使用楽曲
「"Libera me" from hell」
僕は絵が描けるわけではないので、コンセプトは、スチル写真でPVを作ることと音楽とのシンクロです。
08年1月に『グレパラ』のためにオーストラリアに行って、荒野の風景を中心に撮影してきました。どうしてオーストラリアかというと、『グレンラガン』の企画の最初期のコンセプトが「荒野とロボット」だったんですよ。それでイメージを掴むためには本物の荒野を見たほうがいいだろうということで、オーストラリアに行ったことがあったんです。行ってみるとやはり発見はあるもので、、地面は茶色というより赤い色だし、空は濃紺だし、これはアニメ向きの風景だな、と。そういう経験があったので、今回はどのあたりに行けば『グレンラガン』らしい風景が撮影できるかはちゃんとわかってました。ただ今年のオーストラリアは、大干ばつだったらしく雲が全然なくて、それで、用事があって出かけた新潟とかイギリスでも空を中心に撮影をして組み合わせています。デジカメのインターバルタイマーでコマ撮り撮影を行って、それを動画として見せているんです。
内容としては、TVで僕がやった第16話「総集片」の続きですね。あの時は第一部、第二部の総集編だったわけなんだけれど、今回は後半の第三部、第四部のイメージで、だから一番最後のカットはCGで描いた無数の銀河が出てくるわけです。あとはセリフですね。『グレンラガン』という作品の特徴の一つは、中島かずきさんのストレートでリズム感のいいセリフにあるので、それを要素として使おう、と。
「"Libera me" from hell」を選んだのは……ほかの人がこの曲を選ばなかったからですね(笑)。理由はわかるんですよ。確かに曲は長いし、その上、本編で使われたクライマックスのイメージが強い。そういう点でも、本編のキャラクターを使ってパラレルワールド的なアプローチをした短編アニメではなく、「実写でPV」というやり方はありかなと。ただ実写だと今度はキャラクター性があまりに希薄になってしまって、それはそれで物足りないんで。小道具として作り物の頭蓋骨を配したり、走る男の影を組み合わせたりしています。カット替わりのタイミングをはじめ、雲の動き、日差しの変化、あらゆるもの要素をきっちりと音楽に合わせています。そこがこの作品のポイントだと思うので、
(プロフィール)
やまが・ひろゆき
主な作品に『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『まほろまてぃっく』『アベノ橋魔法商店街』(いずれも監督)。『天元突破グレンラガン』では企画としてクレジットされるほか、第16話「総集片」の演出を担当している。
(C)GAINAX・中島かずき/アニプレックス