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代理母出産で出生した子の出生届けの不受理が、最高裁で確定し、
議論を呼んでいます。
地裁では不受理、高裁では受理となっていましたが、
最高裁では逆転して不受理となりました。
私見になりますが、問題点はあるものの、概ね最高裁の判決を支持しています。
高裁が受理を命じた理由は
血縁関係は明らかで、子の福祉にも叶い、公の秩序に反しない
この3つです。
血縁関係は明らかです。
ところが最高裁は、
現在の民法では、出産した女性がその子の母親であるから、
本件の子の母は、卵子提供者ではなく、代理母である、と言っています。
生物学的な事実よりも、法律を重んじたもので、
科学者でもある自分の立場からは、到底容認できるものではありません。
この点に関しては、大いに異議があります。
子の福祉に叶う、これもその通りです。
特別養子縁組という方法はありますが、
実子としての届出に上回る点は、ひとつもないでしょう。
問題は、「公の秩序に反しない」。
本当に、そうでしょうか。
妊娠・出産は、本来命がけのものです。
だから、お金で他人に妊娠・出産をさせるのは、
他人を健康と生命の危険に晒す行為でもあり、
臓器売買や、生命に値段をつけることに通じるものがあると思うのです。
これは、公の秩序に反すると思うのですが。
最高裁の判決は、法律が生殖医療の進歩に追いつけずに、
民法を杓子定規に当てはめただけのものですので、
その点では評価できません。
しかし、実は大きな危険を孕んでいる代理母制度を、
わが国では認めない、とする決定でもあります。
そう思うと、今回の判決は是だと思うのです。
ともあれ、生まれた双子ちゃんの幸せを祈ってやみません。
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コメント
コメント一覧
私もこの一連の件に関してはずっと注目してました。彼女が妊娠によって癌であることがわかり、苦渋の選択で赤ちゃんの命と引き換えに癌治療をしたこと。そして、どうしてもご主人の遺伝子を遺したい一心で今回の件に至ったこと。
同じ女性として、母親として気持ちは痛いほど解ります。
でも…
>妊娠・出産は本来命がけのものです。
そうなんですよね。
スルスルと安産で産んだ方には理解できないかもしれないけど。。。
代理出産をされた方も双子だし大変だったと思います。大金を受取るにしても命と引換えなんですから。
この国で生まれ育った彼女がこの国でお子さんを育てていくわけですから法律に従うべきだと思います。
子供たちを取り巻く環境が厳しいことも、好奇の目で見られることも覚悟のうえで選択した筈です。
こんな論争を起こさずにすんなりと養子縁組した方がよっぽど子供たちのためになったのではないでしょうか。
先生も「命がけの出産」という局面に対峙することが多々ありますものね。この記事を書くにあたっての先生のお気持ち、少しはわかるような気がします。
そう、愛した男性の事もがほしい、という気持ちは、
私もよくわかります。
でも……
代理母の女性、今、どんな気持ちでいるでしょうね。
もちろん、全て納得ずくで、本人が選択したことなのでしょうけれど。
議論は尽きないと思いますが、
日本なりの倫理観・精神的土壌に合った取り決めがなされることが
必要と思います。
ちょっと違う意見なのですが…
最高裁の判決は、血縁関係を認めるかではなくて、法的親子関係を認めるかどうか、です。
もちろん血縁関係が大前提として組み立てられたものですが、血縁関係が明らかではないから本件の子の母は代理母である、と言っているわけではありません。
そして、裁判所である以上、法律が大前提で(もちろんそれを解釈して妥当な結論をもってこようとするのですが)現在の民法では「懐胎した」と書いてある以上、それを曲げて血縁関係があるし自然科学的に親子関係があるから認めるというのは難しいと思います(高裁がアクロバティックかと…)。
裁判所が法律を重んじないわけにはいきません。それが根底なんですし、法律を変えるなら国会でやるしかありません。そこを実体に合っていないからといって一線を超えて出てしまうわけにはいかないと思います(まして最高裁なので、他の裁判全てに影響しますし)。
代理母の話は、代理母の出産の危険性(ここが私もどうしても代理母を認めることに違和感を感じてしまうのですが)や、お金で子どもを買うのかという問題もあるし、難しいことではあるのですが、とにかくまずは一定のルールを作る必要があるのだろうな、と思います。
忌憚ない意見をありがとうございます。
とても勉強になりました。
手元に判決文がないので確認できないのですが、
「出産した女性がその子の母親である」
という裁判所の判断を、拡大解釈してしまったのでしょう。
血縁では親子関係は認めるものの、法的には親子ではない、では、
市民は混乱してしまいますので、一定のルールが必要というお考えに、強く同意します。
裁判所も、我々科学者も、己の限界を知るべきなのでしょうね。
本件の高裁判断がアクロバティック、トリッキーなのでは?という意見は、
身の回りのドクターたちからも出ています。
一歩豊かなブログになりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
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