また社保庁の不祥事が発覚し、汚染米転売という新たな偽装商法が明るみに出た。首相の退陣表明で、内閣が「死に体」のようになった折も折である 年金に対する不信感も取り除こうと、首相は「社会保障5つの安心プラン」を提案した。相次ぐ食品偽装を受けて登場したのが、消費者庁の設置。どれもまだ青写真も十分に出来上がってはいないのに、退陣による仕切り直しである 社保庁の腐敗は底なしのようだし、汚染米転売でも農水省の監査の甘さが露呈した。大ナタを振るう立派な青写真を作っても、官僚を動かさなければ始まらないし、時に人やカネを減らす痛みを強いる。が、1年で首相交代の仕切り直しに、どこまで官僚が闘志を燃やすか怪しい 相撲の仕切り直しは、ファンを楽しませる。力勝負への期待が高まる独特の時間である。揚げ句に、立ち合いの変化技であっけなく勝負が決まると、時にため息やヤジが出る 政治の仕切り直しは、肩すかしが多い。1年前の「美しい国」づくりは、政治の土俵から雲散霧消した。「安心実現内閣」の青写真も、そうならないという保証はない。
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