大阪市が今年3月、大阪港内の防波堤や護岸を港湾施設に組み入れる条例改正をしたことを受け、10月以降、防波堤などが立入禁止区域に指定される見通しになっていることが9日、わかった。昨年8月、港内の人工島・夢洲で釣り人の転落死事故が発生したため。禁止区域指定後に無断で立ち入ると5万円以下の「罰金」が課せられ、事実上、港内は“釣り禁止”になる。渡船業者が人工島の護岸に釣り人を運ぶ行為もできなくなり、波紋を広げそうだ。
市が新たに立入禁止区域に指定する見込みなのは、「大阪南港魚つり園」を除く大阪港の防波堤や護岸。市はすでに3月に港湾施設条例を改正し、防波堤、護岸などを港湾施設に加えた。今回は、この港湾施設を立入禁止区域に指定する方針だ。
これまで市は、危険な地域について立ち入り禁止の立て看板やフェンスを設置していたが、釣り人がフェンスを破って侵入するケースが相次いでいた。釣り人に市職員が注意しても、法的根拠がないため、「法律で決められているのか」と開き直る人もいるという。
こうした中で昨年8月、夢洲で釣りをしていた会社員の男性=当時(45)=が、桟橋から転落したとみられる死亡事故が発生。今年3月、男性の遺族が安全管理に問題があったとして市などを相手に損害賠償請求訴訟を起こした。市は争う姿勢だが、責任の所在をはっきりさせるために条例改正し、護岸などを市に管理責任がある港湾施設に加えた。
事実上の“釣り禁止条例”に納得できないのが釣りファンや渡船業者。大阪港周辺はチヌ釣りが有名で、50センチを超える大物を狙い、週末には関東や九州からも大勢の釣り人が訪れる。
週末には100人以上の釣り客を夢洲などに運ぶなど、30年以上釣り人を防波堤や護岸まで運んできた「ヤザワ渡船」(港区)の矢沢明社長(67)は「渡船を続けてくれという要望が非常に強い。条例に反して商売することはできないが、収入は、渡船と沖合で釣る乗合船が半々。簡単には割り切れない」と話す。
また、別の渡船業者は「大阪市が立入禁止にすれば大阪湾に面する神戸市や堺市なども追随する可能性がある。このままでは大阪湾で一切釣りができなくなってしまう」と危機感を募らせている。
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