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医者の間では常識と思っていることも、患者さんやご家族にとってはそうではないことが、たまにあります。
それを著しく感じるのが、流産です。
1 流産は本人の不摂生・不注意が原因ではない
「流産するのは、妊婦の不摂生・不注意が原因である」。
とんでもない、誤解です。
例えばテレビドラマで、妊婦さんが階段から落ちて大出血して、流産するシーンが流されます。
誤解を助長するものとして、危惧しています。
このような外傷による流産は、元々非常に稀なものです。
そもそも、流産の発生頻度は約15%、妊娠した女性の10人に1人以上が、流産している計算です。
ほとんどの場合は、胎芽の染色体異常によるものですので、
ご本人にもご主人にも、責任はありません。
それなのに、最近になっても
「流産したのは、あなたが仕事なんか続けているからだ」
などという心ない言葉をご家族に言われて、
深く傷ついた方をお見かけすることがあり、むしろ驚いています。
2 流産の精神的負担は重い
「あなたの一番楽しかったことを+100点、一番辛かったことを-100点とすると、流産は何点ですか」
という質問をして点数化した研究があります。
平均点にして、1回目の流産は-62点、2回目の流産は-79点です。
身体的な負担はお産よりずっと軽いはずの流産ですが、
精神的な負担の大きさに、愕然としました。
3 1度2度流産をしても、無事お産にする可能性は高い
2回の流産で約80%、3回の流産でも70%、さらに4回でも60%の方が無事お産されます。
習慣流産の患者さんには必ずお話していることですが、
これを聞くとたいていの方はその可能性に驚き、希望を持ち直されます。
ちなみに文献的には、25回目の妊娠で無事お産したという例があります。
4 「流産のことは早く忘れましょう」は禁句
自分の子供を亡くしたことを忘れる女性はいません。
社会的には認められなかった生命を、周囲の者たちこそ大切に思っていてあげて
いいのだと思います。
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びっくりしたのは、
「流産したのは、あなたが仕事なんか続けているからだ」
って、こんな事を言う人いるんですか?
信じられないです。
私の母は、私の前に、兄か姉がいたけど、
流産したっていう話を聞かされました。
母は、「寒い冬に無理して掃除したから」と、
今ではそんなわけないと思われるようなことを、
気にしてました。
この話も私が成人してから聞かされたので、
それほど長く流産したことを忘れずにいるんだなと思うと、
簡単には忘れられないですよね。
流産、女性にとっては本当につらい
体験ですね。
私は3人目を流産してしまったの
ですが、思っていたより
心に深く深く切なくつらい・・。
自分が経験してその重さを初めて
理解することになりました。
お腹の中で心臓が止まってしまった。
そう、告知を受けた時には
呆然としてしまいました。
「赤ちゃんも、自分が生きていけないほどの
奇形があることを知って自分で
自ら、心臓の鼓動を止めるの。
けっして、あなたのせいじゃ、ないのよ」
その言葉に、ちょっとしか
一緒にすごせなかったお腹の赤ちゃんが
確かにここにいたんだ・・・・。
と、実感し、涙は止まりませんでした。
もちろん忘れることはない命です・・。
>「流産したのは、あなたが仕事なんか続けているからだ」
未だに言われているなんて、信じられないでしょう?
こんな理不尽な罵倒はなくなってほしいという思いから、
この記事をあげました。
女性は、20年30年前の流産だって忘れられません。
毎週200人くらいの患者さんを診察しますが、
妊娠・出産回数を覚えていない女性は、お見かけしません。
きっと、お母様も同じお気持ちではないかと思います。
そうだったんですね・・・
綴って下さった言葉は、どなたの言葉でしょうか。
ほんとうにその通りと思います。
流産は、診断がつくと手術が必要になるケースが多いのですが、
麻酔をかける途中か、麻酔から醒める途中で、
大抵の女性は流涙されます。
妊娠37週目のみどりです。
「仕事を辞めないと流産するかも知れないよ」
「あとで後悔するのは自分なんだよ」
・・このセリフはこれまで何回も聞かされました。
それ以外にも、
「重いものを持つと流産する」
「背伸びをして高いところの物を取ると流産する」
「車の運転をすると振動のせいで流産する」
「掃除機をかけるなどして腰に負担をかけると流産する」
などなど。一体どこまでが本当なのでしょうか?
そういえば先日は帝王切開に関する話題で温かいお言葉を頂きありがとうございました。
実は、37週目の定期健診で逆子が直っていることが分かったため(!)、予定帝王切開は中止となりました。今は自然に産気づくのをドキドキしながら待っております。
いよいよ年の瀬ですが、なな先生もお体ご自愛くださいませ。
私の母も流産しています。姉か兄がいるはずだったそうです。
何も知らない時期にお地蔵さんを拝んでいるのを不思議に思ったものですが、伯母から聞きました。
母は身体が弱く、私を産むのも母体をとるか、胎児(私)をとるかだったそうです。44年前に38歳での当時としては高齢出産です。
そんなにしてまで子を授かりたかったのだと知った時期、涙が出るほど嬉しく思いました。
先日訪れて素敵なブログで過去の記事まで時間を忘れて見入ってしまいました。
私には姉が一人いますが、本当は二人いるはずだったんだよ、と幼いころから聞かされていました。
二人目の姉は流産で原因まで教えてはくれなかったのですが、予定日より早く生まれてしまったから、とだけ聞いています。それ以上は幼心に聞けない雰囲気を悟って、今もきけずにいます。
私が生まれる時は、ずっと余裕がなくて切に元気で生まれてくれと願ってやまなかったそうです。それでも私は予定日より二週間ほど早く生まれ、陣痛が来た時には、また?という思いに駆られていたそうです。
雪子という名前が我が家の墓碑にあります。雪のように真っ白だったから雪子と名付けたんだよ、と言われ、私もよく雪子お姉ちゃんはどんなお姉ちゃんになのかな、と空想していました。
20年以上経た今も母は流産した姉の誕生日にはケーキを焼いています。
随分いろいろ言われましたね(苦笑)。
安静が流産予防に有効なのは、赤ちゃんがある程度の大きさになってから、
出血を伴う場合くらいです。
なので、このケースに当てはまれば、安静を勧めるのは間違っていません。
後半3つは、全部嘘です(あ〜あ)。
「妊娠中にたき火をすると、顔に赤あざのある子が産まれる
「腹帯を怠ると流産する」
このあたりと、変わりませんね。
ところで、逆子ちゃんなおったんですね。
よかったですね。
やっぱり、ほっとしたのではないでしょうか。
健康にお気をつけて、お産に臨まれますように。
お母様に、きっとお父様にも、強く望まれて産まれたんですね(笑)。
いいお話です。
みんながそうやって、お母さんに対する感謝の気持ちを忘れなかったら
全然ちがう世の中になっているかも知れませんね。
過去記事までお読み下さって、ありがとうございます(笑)
20年経って尚、毎年ケーキをお作りになっているお母様のお気持ちは、
当事者でないと、分かり得ないものではないでしょうか。
婦人科外来をやっていると、単なる更年期障害ではない
うつ傾向が色濃くでている患者さんがいらっしゃいますが、
悲しい思いに関する話題になると、
数十年前の流産・死産の体験を涙ながらにお話する方がいらっしゃいます。
ほんとうに、忘れることなどないのだと思います。
雪子ちゃん、いえ、もう20歳を超えていらっしゃるのだから、雪子さんですね、
雪子さんのお話をお聞かせ下さって、ありがとうございました。
今は二人の子持ちですが、一人目と二人目の間に一
度流産経験があります。
流産は経験した人でないとわからないと本当に思います。
流産後無事に子どもを出産することができました
が、お腹の中で元気なうちに早く生まれて欲しいと
いつも思っていました。
今、主人は3人目を希望しているのですが、妊娠期間
を通じて絶えず不安につきまとわれることを思うと3
人目にチャレンジする気持ちがどうしても起きませ
ん。
(流産経験のない友人に
「不妊に比べれば妊娠できるだけ恵まれている」
と言われたこともひっかかっています。)
つい先日も流産経験のある友人と
”病院で大丈夫って言われても生まれるまではずっと不安だよね”
と話したばかりでした。
実の母には
「早く忘れて次頑張りなさい」
と言われました。
でも、流れてしまったとしても自分の子どもに変わりはなく、
その子の代わりは誰もなれないのに・・・と
思ったことを思い出しました。
つらい体験をなさっていながら、よく2人目のお子さんをお産なさったと思います。
私の外来にも、流産後にご妊娠・ご出産なさる方は大勢いらっしゃいますが、
多少の程度差はあるものの、どなたもどうすることもできない不安を抱えていらっしゃるようです。
中には、ずっと入院したままの方もいらっしゃいました。
> 3人目にチャレンジする気持ちがどうしても起きませ
ん。
流産後に無事お産をなさったrinaさんでさえ、こんな不安を抱えていらっしゃるというのは
私にとっても衝撃でした。
> その子の代わりは誰もなれないのに・・・
本当に、その通りですね。
私が普段接している方々のお気持ちをしっかりと現していると思います。
こんなサイトが役立つと嬉しいです。
http://tensideai.jugem.jp/
ずっと二人で暮らすのかな..と、思いはじめていましたが、何を間違ったか(?)、11年目に妊娠し、いろいろ騒動がありましたがどうにか出産にこぎつけました(これが、ただいまゲーム狂いの長男です)。私43歳、妻36歳でした。そして、1年半ほどしてもう一度妊娠したのですが.....。このときは、私が病院から家に戻ったら、パジャマを赤く染めてへたりこんでいる女房を見てびっくりしました。2度目の流産でした。その後、妻の年齢を考えて、二人めはあきらめました。
妻の心の傷は、見た目にはそれほどでもなさそうでしたが、長男の育児はほんとうにふらふらになるまで頑張っていたように思います。男には理解できていない何かがあるんでしょうね。
ななせんせいのご指摘、内科医の私にも大変勉強になります。
ありがとうございます。(それにしても、親の気持ちのわからん長男やな...)
「天使ママ」。
このきれいな言葉に籠められた悲しみが
頭から離れずにいます。
淡々とお書きになっていますが、
今日に至るまで、特に奥様は本当に大変な思いをなさったのではないでしょうか。
当事者である女性にしかわかり得ないものは、確かにあると思いますが、
先生のようなやさしいご主人が、ご自分ではなす術がないことを嘆く姿も
見てきました。
それもまた、ちがう苦悩があるものと思います。
最後のひと言に、心和みました(笑)。
早期の流産の中に胎芽異常とそうでないものも含まれると考えています。絨毛膜下血腫ができても心拍認め、卵黄嚢など大きくないものは胎芽異常でなく子宮の収縮を抑えられれば流産は防げるのではないかと思います。そして、早期の妊婦さんにも安静を勧めていますし、長時間の車の振動は子宮の収縮にとって良くないものと考えて指導しています。
これは間違いでしょうか?
もちろん説明の際には流産率や胎芽異常がほとんどであることを説明しています。でもそれ以外の原因も無くせればと思っているのですが。
「流産」とひとくくりにしてしまったので、わかりにくかったですね。
すみません。
先生のおっしゃる通り、胎児心拍の見られる時期で、hematomaを伴うものは、安静がある程度は有効と思います。
実際、臨床の場でも患者さんにもそのようにお話しています。
ただし、いったんhematomaができた例には安静が有用ですが、
安静が保てないことによってhematomaができるか否かとは、
別問題ではないかと考えます。
突然すみません、私は、3月8日に6週で流産しました。
初診で心拍が確認出来ず、その日の夜から出血が始まり(にぶい下腹部痛は1週間前くらいからありました)、初診から2日後、やはり心拍がなく、流産確定、その15分後には手術で、またたくまに全てが終わっていました。
後になって、まだ6週、もう少し待てば心拍が始まったのではないか、との思いが日に日につのってしまいます。主治医の先生に詳しく説明を受けたいのですが、気を悪くされるのでは・・・と、躊躇しています。術後1週間の検診の時にそれとなく聞いてみたのですが、あまり専門的なことまで考えだしてしまわない方がいいですよ、次の妊娠を成功させることに目をむけましょう。と言われました。
その通りだと思いますし、先生を信頼していて、次にまた妊娠できたら、その先生にお願いしたいと思っているのですが、やはりどうしても、流産の時の詳しい状況を知りたいのです。繋留流産だったのか進行流産だったのか、子宮口も開き初めていて、もう止められない状況だったと言ってもらえたら、もう「もしもあの時待っていれば・・・」などと考えずに、前に進めるのではないか、と思います。それを知ったところで、赤ちゃんは戻らないし、単なる私自身のエゴなのかもしれません。けれど、まだ胎芽の状態だったとしても、自分の子供に変わりはなく、なかったことにして次には進めず、とても苦しいです。
手術から2週間以上たちますが、今さらまたその時の説明をしていただきたいと言うのは非常識でしょうか、やはりもう考えないようにした方が良いのでしょうか、時間が解決してくれるのでしょうか・・・
辛い体験をなさいましたね。
胎芽でも、ゆっぴーさんの赤ちゃんです。
なかったことにすることなど、できるはずがないですよね。
是非、主治医の先生に聞いて下さい。
奥ゆかしく、遠慮深い人の方がこうして苦しむなんて。
主治医に失礼にならないか、とご心配されているようですが、
ゆっぴーさんの真摯な言葉に、失礼なものは全く感じません。
ここに書いた通りに話せば、きっとわかってもらえると思います。
それでももし言いにくかったら、「写真があれば見ておきたいので」と持ち出してみるのも一つの方法です。
次に進めなくて苦しんでいるお気持ちと、
次に妊娠したらその先生にお願いしたいと思っていることが伝われば
普通の医者なら、むしろ進んで手を差し伸べるでしょう。
お身体の具合は如何ですか。
どうか、お大事になさって下さい。
突然の相談に、とても温かいお言葉、ありがとうございます。とてもとても嬉しく、勇気が出ました。
主治医の先生が受けとめてくれると信じて、自分の気持ちを伝えてみようと思います。
エコーの写真は、初診の時に頂いたものが1枚ありますが、形に残るものはこれ1枚だけなので、ずっと大切にしたいと思っています。
手術の日のエコー写真は、ちらっと見ただけで、もう一度見せてもらいたいな・・・と思っていたので、相談してみようと思います。
あきらめかけていた気持ちに、勇気をいただき、ほんとうにありがとうございます。
過去のブログも拝見させていただき、いろいろな妊婦さんや、出産のお話、なな先生の温かい言葉に涙がでました。
またご報告、相談などさせてください。
病院に行って、白衣を着た人を前にすると、
普通の人でも、思うことが質問できなくなりがちです。
ゆっぴーさん、大丈夫かな。ちょっと心配。
「言いたいことメモ」を持って行くといいかも知れませんね。
お気遣い、ありがとうございます。
私も、実際に病院へ行って、思っていることを全部話せる自信はゼロに近く、どうしようかと迷っていましたが、病院のホームページで、主治医の先生にメールを送ることができると知り、自分の思っていること、聞きたいことを全部書いて、主治医の先生に送ることができました。
祈るような気持ちで返事を待っていると、「メールありがとうございます。内容からすると、直接会ってお話をお聞きした方がいいようなので、お電話ください。」との嬉しいメールが届き、さっそく昨日病院へ行き、先生のお話を聞くことができました。
結果はやはり進行流産だったようで、1週間待っても、心拍が始まる可能性は無かったとのことでした。
「もしもあの時待っていれば・・・」との思いをずっとひきずって生きていくなかな・・・という気持ちに、区切りをつけることができました。
私の体に負担をかけないようにと、自分からお腹の外に出て行こうとしてくれた、とても優しい子だったんだなと思います。今月8日で流産から一ヶ月、今日は私の父の七回忌法要の日なので、一緒に赤ちゃんの供養(お参り)も主人としてきたいと思います。父に「天国で赤ちゃんと会えたらよろしくね」と伝えたいと思います。
命の大切さや、産まれてくることだけで奇跡なんだということ、その他たくさんのことを教えてくれた赤ちゃん、私の質問に嫌な顔をせず、丁寧に説明してくださった主治医の先生、そして、あきらめかけていた私の背中を優しく押してくださったなな先生に、心から感謝しています。あの時なな先生に優しい言葉をかけていただいたおかげで、主治医の先生にも思いを伝えることができ、前向きに頑張っていこうと思えるようになりました。ほんとうにありがとうございました。
なんだかまとまりがなく長々とした文章になってしまい、すみません・・・
これからもなな先生のブログ、拝見させてください。
気持ちの整理ができて、よかった。
今回、ゆっぴーさんのお話をお聞きすることによって、
改めて、流産された患者さんの気持ちに思いを巡らせることができました。
ゆっぴーさんの主治医の先生のように、私自身も真摯な医者でありたいと
襟を正す気持ちです。
ゆっぴーさんのご体験と、ここでお話下さったことは、
必ず現場で活かします。
ありがとうございました。
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