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何だか、書いているうちに書きたいことが次々出てきて、
結局4部作になってしまいました。
今回で締めくくりです。
<周囲の人がすべきこと>
1 とにかく産婦さんの話を聴く
内なる恐怖や不安、苦悩、葛藤に、何度も何度も耳を傾けて下さい。
その感情には根拠はなく、話に脈絡もなく、到底理解できないかも知れません。
それでも、産婦さんの空回りする思いを、言語化させてあげて下さい。
2 具体的な援助を申し出る
買い物、洗濯、掃除、赤ちゃんを預かる、他の子供の面倒を見る。
どれかひとつでも、代わってあげられそうなことを見つけて下さい。
食べられそうなもの(できればすぐに食べられるも)を持って行く、
一緒に散歩に出る、一緒に食事をする、
病院を探す、行く時には付き添う。
日にちや時間など、具体的に提示してあげて下さい。本人には決められません。
そして、申し出を断られても、決して腹を立てないで下さい。
3 他の子供たちにも関心を示す
特に産婦さんと同居していない人は、産婦さんのおうちに行く場合、
他の子供がいるなら、まず、その子たちにあいさつをしましょう。
プレゼントを持って行くなら、赤ちゃんだけにではなく、
他の子供たちにも持って行って下さい。
そして赤ちゃんのお兄ちゃん・お姉ちゃんに
「赤ちゃん見せてね」と頼んでから、赤ちゃんを見て下さい。
<周囲の人がしてはならないこと>
1 説得しない
産褥抑うつ症になった産婦さんは、通常の思考回路がストップしています。
あらゆる理屈が意味を持たなくなります。
雷を怖がる人に怖くないよと言っても、
手を洗わないと気が済まない人に、洗っても意味がないよと言っても、
無駄なのと同じと考えて下さい。
2 禁句を言わない
「しっかりしなさい」
「赤ちゃんが産まれたのに、幸せじゃないの?」
「他にはもっと大変な人がいるのよ」
「考えてもしょうがないでしょ」
「赤ちゃんの世話もできなくてどうするの」
「赤ちゃん、かわいいと思わないの?」
「気分転換をしてみたら」
3 ママと赤ちゃんを2人だけにしない
産褥抑うつ症になった女性は、赤ちゃんや自分を傷つけてしまわないかと
自分の衝動を、恐れています。
赤ちゃんと2人になった時が最も危険で、最も本人を恐怖にさらすことになります。
4 サプリメントや健康法を勧めない
ある人にとっても有効だった物事でも、他の人には逆効果になることが
特に心を扱う現場では、よく見られます。
一方で、本人は非常に消耗していますので、
本人にとっては気の進まないサプリメントや健康法を断るのにも、
膨大なエネルギーを使います。
過度に干渉せず、かと言って見放すわけではなく、
ただじっと見守る、という姿勢がベストです。
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コメント
コメント一覧
今まで充分にではなかったことを反省しつつ、これから出来ることをひとつずつ始めたいと思います。
日常の診療にも、我が家でも(^_^;;
自分の心の持ち方、そして周囲の人がすべきこと・・・
とても勉強になりました。
主人に泣き言が言えなかった、と先日書きましたが
今回のブログを読んで、たくさんのサポートをしていてくれたんだなーと
改めて気付きました。
主人はあまりお腹の赤ちゃんには興味がないように思えました。
検診に行ったと伝えても何も聞かれず、エコーの写真にもあまり見ず・・・。
夢をみがちな(笑)妊婦としては寂しい思いもしました。
これは結局は、主人は同じ業界で働く人なのであまり検診もエコーも
珍しいものではなかったからのようですが。
それでも何事にも「あなたが負担に思わない程度にやってね」と
いつも声をかけていてくれました。
食事の用意や洗濯物も手伝ってくれました。
子供が生まれてからは、
どんなに疲れて帰ってきても「(子供の世話係りを)代わるよ」と言って
ほとんどのことを手伝ってくれました。
まだ子供と2人で出かける自信が持てなかった時には、
夜、仕事から帰ってきてから短時間でも一緒にお散歩に出てくれました。
自分ではどうしようもない病気なだけに、
周囲の人のサポートは本当に大切なんですね。
私が心身ともに健康に育児ができるのは、
主人はじめ、いろんな人に見守って、手伝ってもらってるから
なんだな・・・と実感しました。
それにしても、よくできた(?)主人に感謝しなくては!!
若輩の産婦人科医師です。
勉強させて頂きました。
頭では分かっていても…ということも多々ありますが
できるだけ今後活用していければなあ、と思います。
うんうん、そうそう、とうなづいていました。
うつ状態のときに説得されるとつたいですもんね。
断るにもパワーがいるっていうのもそのとおりです。
ちゃんと書いてくださってありがとうございました。
しかし、待てよ先生の専門は?
何だ得意分野だからぐいぐい攻めるというか次から次に言いたい言葉が体の中から出てきた、そんな感じでしょうか?
結構,期限があると思うと頑張れたりします。一番辛いのが,外に出れない,産褥1ヶ月の期間ですから。ベビーとのかかわりもどちらかとすれば一方通行が多く,無力感を感じるのがこの時期ですが,こちらのかかわりに反応が見られると育児が楽しくなってきますから。
産褥うつに移行しかけた私も,外に出て,何とか持ち直しました。
題材はマタニティ・ブルースですが、
心身医学的アプローチのエッセンスを、ふんだんに織り込んだつもりでした。
このシリーズに込めた気持ちを読み取って下さったようで、
とても喜んでいます。
ありがとうございます。
ご主人は、大変素晴しい援助をして下さったのですね。
私の病院の両親学級に来ているプレパパたちに、お話したいくらいです(笑)。
>私が心身ともに健康に育児ができるのは、
主人はじめ、いろんな人に見守って、手伝ってもらってるから
なんだな・・・と実感しました。
このpiroさんの感性もまた、ご主人に負けないくらい
素晴しいものと思います。
「お互いを思い遣る」って、こういうことを言うのでしょうね。
ちょっとうらやましくなっちゃいました(笑)。
マタニティ・ブルースに関するプライマリ・ケアは
産婦人科医がやるべきではないかと思っています。
昨今の産科医療事情では困難ですが、
先生のおっしゃるように「できるだけ」でも、やってみようかと。
今後ともよろしくお願いします。
先生にそう言って頂いて、記事にした意味がありました(笑)。
マタニティ・ブルース、PMS、更年期障害、
不妊カウンセリングあたりは、
メンタル系産婦人科医(今思いついた造語です)がやっていくべきかな、
と思っています。
産褥鬱に関してだけでなく、鬱一般にも言えることではないかなと思い、読んでました。
私はおかげさまで、主人の手助けで何とかやってこれました
。
自分では経験したことがない(いや、出来ない(^^;)出産、育児に関して、「子供は二人の子供なんだから」と何とか理解してくれようとし、手伝ってくれてます。
ホント子育てって、周りの協力無くしては出来ないことなんだと痛感しています。
私のコメントを読んでいただければ分かるように、私の不眠の原因の一つは、ダンナ以外の家族関係(実両親、実妹)にあります。
言っても分からないだろうけど、これ全て、読んで聞かせてやりたい気分です。
モノの見事に、してはいけない部分、当てはまってますもん。(^^;
そして、主人に関しては、良い部分が当てはまってます。(^^ゞ
ただ私自身は、まだまだ「自分が悪い」と思いこんでますし、「終わりが見えません」。
すいません。話が逸れてしましました。m(_ _)m
本当は1回完結の記事にするつもりだったんです。
ところが書き始めたら、伝えたいことが次々出てきちゃいまして。
この道ではまだまだ若輩者、お修行中の身ですが、
これまで心身医療をやりながら考えてきたことをマタニティ・ブルースに投射した、
現時点での集大成みたいなものに仕上がりました。
先生に全項お読み頂いて、感激です。
エンドレスではない、そうですね。
特に、ブルーの段階にある人には、言ってあげるべき言葉だと思います。
> こちらのかかわりに反応が見られると育児が楽しくなってきますから。
これも使わせて頂いてよろしいでしょうか?
何だか今回は、たっぷりお智恵を拝借してしまいましたね(笑)。
ありがとうございました。
そうそう、その通り。
他のコメントにも書きましたが、
たまたま産褥うつを題材にしているだけで、
心の調子が優れない人に向き合う時全てに共通する、エッセンスです。
眠れないのは、辛いですね。
終わりが見えないのも。
おのろけのひと言を聞いて、ちょっとほっとしましたが。
また遊びに来て下さいね。
我々がエジンバラスコア(EPDS)を産後2週間,1ヶ月健診時にルーチンでお母さん達につけてもらって3年が経過しました.以前よりもハイリスクの方をピックアップすることが出来るようになったとはいえ,産後外来だけではまだまだ十分なケアにまでは至っていないのが現状です.これからも妊産婦,褥婦さんの声に耳を傾ける姿勢を持ち続けたいと思います.
追伸)
しかし高得点群(約10%)の方は以外に多いです.先日も入院中に29点の褥婦がいました….
先生のところのようにroutineでエジンバラスコアをやっている病院は、
かなり少数なのではないでしょうか。
素晴らしい取り組みです。
本当は私のところでもやってみたいのですが、
中々手が回りません。
入院中のhigh scoreのお話も、参考になりました。
メンタル面でのケアも考えたら、
退院後は1ヶ月健診のみという旧態依然としたシステムを
変えるべきではないかと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
以前1度書き込みをさせていただいた2人目妊娠中の内科医の花はなです。先生のブログは妊婦として、医師としていつもとても興味深く読ませていただいています。お腹の子も産前6週に入り、本日より産前休暇に入りました。自分も子供のころは泣き虫だったと思うのですが、仕事柄(?)、人前で泣くことは本当になくなったと思います。でも今はとりとめもないことで涙がでることがあります。今日もニュースを見ながら泣いていたり。でも泣くとスッキリするので自分自身に身を任せています。
心のケアをしていくのは大変だと思います。
なな先生自身、とてもまじめで正義感の強い方だと感じます。決して無理をして疲れすぎないようにしてくださいね。
もうすぐお産なんですね。
先生のように気持ちの整理ができていれば、きっと大丈夫。
お産のあと2週間目くらいまでは、たっぷり泣いちゃいましょう。
無事にお産して落ち着いたら、また遊びに来て下さい(^^/
偶然こちらのブログにお邪魔して、一気に過去記事まで拝見させて頂きました。先生の素敵なお人柄が伝わってきました。
私は現在1児の母で、ただいま妊娠3ヶ月の妊婦でもあります。先生のブログを拝見するまで、現在の産婦人科医療の現状を、わかっていたつもりでも無知だったと痛感しました。
第1子も里帰り出産、来春生まれる予定の第2子も同じく里帰りを予定しています。
私のお里は田舎ですが、幸いにも産婦人科の信頼できる開業医の先生が何人かいらっしゃって、前回と同じ個人病院で出産する予定です。ちなみに低リスク妊婦だと思います、一応。
私が出産した開業医の先生は、奥様(内科)と二人で○○産婦人科、内科として開業しておられるのですが、
産婦人科と内科の診察体系はきっちりと分かれています。
そして、信じられないことに、産婦人科医は院長(男性、年齢不詳・・・)お一人で切り盛りしておられるのです。
もちろん助産師さんと看護師さんは豊富にいますが、
産婦人科の先生は、外来と分ペン含めてこの先生一人だけなのです。非常勤の先生も、もちろんいません。
病院はとても評判が良く、妊婦さんもたくさんいます。
私も始め驚いて、助産師さんに、「先生は一人でやってるんですか?」と聞いたところ、
「そうなのよねー。頭固くって(笑)。何でも自分がやらないと気がすまない先生でさ。先生の外出っていったら、犬の散歩くらいよ。」
という厳しくも温かい?お返事でした。
内科医である奥様は半ば呆れ気味らしいのですが・・・。
長くなってしまいました。
もちろん一人院長ということに、当時非常に驚いたのですが、(ちなみに帝王切開などは普通にお一人でされています。)なな先生のブログを拝見し、改めて産婦人科の先生方に頭の下がる思いになりました。
私が二人目を安心して産めるのも、なな先生始め、現場で真摯に産婦人科医療に携わってらっしゃる先生方のおかげです。
この場を借りてお礼を言わせてください。ほんとうにありがとうございます。
とはいえ、健康あってのお仕事ですから、どうか先生方もご自愛下さいます様願ってやみません。
今後もブログ楽しみに拝見します。
では長々と失礼致しました。
とても豊かなコメントを、ありがとうございます。
里帰り先の病院のお話に、感動しました。
素晴らしい先生がいらっしゃるのですね。
一人院長は、本当に本当に大変だと思いますが、
自分で診ていた妊婦さんのお産、全例に立ち会えるというのは、
産婦人科医のロマンでもあると思うのです(笑)。
大変うらやましいと思う気持ち、
しかしその先生の御身を心配する気持ちと、
そんな医療を実践されている大先輩が、日本のどこかにいらっしゃるのだと思うと、
胸が熱くなります。
いつも思うのですが、妊婦さん・患者さんが医療者を好意的に見て下さる気持ちは、
必ず医療者にも伝わります。
そうすると、よし、もっといい医療を提供しよう!と更に張り切るという
好循環が存在するのではないでしょうか。
過分な温かいお言葉、ありがとうございます。
益々はりきって、頑張ります。
ももさんと赤ちゃんが順調に経過して、良いお産をなさいますように。
以前からちょこちょこと拝見させて頂いています。
これは独善的な片思い・思い上がりなんですが、
なな先生とセンスが似ているようで「そうそう!」と一人頷いています。
上の子にも声をかける、とかいう診療のエッセンスや
>自分で診ていた妊婦さんのお産、全例に立ち会えるというのは、
産婦人科医のロマンでもあると思うのです
こういった声にしてはいないけれども普段感じていることを言語化してくれる快感、というものを感じています。
(ここだけ取り上げると色々と語弊もありそうですが)
ご一緒にお仕事してみたい!と思わずにいられません^^;
これからも楽しみに拝見させて頂きます。
コメントを読んで、私の方も「うふふ」と微笑んでいます。
お修行中の私、いくつか目標を持っていますが、そのうちのひとつに
「自分にしかできない医療ができる医者になりたい」
という壮大な(笑)理想があります。
言い換えると、自分なりのセンスというか、持ち味というか、
特にメンタルをやっていく上では、
自分の医療の個性を打ち出してもいいのではないか、と思っています。
>上の子にも声をかける
>産婦人科医のロマン
この2つはまさに、自分の医療の本懐です(笑)。
この点に共感して下さる方がいらっしゃったことが、
嬉しくてなりません。
今後ともよろしくお願い致します。
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