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救急受け入れ詳細調査、10月実施を提案−消防庁

7月25日21時26分配信 医療介護CBニュース


救急受け入れ詳細調査、10月実施を提案−消防庁

「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」の委員ら(東京都内)

 消防庁は7月25日、救急搬送の受け入れ実態に関する詳細調査を今年10月から実施することを、消防機関と医療機関の連携に関する作業部会(座長=有賀徹・昭和大学病院副院長)の今年度の初会合で提案した。昨年度に行った「救急搬送における医療機関の受け入れ状況等実態調査」で、「ベッド満床」や「処置困難」などが受け入れ困難の理由として多く挙がっていたため、さらに詳細な理由を分析することで、今後の救急搬送体制の確保に役立てたい考えだ。

 今年3月に消防庁が発表した、2007年の救急搬送に関する実態調査(宮城県、埼玉県、東京都など、集計可能だった7都県)の結果によると、三次救急で受け入れられなかった1万2322件中、最も多かった理由は「ベッド満床」で、37.8%を占めていた。また、二次救急以下の医療機関で受け入れられなかった1万8215件中、最も多かった理由は「処置困難」で、39.0%だった。消防庁はこれについて、「二次以下の救急医療機関で受け入れられなかった患者が三次救急の受け入れ要請につながり、三次救急がベッド満床や患者対応などを理由に受け入れられない実態がある」と分析しており、「ベッド満床」と「処置困難」について、さらに詳細に分析する必要性を指摘していた。

 この日に提案した詳細調査は、10月中旬から2週間、もしくは1か月間行うとした。対象となる搬送事案は、重症以上の傷病者も含むすべての搬送と、産科・周産期、小児、救命救急センターの4種類。調査項目は、実態調査と同様に、▽搬送人員▽医療機関に受け入れ照会を行った回数ごとの件数▽現場滞在時間区分ごとの件数▽受け入れに至らなかった理由ごとの件数▽救命救急センターにおける救急搬送の受け入れ状況―だ。さらに、照会回数が11回以上になったケースでは、事故の種別や既往症、傷病種別、傷病者の背景(住所不定、外国籍など)、発生場所(自宅内、介護施設内など)についても詳しく調べるとした。

 また、受け入れられなかったケースについては、理由を実態調査よりもさらに詳しく調査するとした。受け入れ困難理由は▽手術中▽患者対応中▽ベッド満床▽処置困難▽専門外▽医師不在(救命救急センター搬送の調査では除く)▽初診(かかりつけ医なし)▽応答なし▽理由不明、その他―のいずれかに分類する。このうち、詳細な分析の必要性を指摘されていた「ベッド満床」は、さらに「救急専用ベッド」「集中治療室等」「一般病床」「その他」に、「処置困難」は、「設備・資器材不足」「手術スタッフ等不足」「高次医療機関での対応」「その他」に、細かく分けることを提案した。

 消防機関が調査内容に記入した上で、都道府県が集計し、消防庁に提出するとした。


■「あくまで答えた範囲で記入を」

 この提案について、委員からは「緊急時にここまで詳細に、医療機関に受け入れられない理由を聞くのは難しい。現場滞在時間が長くなる」「救急隊と医師との間にある人間関係に支障を来す」との意見が上がり、消防庁の開出英之救急企画室長は、「あくまで照会時に医療機関が答えた範囲で記入すればよいと思う」と答えた。
 また、「救急隊だけの努力で調査するのは難しい。医療機関や医師会の理解が必要」として、医療機関に厚生労働省から協力を呼び掛けてほしいとの要望もあった。このほか、「医療機関が本当の理由を答えるかどうか分からない」「いわゆる『ブラックリスト』の患者などはどの理由に入るのか」などの意見があった。

 有賀座長は、「全国で一気にやってしまうと、前回と同じような結果が出てしまうかもしれない。東京や大阪など、どこか1、2か所で丁寧に調査が実施できるような体制を整えてトライアルしてから、全国的にやってもよいのでは」と提案した。

 事務局はこれらの意見を踏まえ、9月4日の次回会合で方向性を示すとした。
 また、年間を通した実態調査も、昨年に引き続き実施する予定だ。


■救急医療機関の運営支援策も検討

 同作業部会の今年度の議論のテーマは、親会となる救急業務高度化推進検討会が5月に示した、▽救急搬送・受け入れ医療体制の実態に関する詳細調査▽救急医療機関の運営に対する支援の在り方―の2項目。「支援の在り方」については、三位一体改革で救急医療対策関係事業に関する補助金が一般財源化されたために、従来通りの救急対策を維持できなくなっている地域があるとの指摘もあることなどから、消防庁として考えられる支援策を検討するとした。

 座長には前年度に引き続き有賀氏を選出した。年度内に報告書をまとめ、検討会に提出する予定だ。


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最終更新:7月25日21時26分

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