(2) 米の流通

○ 食糧管理法では、政府による厳格な米管理が基本とされ、昭和44年に自主流通制度が発足したが、あくまでも制度上の流通の主体は政府米であった。

 また、流通ルートは、一次集荷業者から小売業者に至るまで特定されており、集荷業については指定制が、販売業については許可制がとられていた。

○ 食糧法においては、民間流通による自主流通米が主体と位置付けられ、政府の役割は政府米の操作を通じた備蓄の運営やミニマム・アクセス米の運用に限定されている。

 また、出荷・販売業者は一定の要件を満たせば参入可能となり、流通ルートの多様化・弾力化が図られている。

○ 米の流通態様(概念図)

注:1.図は一般家庭の流通のみを表にしたものであり、他に加工業者等への流通がある。
  2.図中ルートのほか、食糧法の下では卸間・小売間売買等の流通がある。
  3.図中ルートのほか、計画外流通米については、第1種登録出荷取扱業者、登録小売業者、登録卸売業者等も販売先となっている。

 

○ 食糧法における米の流通区分は、以下の通りである。

@ 計画流通米

  • 消費者の必要とする米を計画的かつ安定的に供給することを目的として、毎年政府が策定する基本計画に則って流通するものであり、具体的には政府米(生産調整実施者のみから買入れ)及び自主流通米である。

A 計画外流通米

  • 生産者の創意工夫が発揮されるよう、消費者への直接販売等により、生産者が自由に販売する米。
  • 数量等の農林水産大臣への届出が必要である。
  • なお、制度上、生産調整実施者も計画外流通米を出荷することは可能。

○ なお、農産物検査法に基づき、米の品位等について国が行う検査については、計画流通米は受検が義務となっているが、計画外流通米は任意である。

○ 計画的な流通を円滑に推進するため、自主流通米に対しては以下のような助成が行われている。

ア 計画外流通米との競合の下で、自主流通米の安定的な出荷を図るための助成(自主流通米計画流通対策費)

イ 年間を通じた計画的販売安定した価格での供給を確保するための金利・保管料相当額の助成(自主流通米計画販売対策費)

ウ 調整保管等の実施を図るための金利・保管料相当額の助成(自主流通備蓄・調整保管関連対策費)

 なお、アの対策費については、生産調整実施者を対象に支払われることとなっている。

○ 計画流通関連予算の概要(平成9年度)

項    目

予 算 額

 
計画流通推進総合対策等
 うち自主流通米計画流通対策費
  自主流通米計画販売対策費
  自主流通備蓄・調整保管関連対策費
  計画出荷米確保対策費
    億円
 1,062
   760
   149
   144
     9

注:自主流通米計画流通対策費及び自主流通米計画販売対策費は9年産ベース。

 

○ なお、平成5年の大不作の際に消費者に至る流通ルートが広がった上、食糧法でこうした流通が合法化されたことから、近時、計画外流通米の出回りが増加している。

  特に、8年産については、自主流通米の価格動向が需給実勢を反映していなかったこともあって、出来秋の出荷数量が7年産に比してほぼ倍増した。

○ 計画外流通米の流通量の推移

平成2〜3年 160万トン前後 → 平成8年 270〜280万トン

 

○ 計画外流通米の出回り状況

平成7年
  9月
  10月
  11月

   万トン
  25
  45
  31

平成8年
  9月
  10月
  11月

   万トン
  45
  81
  36

 101

 

 162