日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
お産の後の入院中に、涙を流した経験のある女性は、大勢いらっしゃるでしょう。
大抵の場合、これと言った理由なく、ただ涙が流れてきます。
ご主人が病室に来た時に、腕に抱えた花束を見て、涙。
食事が運ばれてきて涙、看護師が検温に来て涙。
同じ病室の人が退院していくのを見て、涙。
自分の赤ちゃんを見て、何故か涙。
これは、産後のブルー(いわゆるマタニティ・ブルース)では、ほぼ必ず見られるものです。
悲しみの涙というよりは感情の涙であり、
病的なものではなく、生理的なものと考えられます。
例えば、一日中歩き回った後に見られる疲労と、同じものです。
落涙以外の症状としては、疲れやすさ、集中力の低下、いらいら感、
「沐浴や調乳の手順が覚えられない」など物覚えの悪さがあります。
このような症状は、お産をされた女性の約80%に見られると言われています。
また、生理的なものであれば、時期が来れば和らいでいきます。
これに対し、「産褥抑うつ症」は、ブルーとは違い、
症状が概ね産後2週間以上持続し、かつ医学的援助を必要とするものを言います。
お産にまつわる、明るくおめでたいイメージと、
いらいらや憂うつ、激しく変調する感情、赤ちゃんの世話ができない、
お料理をすることもできなければ、服を着るのさえ億劫という症状との、ギャップ。
「怠けている、わがまま、感謝の念が足りない」などと、人格の問題で片付けられてしまう風潮。
専門家の間でも、長年問題視されてこなかった歴史。
そんな中で、見過ごされがちな産後の心身の問題ですが、
ひと度かかってしまうと、その女性を地獄の苦しみに陥れるばかりか、
産褥精神病(幻覚、妄想、錯乱などを伴い、入院を要する重篤な状態)や、
最悪の場合、幼児殺しにつながることもありますので、注意が必要です。
では、自分自身、自分の妻、姉妹や娘、友人を見て
「もしかして、マタニティー・ブルース?」と思った時、どうしたらいいでしょうか。
コメント
コメント一覧
先生、またお盆にまで働いていらっしゃる。ってお産は関係ないですかね。たまにはお里にも帰ってあげてくださいね。
産後のマタニティブルーとは違って、妊娠中のことですが。
妊娠中食欲が落ち、体力が落ち、集中力が落ち、7ヶ月に入るころには、デスクワークもままならい状態になっていました。仕事にならず、いつも窓の外をみていました。思うように仕事も出来なくなって、ついには朝起きられなくなりました。
産婦人科の主治医に訴えましたが、「精神科を紹介しましょうか?」と言われ、気持ちが通じない寂しさを感じていました。
どうにもならなくなって、会社の産業看護師さんに相談して、母性健康管理指導事項連絡カードの存在を教えてもらいました。しかし、このブルーの状態、うつの状態はどこの項目にも当てはまらなかったのです。どの項目にも当てはまらないから上司を説得できなくて、よけいに悲しくなっていました。
そしたら、その看護師さん(50くらいの方です)が
「妊娠っていうのはいろんなことが起きるの。このカードに載っていないこと、ほんとはいっぱいあるのよ。だから胸を張ってしんどいといって、休みなさい。仕事をやめるなんていっちゃだめよ。仕事を続けるために休むの。」と言ってくれ、涙が止まりませんでした。
結局7ヶ月半ばで早めの産休に入りました。家族のもとでゆったりと過ごすことで少しずつ回復していきました。
妊娠や出産、産後の気持ちの変化っていうのが誰にでも起こりえることで、誰のせいでもないということを認めてあげれば、それだけでだいぶ救われるのではと思うのです。
うわっ。
全く知りませんでした。
これだけでも、知っていて良かったです。
マタニティブルーになっても、日本では精神科の敷居が高いですからねー。
旦那がなんとか協力できれば良いのですが。
今回もまた、貴重なご体験をお話下さって、ありがとうございます。
素晴らしい看護師にめぐりあいましたね。
そのような言葉が言える人材は、プロ集団の中でも
ごく少数の優秀なナースだと思います。
そして、アドバイスを受け入れ、きちんとお休みになったひいよん先生も
赤ちゃんのためにも最高の判断をなさいましたね。
心の問題全てに言えることですが、特にマタニティー・ブルースは
「非定型なのが特徴」とでもいうべきことが、よくあるという印象です。
抗うつ剤だけでは到底改善しませんし、また、ある女性にとっては有効なケアでも、
他の女性にとっては逆効果になったりと、実に多彩です。
だからこそ、カードに載っていないことが多数あって、当然だったのでしょうね。
> たまにはお里にも帰ってあげてくださいね。
うっ、ひいよん先生、もしかしてどこかでうちの母に会って、なんか言われませんでしたか?(笑)
80%、驚く数字でしょう?
ご主人が協力できることは、たくさんありますので、
是非事項以降もお読み下さいませ(^^/)
またまた、興味深く拝見させて頂きました。
当「マタニティ・ブルース」のエントリーを見て、背反する感想を直感的に思いました。
一つは、やっぱり女性は大変だなぁ~、ってことです。
男性には想像も出来ない感情の発露ですねぇ。
精神的に不安定な時期ならば、気持ちや感情を汲んで
周囲の関係者として出来るだけの事をさせて頂きたいものです。
もう一つは、やっぱり女性はイイよなぁ~、ってことです。
男は、そうそう弱音的な感情を表には出せませんからね。
喜怒哀楽をストレートに出せないのが男の性(?)かもしれません。
特に、“怒&哀” については、時として自分が男なんだという事を自らに言い聞かせて
ジッと耐えるのみ、というシチュエーションは珍しくありませんもんね。
余談ですが、厚生労働省の統計によれば
人口比における自殺の割合は、男性は女性の3倍だそうです。
→ http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/2.html
マタニティ・ブルースに陥った婦人に、心身共に出来る限り救いの手を差し伸べるのは、
周囲の人達の責務だと思われます。
でもね。
表には表れない、男性の自殺率の縮減化に対しても
何らかの措置が必要ではありませんか?
投稿してから気付きましたが、先ほどのコメントは
なな先生のエントリーの主旨からは少々ハズレているかもしれません。
不適当と判断されれば、容赦なく削除願います。
Dr.Nana 様におかれましては
ご自愛の上、健康を害さない範囲内にて頑張って下さい。
以上、暑中お見舞いを兼ねた投稿です(笑)。
先生のおっしゃることは、性差医療の要点でもあります。
女性の方がブルーやうつになりやすい理由、
また、ケアを受けやすい理由が、いくつかあります。
まずは、女性の方が「つらい気持ち」を口にしやすい風潮があることです。
弱さを見せても、泣いても、女性の場合は
より守られ、大切にされます。
一方、特に自殺者の多い中高年男性は「男の子は泣かない!」と育てられた世代です。
うつの症状は、ともすると「弱さ」と混同されますので、
男性にとっては表明しにくいでしょう。
また、受診の機会も女性の方が恵まれています。
男性が仕事を休んで受診するのは、より難しいでしょう。
さらに、ブルーやうつにかかりやすいのも、女性です。
一般的に女性の方が、ライフイベントが多く、
感情が強く揺さぶられがちであるためです。
こと妊娠・出産に関しては、全身が劇的に変化しますので、
感情が影響を受けないはずがありません。
中高年男性は、心身の不調を自覚してもなかなか表明しないし、
表明し受診した時には、かなり重症化していたり、
受診すらせず、何の兆候もみせずに自殺してしまうケースも多いようです。
ところでこのブログのゲストには、
未だにバックグラウンドがわからない方が、何人かいらっしゃいます。
先生もその一人です(笑)。
どんな方なのかと想像しては、微笑んでいます。
私の家に帰っての援助者は育児に慣れない夫しかいなかったので,このしんどい気持ちは分かってくれませんでした。
そして,誰も知り合いのいないところ自宅近くの病院でお産をしたので,しゃべることも出来ないのです。
まさになな先生の言われるとおりの症状が出ました。
人の看護は出来ても,自分の看護はできないのです。
そして,様子があまりにもおかしいと思った夫から実家に帰るようにいわれました。私には自宅でがんばるという妙な意地があったので,彼からの「おかしいから帰ったほうがいいよ」という直接的な言い方はある意味救いになりました。
自分を振り返ってみて,そして,その後,数々のお母さん方をみて思うことは,「一人にしないこと」だと思います。誰か声をかけてくれる存在が欲しい。「それでいいよ」と一言言ってくれる人が欲しい。そう思います。
病院での短い期間では「なんとなく家で育児がやっていけそう」という明るい表情を得ることが精一杯の目標です。それ以上となると時間的に厳しいです。なので,家に帰ってからのフォローがしっかり出来て欲しい思います。
助産師であるななさんが、ご自身の体験をお話下さって、
今まで知らなかったことを、いくつも教えて頂きました。
> 直接的な言い方はある意味救いになりました。
判断力が落ちている状態ですから、なるほどその通りですね。
> 「一人にしないこと」だと思います。誰か声をかけてくれる存在が欲しい。「それでいいよ」と一言言ってくれる人が欲しい。そう思います。
> 病院での短い期間では「なんとなく家で育児がやっていけそう」という明るい表情を得ることが精一杯の目標です。
この2つも、非常に大切なことですね。
一部、次項で使わせて頂きます(笑)。
ブルーに関しては、概ね産婦人科医より助産師の方が経験値が高いと思いますが、
元々の知識に、ななさんのご経験が加わって、
産婦さんから見たら、こんなに頼りになるプロフェッショナルはいないと思います。
貴重なお話を、ありがとうございました。
たまたまその直後に、私が遊びに言ったので、話し相手になってるときに、打ち明けてくれました。
その時も、こんな風な理由だったんですね。
今はとても元気ですけど。
あと、上司が、育児ノイローゼについて、周りがお母さんのことをみてあげないといけないって言ってました。
みんなついつい赤ちゃんばかりに気をとられるけど、実はお母さんの方が情緒不安定だったりするのかもしれないですね。80%という数字には驚きました。
お友達も、さまようSEさんという打ち明けられる人がいて、
安心されたのではないでしょうか。
中には、話をする相手すらいない、という方もいらっしゃるようです。
赤ちゃんをかわいがるのと同じくらい、
みんながお母さんもねぎらってあげられるといいですね。
コメントを書く