今週のお役立ち情報
『ポニョ』独走も市場は縮小傾向 洋画不調の原因を徹底分析!
2008年09月02日12時00分 / 提供:日刊サイゾー
1.『崖の上のポニョ』(7月19日・東宝)150億円〜
2.『花より男子 ファイナル』(6月28日・東宝)75億円
3.『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(6月21日・パラマウント)57億円
4.『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール/ギラティナと氷空(そら)の花束シェイミ』(7月19日・東宝)50億円
(文化通信調べ・数字は一部推定)
5位以下はかなり流動的なので省略するが、結果として『ポニョ』の1本かぶりである。先日、『ポニョ』は観客動員が1000万人を超えたとの発表があったが、最終的に興収150億円は超えそうで、まさに宮崎アニメの面目躍如と言っていい。
また、2番手の『花より男子』は予想以上の大健闘(記事参照)。07年公開の『HERO』(81.5億円)には及ばなかったが、70億円を突破する堂々たる成績。以上、東宝作品が1位と2位、加えて4番手の『ポケモン』も同様に東宝作品。
日本市場の問題点は、東宝以外の邦画がなかなか稼げない点にある。5位以下で、東宝以外の邦画は、松竹の『ゲゲゲの鬼太郎』の13.5億円が一番上位である。評価の高かった『クライマーズ・ハイ』(東映・ギャガ=記事参照)にしても興収は11億円。この、東宝1人勝ちの状況はなかなか動かない。
そして、ここに来てさらに問題視されているのが、ハリウッド映画を中心とする洋画陣営の不振である。『インディ・ジョーンズ4』こそ、興収50億円を突破してこの夏の3番手につけたが、当初の配給側の目標は100億円だった。そして、これに次ぐ洋画の2番手は恐らく『ハムナプトラ3』だが、興収は20億円程度に止まる見込み。話題になった『セックス・アンド・ザ・シティ』にしても、10億円を上回るのが精いっぱいである。
最近、ハリウッド映画が不振をかこっている原因は色々考えられるが、その一番目は、映画の内容的に日本市場と相性が悪いという点であろう。
ちなみに、今年の全米興行収入上位10傑は、現在までに下記のようになっている(10万ドル以下の数値は切り捨て)。
1.『ダークナイト』4億9300万ドル
2.『アイアンマン*』3億1700万ドル
3.『インディ・ジョーンズ4』3億1500万ドル
4.『ハンコック』2億2600万ドル
5.『WALL・E/ウォーリー*』2億1600万ドル
6.『カンフー・パンダ』2億1200万ドル
7.『ホートン/不思議な世界のダレダーレ』1億5400万ドル
8.『セックス・アンド・ザ・シティ』1億5200万ドル
9.『ナルニア国物語』1億4100万ドル
10.『ハルク』1億3400万ドル
(5月1日以降公開作品。*印は日本では未公開)
このランキング中、まず『ダークナイト』『ハルク』といったアメコミ作品(記事参照)が日本ではパッとしない。9月27日公開の『アイアンマン』にしても、日本では知名度の低いキャラクターなので、苦戦が予想される。
かつて『アメコミ映画は日本ではヒットしない』という定説があって、それは『スパイダーマン』で払拭されたかのように喧伝された。しかし、定説は相変わらず生きていて、『スパイダーマン』の方が例外だったと考えるのが妥当である。
また、6位の『カンフー・パンダ』(記事参照)と7位の『ホートン』はファミリー向けのアニメ作品だが、これまた日本ではヒットしないジャンル(アメリカ製アニメ)である。事実、この2作、今夏の日本での興行は厳しい結果に終わっている(ただし、例外はピクサー作品で、5位の『ウォーリー』は日本では次の正月の大ヒット作と目されている)。
思えば、昨年の夏は『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ハリー・ポッター』の新作があって、その他にも『ダイ・ハード4』や『トランスフォーマー』といったアクション大作があり、ハリウッド映画はかなりの賑わいを見せていた。たまたま今年の夏が、ジャンル的に日本と合わなかったという巡り合わせであれば、まだ納得もできる。
しかし『バットマン』はまだまだ続くし、今年1作目がヒットした『アイアンマン』もシリーズ化が決定している。『ハルク』も同様だろう。何年か後に、また悪い巡り合わせはやってくる。何か、対策が必要である。
(eiga.com編集長・駒井尚文)
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