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2007.08.16 17:07 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 6

マタニティ・ブルースに関連して(2)

以下は、産褥抑うつ症を経験した女性たちの声です。

 

自分はどうしようもないダメな人間、母親失格と思っていました。

人前でオムツを換えたり、ミルクをあげたりすることができませんでした。

母親としての仕事がいかにできないかを、誰かに見られることが恐怖だったからです。

 

自分は馬鹿で、無価値で、この上なく醜いと思っていました。

夫に触られるのも、見られるのも怖くなり、夫婦生活を一切持てなくなりました。

拒絶された夫は、混乱しました。

私の髪はぼさぼさ、何日も顔も洗わず、部屋には脱ぎ散らかした服が散乱し、

使ったままの食器やカップ麺の空が異臭を放っていました。

夫が何故あのような家に毎日帰ってこれたのか、わかりません。

 

赤ちゃんにさわれなくなりました。

触れようとすると胸がドキドキし、抑制の効かないハイな気持ちと

暗く落ち込む気持ちが、

くるくると入れ替わりました。

 

赤ちゃんと2人でいる部屋が「苦痛と恐怖を味わうだけの空間」となっていました。

叫び出したくて叫び出したくてたまらないのですが、

唯一歯止めになったのは、

いったん叫び出すと、止めることができないだろうという、恐怖感でした。

 

赤ちゃんを、窓から落としてしまおうとか、お風呂に沈めてしまおうと

何度思ったか、わかりません。

自分の中で、何が起きているのかわからず、あらゆるものが恐怖でした。

買い物に行くことを恐れ、赤ちゃんや自分を傷つけてしまうことを恐れました。

朝、夫が仕事に行こうとすると、一人になるのが怖くて、

「行かないで」と泣いて止めました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

最近出会った産婦さん、龍子さん(仮名)のお話です。

30代前半の、初産婦さんでした。

妊娠中も順調、分娩もスムーズでしたが

産後2,3日した頃、訪室すると泣いていることが目立ち始めました。

助産師がお話を聞くと

「夜、一人で寝るの、生まれて初めてなんです・・・」。

ご両親のもとで育ち、20代前半でご結婚されており、

ずっとご両親かご主人と、ご一緒だったのだそうです。

大部屋に移ることも勧めてみましたが、やはり個室がいいとのご希望でした。

夜以外も泣いていることの多い龍子さんを、皆で心配しました。

 

ここで、奥様思いのご主人が、大変素晴らしい対応をなさいました。

龍子さんの、どんな訴えにも愛情を持ってじっくりと聞き、共感し、

大丈夫だよ僕がついているから、と励まし、

その日一日の小さな達成、例えば食事のトレーを片付けられたとか、

きちんとパジャマをたたんだとか、うまくできたことひとつひとつを

やさしくねぎらっていました。

 

その結果、退院する頃には、前項で助産師のななさんが下さったコメントにある

「なんとなく家でやっていけそう」な状態に到達できました。

退院時にも、相変わらず泣いていましたが、上手にブルーと共存していました。

「泣いていいんですよね、これ、当たり前なんですよね」

こちらが答える前に、ご主人が

「そうだよ龍ちゃん、これが普通なんだよ」。

皆で大きくうなずきながら、見送りました。

退院後は、保健師が家庭訪問をしています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

次項では、ご本人の心の持ち方のコツと

周囲の人にできること、してはならないことを書きたいと思っています。

 

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コメント

コメント一覧

お腹にいる時は、早く赤ちゃんに会いたい気持ちがあるのに、
実際生まれて赤ちゃんとの生活が始まると、
こんなに大変とは想像もしていない方も多いと思います。
私もそうでした^^;

私は22歳で最初の子を出産しましたが、
周りの友人はまだ学生か働いている子が多かったです。
自分自身も思ったよりまだ子供だったのでしょうね^^;
ましてや初めての子供。産後しばらく実家に帰りましたが、
両親は共働きで、夜まで赤ちゃんと2人っきり。
夜中の授乳や、何しても泣き止まない時は、
さすがに寝不足とイライラで、

「寝てくれない(泣)」

と、仕事から戻ってきた母に泣きついた事を思い出しました。
そのまま子供を預けて倒れるように眠りました^^;

自宅に戻っても、やはり赤ちゃんと2人っきりになると、
何をしても泣き止まない時は、
泣きながら母に電話をかけていました。
保健士さんの訪問が無かったら、
悩むお母さんはきっと沢山いると思います。
今は我が家みたいに核家族が多いですものね。
担当の保健士さんが、そんな私にこういうのがあるのよと、
保健所の遊びの会や身体測定など紹介して頂き、
なるべく家にひきこもらないように、
外に出る機会を多く作ってくれました^^

written by みっくんママ / 2007.08.16 22:29
はじめまして。
いつも拝見させて頂いております。
私もこのたび15年ぶりの二度目の出産を控えております。
一度目の出産はなんのトラブルもなく その後も周りに助けられ今日まで育ててこれました。
しかし 今回は違います。
妊娠前に 幻覚を見るようなうつ病になり、誰かを傷つけてしまいそうな私を知られるのが嫌で引きこもり気味でした。
そこへ よい方向になった頃とはいえ、妊娠。

元うつだからといって またうつ病になるとは思いませんがやはり怖いです。
written by kiki / 2007.08.17 01:21
なな先生こんにちは。

産褥抑うつ症・・・。
こんなふうに苦しんでいる方たちがいるなんて・・・。
私はただのブルー程度で済んだけれど、
自分は看護師だというプライドもあったからか、
家族や主人、医院のスタッフには泣き言を言えず、
唯一泣きつけたのが、学生時代からの友人(助産師)でした。

育児に慣れた今となっては、誰にでも泣き言を言えるのですけどね・・・。


なな先生も先日おっしゃっていましたが、
妊婦さん雑誌なんて、本当に楽しいことしか教えてくれないんですよね。
妊娠・出産は女性の体も心も劇的に変化させるのに・・・。
妊婦さん全員に、なな先生のブログを紹介したいくらいです!



written by piro / 2007.08.17 15:30
みっくんママさん、こんにちは。

お産も大変だったと思いますが、
その後も、なかなか大変な思いをなさいましたね。
お母様に助けを求めることができたことが、
key pointだったかも知れませんね。
次項に書きますが、「赤ちゃんが寝てくれない」って、
本当に大変なことだと思います。

> 保健士さんの訪問が無かったら、
> 悩むお母さんはきっと沢山いると思います。

これを聞いたら、きっと保健師がとても喜ぶと思います。
伝えておきますね(笑)。
written by なな / 2007.08.17 18:40
kikiさん、こんにちは。

15年ぶりの妊娠・出産では、それだけでもご不安になるでしょう。
まして、うつのご経験があるのなら、不安にならないはずないと思います。
「元うつ」、なのですね。
今は心の状態は、いいのでしょうか。

心療内科の先生のお話では、
うつは、薬と休養で必ず治る病気だそうです。

赤ちゃんが無事に生まれるまでは、今のご不安が消えることはないかも知れません。
不安が強くなったら、どうか一人でお悩みになりませんよう。
また、ここにも遊びに来て下さい(^^)
written by なな / 2007.08.17 18:46
piroさん、こんにちは。
私のブログをお褒め下さって、ありがとうございます(笑)。

よく言われていることですが、つらい気持ちを言語化するのって、
大事なことですよね。
心のメンテのコツです(笑)。

> 妊娠・出産は女性の体も心も劇的に変化させるのに・・・。

そうなんですよね。
本文に書き損いましたが、妊娠中ずっと切迫で入院・点滴していて、
お産も3日くらいかかっちゃった産婦さんが、産褥抑うつになり、治った時に
「妊娠中のことやお産のことを考えても、もう一人産んでもいいと思うけれど、
あの産後のことを思うと、とても子供は産めません」と言っていたのが印象的でした。
written by なな / 2007.08.17 19:00

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