福岡市が決定した市立こども病院・感染症センター(中央区)の人工島(東区)移転をめぐり、市内の産科と小児科の開業医有志と、同病院を利用する患者家族団体が9日、相次いで、市議会各会派に移転反対を訴える文書を提出した。市が12日開会の9月議会に提出する病院用地取得議案が、可決される見通しになったことを踏まえ、開業医有志は「白紙からの議論を」と求め、患者家族団体は、移転の是非を問う住民投票条例の制定へ賛同を訴えた。
産科医らの文書は、全63市議に一部ずつ提出。議員たちは「検討します」などと言って受け取った。開業医68人が名を連ね、移転の再考を促す提言書で、吉田宏市長あてにも提出した。
同市中央区の産科医で、有志代表の久保田史郎医師は記者団に「人工島は市中心部から遠く、患者を救急搬送するには危険すぎる。市は移転を白紙に戻し、現場医師も交えた議論をしてほしい」と話した。
一方、人工島移転の是非を問う住民投票条例の制定を直接請求するため、署名集めを続けている患者家族団体は、議員たちに今後、議会で条例制定案に賛成するよう要請した。
同団体の西頭京子、佐野寿子共同代表は同日、記者会見し、署名数が期限(28日)までに、条例制定の直接請求に必要な「有権者の50分の1(約2万2400人)以上」になる見込みであることを説明。「移転反対の思いを署名に込めている市民も少なくない。議員の方々は思いを受けとめ、議会できちんと話し合ってほしい」と訴えた。
=2008/09/10付 西日本新聞朝刊=