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20代の未婚の患者さん、A子さんが、しばらくぶりに外来にいらっしゃいました。
A子さんは、性的暴力の被害に遭いました。
その後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩み、
心療内科の先生にご紹介した患者さんでした。
時間もたったし、少しは本来のご自分を取り戻したかな、
と思いながら、診察室のお呼びしました。
どこか作った明るさを感じる笑顔のA子さんは、開口一番
「先生、子宮を取ってもらえませんか」。
A子さん曰く、心療内科での治療によって、PTSDは克服したものの、
自分の身体に子宮があることが、どうしても受け入れられないと言うのです。
女性ホルモンは子宮ではなく、卵巣が出していますので、
女性性を表現しているのは、生理的には卵巣なのですが、
そのことは充分ご承知で、
「卵巣はそのままでいいんです。子宮だけ取って下さい」の一点張りです。
性暴力の被害に遭われた時のA子さんは、正視し難い状態でした。、
しばらく自失されていましたが、ひと度悲嘆が始まると、
途方もない恐怖と苦しみに、身の置き所を失っていました。
助けて下さい、ではなく、
死なせて下さい、とおっしゃっていた悲痛な声は
今でも忘れることはできません。
子宮を受け入れられない患者さんは、子宮を取っても治りません。
このような患者さんは、一般的に婦人科では対応できておらず、
暴力に関して充分な知識のある女性治療者が、丁寧に向き合わないとなりません。
到底私の手には負えませんので、しかるべき先生にご紹介しました。
若い、愛らしい女性が、女性としての人生に絶望し、
自ら子宮を取ってほしいと望むようになってしまう。
これが、性暴力被害の実態です。
(追記)
本記事は、春野ことり先生のブログ「天国へのビザ」で、
山口県光市母子殺人事件に関する記事 「そんな司法はいらない」
http://blog.m3.com/Visa/20070630/1
にTBするために掲載したものです。
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コメント
コメント一覧
本当にいい治療者に出会って、女性だからこその幸せを感じてほしいと願います。
女性から見て、性暴力は絶対に許せません!たとえ、犯人にどんな背景があっても。
日本は性犯罪者への処罰がやさしすぎるのではないでしょうか。性犯罪者は必ずや罪を繰り返します。
被害に遭われた方の気持ちを考えると、本当にいたたまれません。早く立ち直って本来のご自分を取り戻して欲しいと心から願います。
男からもみても、性暴力はだめです、あ。
暴力自体だめです。
「早くから母をなくして、愛に餓えてました」
そんなん、女性を襲う理由になるんかいー!
>>日本は性犯罪者への処罰がやさしすぎるのではないでしょうか。性犯罪者は必ずや罪を繰り返します。
コレ、あかがまも同感です。
犯人には、外科的に去勢刑を課すべきだと思うというと、いいすぎでしょうか?
日本人の誰もが陪審員になるかもしれないと感じることで、この事件への感心はますます高くなるのではないでしょうか?
レイプ事件に関する判決は陪審員制度が導入されると厳しい判決が多くなるのでは?と思います。
その被害に遭われた方、ご自分が女性であることを憎んでいらっしゃるのでしょうか…
悲しすぎます。
性暴力は絶対に許すことはできません。
あかがま先生の「去勢刑」に大賛成です。
女の子だけではなく、男の子も性的暴力の犠牲になるこの世の中、狂っています。
過保護だと言われがちですが、自分の子供たちが被害に遭わないよう母として全力を注ぐのみです。
20歳代、まだまだ楽しく幸せなことがいっぱいあるはずの女性です。
ほんとうに、ほんとうに、悲しすぎます。
知る限りで、最高と思う先生にご紹介しました。
A子さんが、まずは子宮を受け入れられる日を、祈ってやみません。
この事件には、発生当初から言いようのない怒りと悲しみを持っていました。
女性と赤ちゃんが、自分が心の中で最も大切にしている存在が、
凄惨な被害に遭った事件だからではないかと思います。
しかも、畜生にも劣るような動機で。
その後の経過もご存知の通りで、加害者が友人に宛てた見るに耐えない手紙や、
上告審からついた弁護人の戦術(法廷から逃げ回った挙句、出頭在廷命令まで出される始末)、
そして今回のstrangeな弁論と、下劣極まりありません。
一方で、現場で目の当たりにする性暴力被害者の壮絶な苦悩があります。
記事本文に書きましたように、「助けて」ではなく「死なせて」という、
被害者の悲痛な叫びを、診察室内に留まらせてはならない、と感じておりました。
しかし、心情的にとても言葉にできない、という気持ちもありました。
そんな時に、先生の「天国へのビザで」
> はらわたがムカムカして吐き気を催し、怒りで眩暈を覚えた。
このひと下りを目にしました。
ああ、先生も同じ思いを抱えていらっしゃるんだ、と思い、
先生への共鳴という形でなら表明できる、と
思い切って書いた次第です。
このようなこちらの思い入れで追記を書いてしまいました。
不躾をお許し下さったばかりか、やさしいメッセージを頂戴し、感激しております。
> 去勢刑
ずっと私も思っていたことです。
特に本件の場合、現状であの加害者を処刑するより
外科刑にした方がいいような気さえします。
おっしゃる通りと思います。
むしろ、本件が裁判員制度下で審議されていたら、
弁護人もあんな見苦しい詭弁は弄さなかったかも知れません。
裁判員制度は、当面業務上過失に関しては導入されないと聞き、
医療行為に刑事罰が課される蛮国日本の産婦人科医としては、
正直ちょっとほっとしています。
男の子も性暴力被害。
そうでしたね。
最近の犯罪は、狂っていると私も思います。
殺人の動機として「人が死ぬところが見たかったから」などと聞くようになったのは
平成に入ってから、という気がします。
そんな世の中ですから、
過保護と言われるくらいお子さんを守る、というmizuhoさんのお考えに、賛成です。
事件が起きてからでは遅すぎますから。
とても愛し合っていたご夫婦だと聞いています。
残されたお父さんは心が引き裂かれる想いでしょう。
・・・なのにどうして犯罪を犯した者を守っていかなくてはならないのでしょうか・・・
どうしてこんなに時間をかける必要があるのでしょうか。
犯した罪は罪、身を持ってつぐなうしかないでしょう。
私も性犯罪者は去勢だ!と、ずいぶん前に思ったことがあります。それでも、まだ足りない・・・と、ご遺族は思われるかもしれません。
どう考えても・・・・・。
特急の中で事件がありましたよね。
どうして周囲の人達は声をあげなかったのか・・・あの事件の記事を読んでも涙が出ました。
性犯罪の理不尽さは、比がありません。
極めて低劣な動機で、計り知れない被害がもたらされます。
特急の事件も、現場の詳細はわかりませんが、痛ましい事件でした。
確か加害者は、性犯罪の再犯でした。
司法と犯罪者教育に係わる人たちに、猛省を求めたい事件です。
光市母子殺人事件では 被告側に 21人の弁護人が付いたようだ。
人権派を自称する売名的弁護人達の倫理観を問いたい。
どんな理論を展開しようと母子が殺された事実は動かない。
被告人の死刑に反対なら ここで被告人の側に付かずとも
別の場所で 堂々と死刑反対論を主張すれば よい。
。。。思わず 少し興奮してしまった。
21人に弁護人ですか。
なるほど、そういうことかと憤りを新たにしています。
どの職業も、本来の誇りを忘れたらおしまいです。
ところで、犬と猿さんは法曹関係の方ではないかと思っているのですが
如何でしょう。
被害者のご主人の、家族がいたのは最近、夢だったのかと思うというようなコメントをされたのを、悲しく思いました。
確かに弁護団も多すぎると思いましたし、加害者の発言にも怒りを覚えています。あのご主人の望むような結果が出ることを祈っています。
随分前に、この性犯罪を取り上げたドラマがあったことを思い出しました。ドラマを見ながら、自分だったらと思いながら、見ていたことを思い出しました。主演は宝くじCMで活躍している女優さんで、ドラマのタイトルは、確か「真昼の月」だったと思います。
やっとお邪魔することができました…。
光市の事件もそうですが「被害者が死しても尚、姦淫して辱める行為に及ぶ」というほどの性衝動、私にはとても理解しがたいものがあります。
上記の皆様のコメントにもありますが「去勢刑」もしかり、婦女暴行で刑期を終えた男性にも「再発防止」のなんらかのホルモン療法とか?そういうものを「法」にこだわるのであれば、国は対策を考えて欲しいと思いました。
>家族がいたのは最近、夢だったのかと思う
これは、切ないですね……
あのご主人の望むような結果になることは、基本的に同感ですが、
ただ、反省の様子が見えてこない加害者を処刑したところで
意味があるのか、少し疑問に思うところです。
かけら、の方に行ってもあんまりアップしていないので
どうしていらっしゃるかと思っていました。
おっしゃるような性衝動は、全く理解できませんね。
ヒトが理解するのは不可能としても、
動物にしたってあのようなこと、するのでしょうか。
去勢刑は、残虐刑にあたるので制定できないというお話を聞きました。
死刑制度が存在するのに、これもまた理解しにくいお話です。
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