
そんな時の看護師の対応は、患者さんの心に残りやすいでしょう。
とてもskillの要るケアだと思います。
患者さんの気持ちをわかろうとすることは、常に必要だと
私自身も感じています。
written by なな / 2008.01.30 18:33
「グループカウンセリング」は、日本にありますか?

前にもなな先生にお勧めした『祖父の恵み』の中に、拒食症の患者と回復者によるサポート・グループのことが出ていました。回復した患者さんが、現在拒食症の人から「あなたと出会えたことは、私にとって重要な意味を持っている」とある時、言われたのですが、彼女自身は、最初、その意味を理解できなかった。でも、彼女は帰宅する途中で「わたしね、わたし自身が出会う必要があった人間になれた」と、何と表現したらよいか「腑に落ちた」んです。やっとの思いで生き延びてきた彼女にとって、それはどれほどの喜びだったかと、想像します。こういう方法が、日本でもあればよいなぁと思いながら読みました。
高校時代に、クラスの中にいじめがあって、その対象だった人が拒食症になった、という経験があります。その後10年くらいたって、彼女が結婚をし、生理も現在はあるとクラス会での報告を聞いて、喜んでいましたが、現在は、またあまりコミュニケーションが取れない状態で、少し心配しています。
「子どもへのまなざし 佐々木正美」福音館です。私もお勧めします。
written by michiko / 2008.02.03 15:30
michikoさん、こんにちは。

日本でも、グループカウンセリングをしているところはあります。
治療の主体というよりは、認知行動療法を補助する目的で行われるという印象ですが、
患者さんによっては、なくてはならない場に発展することもあるようです。
その一方で、自分には全く合わなかったという人がいたり、
難しいですね。

written by なな / 2008.02.04 08:24
現在は訪問看護師をしていますが、以前は精神科のある病棟でナースをしていました。
私が関わった精神科以外のドクターの多くは、たとえ内科などの疾患を合併している精神科患者でも、積極的に関わる方はいらっしゃいませんでした。どうせ気のせいだろう、精神薬でも飲ませておけば大丈夫だろうと思われているようでした。以前アッペで激痛を訴えている精神科患者に内科当直は鎮痛剤の処方しかせず、ろくに診察もしませんでした。翌日日勤でたまたま精神科にいたレジデントがレントゲンをとり、大慌てでオペになりました。
たくさんの精神科患者さんと出会いましたが、みんな程度の差こそあれ人との温かい関わりに飢えているように感じました。「あなたに関心を持っていますよ」という姿勢が感じられる関わりを、皆さん求めていたように思います。
花子さんは亡くなりましたが、先生にこんなにも関心をもって接してもらえて幸せでしたね。もしかしたら、彼女は死をもって(先生や関係者の記憶に残ることで)、愛情を得られたのかもしれません。
これからも先生のご活躍をお祈りします。

written by まりも / 2008.02.14 22:16
まりもさん、こんにちは。

ああして花子さんに積極的にかかわったことを
専門家の方が評価して下さって、報われた気持ちです。
もう、何年も前のお話なのに。

> たくさんの精神科患者さんと出会いましたが、みんな程度の差こそあれ人との温かい関わりに飢えているように感じました。

ああ、そうなんですね。
婦人科には、メンタルケアを要する患者さんがよくいらっしゃいますが、
そんな患者さんたちと接する時に、漠然と感じていたことを
ぴたりと言い当てて頂いた感じがします。
まずは「あなたに関心を持っていますよ」という姿勢を示すことから、
良いラポールが築けるんでしょうね。

こんなに頼りになる看護師さんがいらっしゃったことに
胸を熱くしています。
共に、いい医療を提供していきましょうね。



written by なな / 2008.02.15 08:37
はじめまして。妹が摂食障害です。
もう社会人で少しまともな生活が出来るようになった妹ですが、
18歳の時が1番ひどくやせ細って枯れ木のようでした。
けれど本人は太っていると思っていて・・・丁度この少女のようでした。

当時妹はもちろん生理が無く、不安になった彼女は1人でこっそり
産婦人科に行ったそうです。
けれどその産婦人科医に自分から摂食障害の話をする前に
「摂食障害でしょ?!そんな事続けたら赤ちゃん産めないですよ!」
と一方的に言われショックを受け、泣いて飛び出したそうです。
その産婦人科は地元で評判も良く、出産する女性に対しては
すごく良い先生なんです。
ただ、身体を粗末にする女性の事が許せないようで・・・
まだ18歳だった妹は傷つきました。

すいません、突然の書き込みでこんな事を書いてしまって。

摂食障害は深いです。
妹も子供は欲しいと言いますが、子宮が本来の働きをほとんど
していないと、別の産婦人科で診断されたそうです。
(別の病気で処方されたホルモン剤などの影響もあるのですが、
やはり摂食障害時期が長くそれも影響しているとの事)

死なずに今生きていてくれる事が姉として、家族としては十分ですが
やはり本人は子供を産みたい・・・。

すいません、何が書きたかったのかどんなコメントレスが欲しいのか
自分でもわからないまま書き込んでしまいました。
無礼があれば消してください。
先生のような産婦人科医の先生がいらっしゃる事は患者(妊婦?)
としての私からすると心強いです。
私の担当の産婦人科医の先生は、いつも目を充血させながら
沢山のお産をこなし頑張ってくださっていますが心配でもあります。
なな先生もご自身のお体を大切にして下さい。
written by 妊婦です / 2008.03.05 17:05
妊婦ですさん、こんにちは。

普通に仕事をしていたら聞くことができないような
患者さんやご家族の生の声を聞けることが、
ブログを始めて得ることのできた、大きな財産のひとつです。
摂食障害のご家族の方のお話は、大変貴重です。
ありがとうございます。

> 「そんな事続けたら赤ちゃん産めないですよ!」

これは、辛かったですね・・・
恐らくご本人が一番お気になさっていることで、
でも自分ではどうすることもできなくて、苦しんでいるのに。
自分も含めて我々産婦人科医は、病気に対する見識をきちんと持たなくてはなりません。

> 死なずに今生きていてくれる事が姉として、家族としては十分ですが

ご家族のこの気持ちが、実感を持ってご本人に伝わることが
治癒への鍵になっていくのではないかと思っています。

妊婦ですさんは、これからお産ですね。
かわいい赤ちゃんに会って、赤ちゃんのいいにおいをかいで、
抱っこして、ぷにぷにの肌に触れることは
妹さんにとって何らかのプラスになるのではないでしょうか。

妹さんに、明るい笑顔が戻ることを祈ってやみません。
そしてお身体にお気をつけて、良いお産をなさって下さいね。
written by なな / 2008.03.06 08:35
おはようございます。
整理出来ていない書き込みへの早速のお返事
ありがとうございました。

始まったばかりの妊婦生活(2人目なんです)、
仕事をしていますが頑張って乗り切りたいと思います。
まだまだ不安定な妹も支えて生きたいと思います。
ありがとうございました。
written by 妊婦です。 / 2008.03.06 09:09
妊婦ですさん、お返事ありがとうございます。

まだまだ、これからなんですね。
頑張り過ぎないように頑張って、
素敵な妊婦生活をお送りになりますように。
written by なな / 2008.03.07 08:39

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