【ソウル=牧野愛博】北朝鮮は9日、60回目の建国記念日を迎えた。北朝鮮メディアによれば、平壌市内で民兵が参加する閲兵式が実施されたが、正規軍による軍事パレードはなく、金正日(キム・ジョンイル)総書記(66)も姿を見せなかった。金総書記の動静は1カ月近く途絶えており、健康状態に注目が集まっている。
AP通信は9日、米情報当局者の話として、金総書記が発作で倒れた可能性があるとの見方を伝えたが、韓国政府関係者は金総書記の健康状態について「判断を下すのは時期尚早だ」と語った。
朝鮮通信によると、金総書記は、91年12月に朝鮮人民軍最高司令官に就任以来、軍事パレードには必ず出席。98年の建国50周年、03年の同55周年の記念行事にも出席していた。
朝鮮通信によれば、平壌放送は同日、平壌の金日成広場で、民兵組織の労農赤衛隊による閲兵式が開かれたと伝えた。金総書記は欠席し、朝鮮人民軍による軍事パレードは行われなかった。
金総書記は8月14日付の朝鮮中央通信で、朝鮮人民軍部隊を視察したことが確認されて以来、動静が伝えられていない。韓国の朝鮮日報は9日付朝刊で、金総書記が先月22日に健康悪化で倒れたとの情報を在中国韓国大使館関係者が入手したと報道。別の韓国政府関係者は「現在、正確な情報を確認中だ」と語った。