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共同通信の、配信記事です。
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国立がんセンター中央病院で、2002年8月、子宮摘出術を受けた東京都八王子市の主婦=当時(47)が手術翌日に死亡した事故で、警視庁築地署は17日までに業務上過失致死の疑いで執刀医(65)と麻酔医(44)を書類送検した。
調べでは、執刀医は骨盤内のリンパ節をはがす際、静脈を傷つけ、大量出血したのに十分な止血をしなかった疑い。麻酔医は執刀医に十分止血するよう促さなかった疑い。
主婦は子宮がん治療のため、02年8月8日、同病院に入院。同12日、手術中に大量出血し、翌日、多臓器不全などで死亡した。
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当事者の先生(以下、執刀医先生)は、私の目から見たら、神様のような先生です。
婦人科腫瘍専門の先生方からも、尊敬を集める先生です。
国がんの先生方だからこそできる治療・技術の、中心的存在でいらっしゃいました。
セカンド・オピニオンの患者さんを一人ご紹介したご縁で、度々ご指導を頂きました。
その患者さんは、当時私のいた市中病院では、子宮頸癌の浸潤癌と診断された方でした。
浸潤癌であれば、多くの場合は子宮摘出が必要になります。
30代前半の方でした。
ところが、執刀医先生にご意見をお伺いしたところ、
自らもプレパラートを検鏡して下さって、上皮内癌と診断しなおして下さいました。
他院での診断を覆して、より軽症の診断を下す場合、
最終的に悪い結果になってしまうと、厳しく責任を問われますので、
確かな自信と勇気が必要です。
結局、上皮内癌を前提として、子宮を温存できる円錐切除術だけをしましたが、
その患者さんは今、元気で2歳の子のママになっています。
これに味を占めた私は、はるかに目上で、しかもお会いしたこともない執刀医先生に、
厚かましくも、何人もの患者さんについて、ご意見を頂戴してしまいました。
子宮頸癌II期で、鶏卵大の外向発育型のmassのある患者さんの治療をお願いしたこともありますが、
もうすぐ5年になる現在、再発もなく元気にお過ごしとのことです。
また、ご意見を乞う度に、達筆な文字で大変丁寧なお返事を下さる上、
見ず知らずの若輩医者である私に、何かしらのアドバイスを下さるような先生です。
現在は、退職されています。
患者さん側とは既に示談が成立し、もうすぐ5年になろうとしているこの事故で
今、書類送検をして、一体、誰の、何のためになるのでしょう。
周産期領域の専門家である、敬愛する井上先生は、burnoutしてしまいました。
婦人科腫瘍領域の神様のような存在である、執刀医先生は、
犯罪者扱いされてしまいました。
これからどうしたら、いいんですか・・・
コメント
コメント一覧
新制度の司法試験制度が始まり、弁護士の資格をもつ人が、凄まじい勢いで増加しているようです。
当然、数の増えた弁護士さんは仕事を見つけなければなりません。
仕事のタネを目を皿のようにして探します。
彼らはどうも、医療過誤訴訟が仕事として美味しいと考えているようです。
確かに、昨今、医療者からみれば、理不尽と思われる判決も頻発していますし……。
彼らが、不幸な転帰をとった患者さんの御家族をたきつけて、片っ端から医師を訴え始めたら、医療はどうなるのでしょうか……。
恐ろしい時代がすぐそこまで来ているような気がします。
非常にせつなくなるし憤慨することばかり・・・
結果が悪ければ・・・
しかも時限爆弾のようにやってくる。
もうどうすればいいかわかりませんね。
何が悪いのでしょう。
どうしたらいいのでしょう。
大変悔しいです。
日本も早く成熟した司法判断をしてくれる社会になって欲しいと思います。
先生のブログを拝見しなければ
一訴訟ニュースとして聞き流してしまうところでした。
自分が足を踏み入れた世界の切ない一面を
垣間見た気がします。
>彼らはどうも、医療過誤訴訟が仕事として美味しいと考えているようです。
そうですね・・・
医者は得てして逆境に脆弱です。
さらに、人並みの経済力がありますので、
訴訟沙汰になって消耗するくらいなら、お金で解決してしまおう、
と考える医者は、出てくるでしょう。
医事紛争が日常茶飯事化して、一番得をするのは、
患者さんでも、もちろん医者でもなく、
法曹かも知れません。
絶望感に、共感します。
我々医者を逃散させている理由の核は、
過酷な労働でも、低賃金でもない、
裁判沙汰につながることだと思います。
現在の風潮、どうすることもできません・・・
私の中にある先生のイメージは、「春風」です。
緩和ケアの現場で、春風のようなやわらかさで
癌患者さんたちと向き合っている、先生。
そんな先生の悲痛な声が、
切なくてたまりません。
本当に、どうしたらいいのでしょうね・・・
アメリカのお話、大変わかりやすいですね。
そういう部分こそ、日本に輸入されるといいのですが。
元々合理的な思想がベースにあるアメリカのようには、
なかなか行かないかも知れません。
日本で訴訟社会が成熟するまでには、屍の山が築かれそうな気がしてなりません。
これだけ刑事扱いが乱発すると、
そのうち刑事罰自体の意味が軽んじられるかも知れませんね。
そんなことでいいのか、疑問です。
ブログに込めた気持ちを汲んで下さって、ありがとうございます。
心の中で、とっても大切にしていた存在を、穢されたような気持ちです。
だから「冒涜」と題しました。
報道内容もかなりいい加減です。
納豆ダイエットのような事例が続出して、
いっそ報道の信憑性が崩壊した方が、いい世の中になるのでは?と思ってしまいます。
正しいものを見極める力をつけなくてはならない、と思います。
先生のこの記事を拝して、この書類送検が「冒涜」だと
感じました。
汚らわしい土足で傷つた医師の心を踏み荒らす…そんな法は一切無くなってしまえばいいと思います。
法曹界の一隅にいる従兄にこの背景を伝えたいと思います。
人を殺したいと思って殺した殺人犯と一緒に罰せられては堪りません。
脳外科、外科、小児科、産婦人科、整形外科を志す若い医師が少なくなっています。どれも病院のいわば生命線の看板とも言える科です。
外科医の良心を問う前に・・・・これらの科の存続が危うい状態に市民は気づくことができるのでしょうか?
いつもそう思います。
そうです。冒涜行為です。
この先生が40年かけて築いて来たもの、40年間やってきた医療に
大きな傷をつける行為です。
そこまでの自覚なしにやっているのであれば、
狂犬がわけもわからず噛み付くのと一緒ですし、
わかっていてやっているのであれば、人でなしです。
おっと、来夢さんとお話していると、つい素が出てしまいます(笑)
>人を殺したいと思って治療する医師はいません。
本当に、その通りです。
そして、出血を止めようとしない外科医もいません。
そもそも、日本でだけ医療行為に業務上過失を問うことの意味が、あるのでしょうか。
東京女子医大小児心臓外科の人工心肺誤作動事故で、冤罪被害にあった当事者の先生が、以下のようなことをおっしゃっていました。
「医療行為を刑事罰に問われないようにしたのは、21世紀初頭の医師たちだ、
と言われるようになるといいですね」
そもそも、業務上過失って、何なのでしょうね。
信号無視やスピード違反のように、明らかな違反を伴うものとは
一線を画すべきと思うのですが。
注意義務違反、と言われても、opeなんて、どんなに注意しても
カバーできないことなんて、いくらだってあるのに。
法律の整備は急務と思います。
また、母の話になって、なな先生すいません。
私の母の胃がんの手術の結果、胃と十二指腸がうまくつながらず、結局生死をさまようことが2度ありました。
母方の叔父が、「手術ミスなのではないか」と私に言いましたが、私は主治医の先生が、情熱を持って一生懸命にやってくださっているのを毎日見ていたので、「絶対にそれはない」と断言しました。
そして、私は「その先生が主治医だったことに感謝をしている」といって、叔父を説得しました。私は今でもその主治医の先生に感謝をしていますし、一生忘れることのできない医師の一人です。
あまり参考にならない話かもしれないけれども、患者の家族の立場からの一意見として、聞いてほしかったので。
お母様のご病気の時は、つくづく大変でしたね。
バリ島さんと主治医の先生くらいの信頼関係が築けていることは、
患者さんにとっても医療者にとっても、幸せなことだと思います。
感情的にこじれたり、クレームを出したりするのは、
毎日医療者を見ているご本人やご家族ではなく、
状態が悪化した時に初めていらっしゃる、ご親族の方であることが多いようです。
バリ島さんのように、ご親族を説得して下さったお話を聞くと、
医療者としてはほっとします。
警察にも検察にもノルマがあるだろうから
発見した医療過誤を取り上げて書類送検したのでしょうか。
民事裁判の記録を繰って 医療過誤を発見したのでしょうか。
書類送検は取り調べ調書などを警察から検察に送付することとあるが 書類送検だけでは まだ起訴ではないから
そのまま不起訴処分になるかもしれない。
取調べを受けるのは苦痛ですが
起訴されて初めて事件になるのでしょう。
捜査の結果 訴訟条件を欠く時 事件が罪とならない時
犯罪の証明が無い時 犯罪の嫌疑が十分であっても
処罰の必要の無い時には 不起訴処分にすることが
できる とあります。
誠実に医療に当っていた事が判明すれば いいのでは
ないでしょうか。
おっしゃることは、理解できます。
しかし、
>誠実に医療に当っていた事が判明すれば いいのでは
ないでしょうか。
これだけでは、物足りない気が。
あんな先生でさえ、被疑者として扱われてしまった。
その事実だけで充分、絶望感を感じるのです。
あんな先生でさえ、被疑者として扱われてしまった。
その事実だけで充分、絶望感を感じるのです。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
民事事件記録を繰っているうちに あの先生の和解事件に
遭遇したのでしょう。
遇えて 著名な先生を狙い撃ちしたとは思えません。
裁判官ですら 判決数のノルマがあると聞いてます。
交通事故と同様に細心の注意を払っても起こるものは
起こるかも知れません。
なな先生の納得のいく説明が出来ないのが残念です。
もしかしたら、何かこの場では言いあぐねていらっしゃることが、
あるのでしょうか。
私も同じです(笑)
この点で、同じ気持ちなのかも知れませんね(ちがったらすみません)。
第2第3の執刀医先生が出ないことを、祈ることしかできません。
普通の民間企業なら、それで職を失います。
メディアにそれが書かれるなら、社会的な地位を失います。
書類送検を伝えたメディアは、不起訴になったからと言って、その理由を報じることはほとんどありません。
まして、書類送検した警察が、当事者に謝罪することもありません。
現実的な意味で、書類送検によって、たとえ不起訴になろうと、社会的な刑罰が与えられてしまうのです。
「それ」にふさわしいだけの「罪」があるのなら・・・別かもしれませんが、このところの一連の医療従事者に対する警察の対応は異常としか思えません。「医師法21条」によって自動的に「案件」を認知でき、そして「犯人」は逃げることなく存在する。警察にとって「楽」な事案でしょう。
医療に従事なさっている方々がこうした場で尾語りになる言葉に、私は違う世界の人間ですが、鞭で打たれるような痛みを感じます。
我々が平素思っていることの要旨とも言えるようなコメントを、ありがとうございます。
医療従事者以外の方が、現在の医療への警察介入に疑問を持って下さることを、
非常に心強く思います。
医療現場に警察が介入したところで、メリットがあるのは警察くらいではないかと思います。
再発防止のために罰する、という見方もあるようですが、
医療者に刑事罰を課すことで、本当に再発防止につながるとは思えません。
仮に医療事故が減ったところで、萎縮医療の結果では、何にもなりません。
都内でも、ついにope5ヶ月待ちの病院が出現しました。
暗澹たる気持ちです。
そしてこんな理不尽は、医療分野だけではないのかも知れませんね。
告訴を受けた警察は、捜査をし書類送検する義務があるのだそうです。たとえどんなに理不尽な告訴でも。(桶川ストーカー事件のときに、きちんと対応しなかったため殺人にいたってしまったということで、今の警察は必ず動かざるを得ないのだと聞いたように思います)
そして起訴するかどうかは検察が決め、起訴し裁判になって初めて有罪かどうかを争うことになる。
したがって一番問題なのは刑事告訴した人であり、書類送検=有罪かのように報道するマスコミであるわけです。警察が進んで介入しているというのではなく、医療関連死をやたらに刑事訴訟に持ち込もうという人が増え、マスコミが尻馬にのって騒ぐのがいけないのだと思います。
これ、報道内容がかなりひどい記事なんです。
自分のことではないので、詳細ここに書けないのが残念です。
先生のおっしゃるように、医療関連死を刑事に持ち込むことが問題なのだと思います。
侵襲的な行為が日教唆反的に行われる医療現場でのことに
警察が介入できる制度そのものに問題があるのだと思います。
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