日本チャータークルーズの旅客船「ふじ丸」(2万3235トン)に、日本人と韓国人約300人ずつを乗せた1週間のクルーズが11月に開催される。日本のNGO「ピースボート」と韓国のNPO「環境財団」が共同でコーディネートする船旅で、21日に神戸を出港し、石垣島、基隆(台湾)、釜山(韓国)と周り28日、広島に帰着する。
ピースボートは83年に早稲田大在学中の辻本清美さんが結成した団体で、寄港地の人々と交流しながら国レベルとは違った草の根の市民ネットワークを作ろうと、外国船をチャーターして年3回、世界一周クルーズを実施している。106日間のクルーズ代金が1人148万から330万円と一般的な世界一周クルーズに比べて安価なうえ、事務局やクルーズスタッフの仕事を手伝えば、その分安くなるというユニークな仕組みもある。
というと、なにやら堅苦しい、大変と思われそうだが、若者からシニアまで幅広い支持を集めているのは、安いからだけではないだろう。世界は今クルーズブームだが、年に3回も世界一周している団体などほかに聞いたことがない。私は残念ながら、まだピースボートのクルーズはしたことがないが、クルーズ中に会った年配の女性が「いろいろ船旅をするけど、一番好きなのはピースボート」というのを聞いたことがある。船の中では、なぜか世代や出身などを気にせず交流が生まれやすい。世代間ギャップが激しく、年齢の離れた人同士が話す機会が少ない日本で、この経験は刺激的で貴重なものだろう。ピースボートとは、実に船の特徴を活かした企画だと思う。
そのピースボートが05年から韓国と共催で始めたショートクルーズが「ピース&グリーン・ボート」。今年は上記の日程で、4回目だ。辻信一・明治学院大教授をメーン・パーソナリティーに、アジアの歴史、文化、環境を韓国の人と体験し、考えるという。
ふじ丸を使うので料金は1人15万8000~53万8000円と高いが、ふじ丸のおいしい食事が味わえる(通常だと、和食と洋食が交互だが、このクルーズでは和食と韓国料理が交互に出る)。特に、食事を重視する韓国人に大好評という。
いわゆる豪華クルーズとは一味違うが、間に3連休もあるので、いかがだろう。(フリージャーナリスト鈴木志津子)
2008年9月5日