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マリファナは悪なのか?〜日本の薬物政策のあり方と、マスメディアのマリファナに対する偏向報道を問う

円山てのる2008/08/24
日本の薬物政策のあり方とともに、マスメディアのマリファナに対する偏向報道にも、この際、一考を促したい。
日本 マスコミ NA_テーマ2

 先日、ロシア出身の幕内力士だった若ノ鵬(20)が、マリファナ(大麻)所持の容疑で逮捕され、日本相撲協会を解雇された。

 日本で、マリファナに対する視線は厳しい。仮に、若ノ鵬の一件について、「たかだかマリファナぐらいのことで」といった論調で書くと、間違いなく激しい反論を受けることになるだろう。

 マリファナを吸うと統合失調症を発症するとの見解がある。しかし、マリファナを一服するや、直ちに発症するわけではない。「朝から晩までマリファナを吸い続けるような生活を続ける人の中に、統合失調症を発症する人が見られる」という言い方をするのが正確だ。マリファナが蔓延すると、統合失調症が「増加する」とも表現されるが、仮にその統計が正しいとして、もともと何らかの精神障害を持っていた人が、マリファナを常用したことによって統合失調症を誘発した可能性もあり、さらに慎重な調査が必要なテーマなのだ。

 朝から晩まで酒を飲み続けるような生活を続ける人が、健康体でいられるとは、とても思えない。しかし、だからと言って飲酒を違法にはしない。いっぽう、マリファナ=イコール=精神病の原因であり、だからマリファナの喫煙を規制すべきだとの理屈は、堂々とまかり通っている。

 いわゆるドラッグ(麻薬)は、大きく2種類に分けられる。ハードドラッグとソフトドラッグである。

 ハードドラッグには深刻な中毒性・依存性があり、脳や身体を蝕む副作用を起こす。また、重い鬱症状や凶暴性などを誘引し、反社会的な問題行動〜犯罪行為(怠惰、厭世、破壊、放火、暴力、殺人など)に繋がる恐れがある。ヘロイン、モルヒネ、コカイン、メタアンフェタミン(覚醒剤)などがこれにあたり、麻薬及び向精神薬取締法や覚醒剤取締法によって厳しく規制されている。

 ハードドラッグは非常に危険だ。使ってはならないし、規制されて当然である。

 ソフトドラッグには、マリファナだけでなく、酒やタバコも含まれている。中毒性・依存性がハードドラッグほど顕著ではなく、脳や身体への悪影響(副作用)もハードドラッグよりは小さく、反社会的な問題行動〜犯罪行為に結び付く懸念がハードドラッグほど持たれていないものを指す。あまり考えたことがない人は多いかも知れないが、酒やタバコも、れっきとしたドラッグの一種なのである。

 むしろ、アルコールやニコチンの中毒性・依存性は高いとも言える。また、アルコールの場合、反社会的な問題行動〜犯罪行為に結び付く危険性が皆無ではない。ニコチンは健康への悪影響が、はっきりと示されている。それでも、合法なのだ。

 では、なぜマリファナを特別に取り締まろうとするのだろうか。
 すなわち、ゲートウェイ理論に基づいているのだ。

 この理論では、まずゲートウェイドラッグを定義する。ゲートウェイドラッグとは、より依存性や副作用の強いハードドラッグへと誘導する可能性のあるドラッグのことだと断定され、酒やタバコ、シンナーなど有機溶剤、脱法ドラッグ、そしてマリファナを指す。
 ゲートウェイ理論の流れは、次の通りである。

 (1)ゲートウェイドラッグを使うことで、「ドラッグと呼ばれるもの」そのものへの抵抗感が消える。

 (2)ゲートウェイドラッグを覚えると、さらに強い快楽を求め、ハードドラッグを体験したくなる。

 (3)ゲートウェイドラッグはハードドラッグと密接に存在するから、使用者がハードドラッグの密売組織と連絡を持つようになる。

 (4)つまり、ゲートウェイドラッグは、ハードドラッグへの移行を招く入門編であるから、規制されなくてはならない。

 ゲートウェイドラッグには酒やタバコが含まれているから、例えば、「酒」に置き換えて考えると、この理論は正しくないことが容易に納得できるはずだ。(3)については正しいように感じるかも知れないが、そもそもマリファナが違法とされているからこそ、ほかの違法(ハード)ドラッグと同じ密売組織で取り扱われているに過ぎない。マリファナを合法化すれば、むしろハードドラッグの密売組織から離れることになる。

 ちなみに、全米科学アカデミー・医学研究所の報告(1999年)によると、マリファナがハードドラッグへのステップになっていることを明示するデータは無いという。

 ゲートウェイ理論は、とくにマリファナなどのソフトドラッグをターゲットにして、規制の根拠/大義を整えるため、取り入れられているに過ぎない。

 欧米諸国の多くでは、マリファナの所持や喫煙などを非合法としているものの、少量のマリファナ所持なら犯罪と見なさない、あるいはマリファナの所持や喫煙を摘発しても刑罰に処さないなど、非犯罪化、非刑罰化が進んでいる。

 そうした「マリファナに対する寛容な政策」には、ハードドラッグの蔓延と、それに伴う(注射器の使い回しによる)HIVの感染拡大といった社会的実態を踏まえ、ソフトドラッグを容認することで、ハードドラッグへの移行を防ごうとの狙いがある。ゲートウェイ理論とは、まったく逆の発想だ。

 こんにち、日本におけるハードドラッグ蔓延の実態もまた、欧米を追いかけるかたちで深刻さを増している。最も懸念されるのは覚醒剤だが、やはり注射器の使い回しや、覚醒剤使用時にセイファーセックス意識が欠落することによる、HIVの感染増加が危惧されている。欧米の社会的実態は、いずれ確実に日本へも波及するだろう。

 マリファナは、酒やタバコと同様、ともにソフトドラッグの一種である。そして、やはり酒やタバコと同様、100%安全でもなければ、100%危険でもない。もとより酒やタバコと同様、ハードドラッグとは、明確に区別して考えるべきだ。

 酒やタバコがそうであるように、マリファナについても、その利点と問題点を公正かつ客観的に情報開示し、そうした上で、喫煙するかしないか、個人の主体的判断に委ねるのが、行政府の姿勢として願わしい。

 ましてや、マリファナを吸う行為、マリファナを吸った人間について、まるで極悪非道であるかのように伝えるマスメディアの論調は、とても真実を伝えているとは言い難い。

 大麻取締法に違反したことで、社会的制裁を受けるに至った人たちは、年間数千人に及ぶようだ。日本相撲協会を解雇された、元幕内力士の若ノ鵬もその一人だが、彼らの「犯した罪」の実際より、その刑罰や社会的制裁のほうが遙かに重い現実は、けっして真っ当な状況とは思えない。

 日本の薬物政策のあり方とともに、マスメディアのマリファナに対する偏向報道にも、この際、一考を促したい。

ご意見板

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[36826] 一度ごらんください
名前:田中秀郎
日時:2008/09/07 20:38
くろい様
薬物乱用防止についてのHPがあります。
そちらをごらんになられたほうがいいかと思います。
大麻を常習した場合の症状なども参考になろうかと
思いますし、現在、他国での取り締まりの状況など
もでています。
おっしゃるような生易しい薬でないことは、それからも
読み取れるのではないでしょうか。
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[36791] 大麻と麻薬は違うのでは?
名前:くろいひろゆき
日時:2008/09/06 13:22
取締法が違うくらいですから。効用も異なりますし。
どのドラッグかで区別した方がよいのではと思います。
テロリストに大麻なんか吸わせたら、平和な気分になって実行しないかも。
[返信する]
[36773] これはまたこじつけかな(笑)
名前:田中秀郎
日時:2008/09/05 21:43
くろい様
>軍隊にとっては大麻は困るかも知れません。平和な気分になられたら、戦闘マシンとして働かせるのに能率が悪いので

現代の軍隊においても、麻薬は害あるばかりです。
かって米空母ニミッツでの航空事故を起こしたパイロットなど
麻薬を使っていたとのことです。
わが国の自衛隊でも麻薬は厳禁ですな。
一方で、テロの実行犯に吸わせて人間爆弾とさせている場合も
見られますから、くろい様のイメージとはずいぶん現実は
異なるのではないでしょうか。
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[36762] 参考サイト
名前:くろいひろゆき
日時:2008/09/05 13:13
下記はなかなかよく整理されているので参考になります。

http://asayake.jp/

酒もタバコも必ずきついものに嗜好が移るかどうか、何とも微妙ですね。今まで私は酒は1日に缶ビール1本しか飲みません。飲まない日もあるくらいだから、中毒ではないでしょう。つよい酒を飲みたいとも特別思いません。結局体質に個人差があるのではないでしょうか。

軍隊にとっては大麻は困るかも知れません。平和な気分になられたら、戦闘マシンとして働かせるのに能率が悪いので。
[返信する]
[36743] 麻薬のたぐいが蔓延する社会は?
名前:田中秀郎
日時:2008/09/04 22:32
確かに麻薬にもいろいろあると思います。
酒にもさまざまな種類、タバコにさまざまな
種類があるのとそれほど変わらないことと思います。

では大麻はOKだ、として同列に酒、タバコを扱う
ことは現実的な問題?とも思えます。
昨今問題の飲酒運転ですが、低アルコールビールを
たくさん飲んだ場合と、ビール一本を飲んだ場合で
事故を起こした場合はどうなるでしょうか。
未成年がタバコを吸って、これは低タールだから
OK、でも私が好きなラッキーストライクは
だめっていうことになるのでしょうか。
大麻だけOKってなるとそんな変なことにもなっちまう?
のとも思えます。

酒もタバコも最初はそれほどきつくないものから
だんだんきついモノを好むことはそれほどまれでも
なかろうと思います。

軽いものから覚せい剤に手を伸ばすのもそれほど
少なくない例みたいですから、現行の規制のままで
もよろしいのではないでしょうか。
北朝鮮の将軍様の懐を暖めたいとか別の気持ちが
あれば別ですが。
[返信する]
[36719] やれやれ
名前:富塚学
日時:2008/09/04 04:35
うーんと、多分、一応、賛成側(擁護側)に分類されるのかな? そういうレッテル張りは大嫌いですが。

なぜタバコや酒は良くて大麻はダメなのか?
→大麻は麻薬(ハードドラッグ)だからだ

ハードドラッグとソフトドラッグはどのように分類できるのか?
→そういう風に「医学的常識」があるからだ


はっきり言って、酒はアルコール依存症になります。漫画家の西原さんの夫鴨志田氏や中島らも氏がこの病気で亡くなっていることは、著名な事実でありましょう。
してみると、ソフトだハードだ、という以前に立ち返らなければならないのではありませんか。つまりは

大麻はハードドラッグだから麻薬である
→麻薬だから規制しなければならない
→なぜ規制しなければならないのか
→それは大麻はハードドラッグだから麻薬だからだ

という循環論法から、一歩も出ていない現状から、なにかもう一歩先へ進むべく、罵りあいではなく建設的な議論をすべきではありませんか?



マリファナ(大麻)そのものに害があるのは事実です。しかし人間には愚行権があります。他人の権利を侵害しない限り、自分の権利を放棄することはいつでも可能です。
だから私は、分煙には賛成ですが禁煙には反対ですし、飲酒運転には反対ですが飲酒そのものについては規制すべきではないと考えます。

「はたして大麻は他人の権利を害するや否や?」
これが問われるべき問ではないでしょうか。


大体、統合失調症を引き起こすというのであれば、アムステルダムのあるオランダでは統合失調症患者だらけになるはずではありませんか? 統計的にはそのようなデータはないようですが。平均寿命も、オランダを初めとした北欧諸国は軒並み上位に入っていますね。
[返信する]
[36665] 賛成論者どもは自分の子供に
名前:大沼裕人
日時:2008/09/01 22:16
汚い世界を残していきたいのでしょうね。
こいつらこそ売国奴ならぬ、売欲奴ですね。

タバコだって公害だ!!マリファナはもっと最悪だ!!
[返信する]
[36662] 疑問
名前:井之上文
日時:2008/09/01 17:53
たばこもすわないのに、大麻を吸う人っているんでしょうか?


私はタバコをくわえたことすらありません。
[返信する]
[36650] 「大麻取締法」 制定の経緯
名前:きだひそみ
日時:2008/08/31 18:52
大麻が無害で麻薬とはみなせないから 「大麻取締法」 ができたというわけではないようです。

[以下引用]
大麻草に含まれている樹脂等は麻藥と同樣な害毒をもつているので、從來は麻藥として取締つてまいつたのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に從事しているのでありまして、今回提出されています麻藥取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、藥剤師等は、職業の分野がはなはだしく異つています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完璧を期する所存であり、本法案 [注:大麻取締法案] を提出する理由と相なつております。
[以上引用 昭和23年06月12日 衆議院厚生委員会 竹田儀一厚生大臣 国会会議録検索システム

なお、昭和60年には最高裁が大麻の有害性をみとめており、判例として現在も有効です。
大麻の有害性を肯定して大麻取締法の違憲論を退けた最高裁決定
[返信する]
[36637] 賛成派も反対派も
名前:くろいひろゆき
日時:2008/08/31 12:49

「きっこの日記」2005年1月30日より抜粋。
==============================
ニポンにおける麻薬の法的な定義のひとつに、「肉体的な依存があること」がある。つまり、中毒になるものしか麻薬とは認められないのだ。そのために、何百回吸っても中毒にならないし、体に何の害もないことも科学的に証明されていて、多くの国で解禁されているマリファナは、ニポンでは麻薬とは認定できない。だから、麻薬取締法では取り締まれないため、ワザワザ、大麻取締法って言うのを無理やりに作って、この法律で取り締まっている。そして、「体に何の害もないし、誰にも迷惑をかけてないのに、何で楽しんじゃいけないの?」って言う当然の疑問に対して、警察は、「大麻自体には依存性はないが、大麻をやると、ヘロインや覚醒剤など、もっと強いものへと進んで行く」なんて言う、まったくトンチンカンな理論をノタマウのだ。

体に害がなくて、中毒にもならないものを取り締まり、体に害があって、中毒になるタバコやお酒には、高い税金をかけて売ってるニポン。タバコをやめたくてもやめられず、いくら値上げされても買い続けるニコチン中毒者たちは、国家の大切な財源であり、アル中になって、最後には精神病院で一生を終えるドランカーたちも、一生を国家に捧げてくれた立派な人たちだって言うのが、ニポンの政府の考え方だ。だから、毎年、数え切れないほどの国民が肺ガンで死んだり、アル中で廃人になってるのに、絶対にタバコとお酒は禁止しないのだ。そして、タバコよりもお酒よりも、遥かに体にいいマリファナなんか解禁しちゃったら、みんなそっちに走っちゃって、国家の財源がゆるんじゃうから、この国では断じて解禁なんかしないのだ。
==============================

賛成派も反対派も下記のレストランで集まって議論してみては。
http://www.asanomi.jp/index.html

その他参考サイト。
http://taimadobrog.livedoor.biz/
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/11/post_29ea.html
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/05/post_48a1.html
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/09/post_cb6c.htmlhttp://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/03/post_17ad.html
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