2007年11月2日(金)「しんぶん赤旗」
INAX子会社
委託でも「労働者」
中労委 団体交渉を命令
INAX(イナックス)の子会社と業務委託契約を結んで修理業務に従事する委託労働者が、「個人事業主だとして会社が団体交渉に応じないのは不当労働行為」と訴えていた事件で、中央労働委員会は一日までに、「労働組合法上の労働者である」と認め、会社側に団体交渉に応じるよう命令しました。
訴えていたのは、INAXメンテナンス(本社・愛知県常滑市)の委託労働者でつくる建交労建設一般合同支部INAXメンテナンス近畿分会。不当労働行為と認めた大阪府労委の命令(二〇〇六年七月)に続く労組側の勝利命令となりました。
実態は労働者なのに個人事業主扱いされ、労働法制の保護から排除される労働者の生活と権利を守る力となるものです。
INAXメンテナンスは、カスタマーエンジニアと呼ぶ労働者五百七十人と業務委託契約を結んで修理業務にあたらせています。報酬が低く残業代もないなど劣悪な労働条件の改善を求めて〇四年九月、労働組合を結成し団体交渉を求めましたが、会社側は「独立した個人事業主」だとして拒否していました。
中労委は、(1)会社の事業に恒常的で不可欠な労働力として組み込まれている(2)業務の方法を会社がマニュアルで義務付け(3)日時、場所、方法など会社の指揮監督下にある(4)会社の依頼を断るのは困難で、専属的拘束の関係にある(5)報酬は労務の対価にあたる―と認定。
「会社の基本的かつ具体的な指図によって仕事をし、そのために提供した役務につき対価が支払われている」として、労組法上の労働者に該当すると認めました。
建交労建設一般合同支部の泉正委員長は「完全に組合の主張が取り上げられ、会社側の主張はすべて退けられました。同じような条件下で働かされる労働者のたたかいを励ますものです。会社側に直ちに団体交渉に応じるよう求めていきたい」と話しています。