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お産の多い、S先生の病院に非常勤で勤務した日のことです。
朝から夕方までの外来の合間に、正常分娩3件、その後帝王切開が1件ありました。
「この敷地内は日本じゃありませんよね~、少子化関係ないですもんね~」
などと笑い合いながら、その後もさらにお産がありました。
S先生の病院は忙しく、当直に来る時はいつも徹夜覚悟で来ています。
その日も徹夜パターンでしたが、深夜、呼ばれないはずの自分の病院から呼ばれました。
聞くと緊急帝王切開ですが、
本来on callのドクターはお子さんが熱を出して、行けないとのこと。
諸般の事情から、私が行くしかありません。
当直中に抜けて行ってしまうなど、以前はとんでもないことでしたが、
最近はどこの病院も人員確保が厳しく、綱渡りの状態ですので、
お互い融通を利かせるしかなくなっています。
時刻は午前1時でしたが、恐縮しながらS先生を起こして事情を説明したところ、
快く行かせて下さいました。
無事お産になった後、今度はS先生の病院に戻りました。
タクシーを拾って行き先を告げると、
病院から出てきて、さらに他の病院に行こうとしているのを不思議に思われたのか、
「お仕事ですか?」と聞かれました。
へとへとで、言動の微調節ができなくなっていた私は、ストレートに
「そうです。こんな夜中に病院から病院へ向かう、疲弊した産婦人科医です。
すみません、横になってもいいですか」
と言うと
「いいよ。近くに来たら起こしたげるから」
お言葉に甘えて、タクシーの後部座席に横になり、2秒で気絶。
2,30分は眠ったでしょうか、S先生の病院の近くまで来たところで、
運転手さんが起こしてくれました。
そこから先は、細い一方通行の道になるので、
「近くですので、この辺で降ります」と言うと、
その年配の運転さんは
「何言ってるの、こんな夜中にちゃんと送らないわけいかないよ」と、
料金のメーターを切ってくれました。
ぼーっとした頭で、じんわりと感激していると
「よっぽど疲れているんだねえ。かわいそうになっちゃったよ」
ご自分も深夜に働く運転手さんのやさしい言葉に、思わずホロリ。
丁寧にお礼を言って降りようとすると、
「それにしても痩せてるね。しっかり食うんだよ」
もう、完全に参りました(笑).
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コメント
コメント一覧
人によっては勤務医並の激務をこなしても、年収400万円以下なんてザラだそうですね。
それを思えば、イイ話ですねぇ。
疲れた時に悲しい時、他人の人情・好意・善意に触れた時ほど嬉しい事はありませんよね。
「義理と人情、秤にかけりゃぁ、“人情”が重たい男の世界」でなけりゃ、イケマせん(笑)。
なな先生、痩せてるんですか ...。
メガマックを注文し損なった方だけに、違う事を想像してしまっていました。
大変失礼しました(苦笑)。
素敵な運転手さんですね。料金のメーターを切ってしまうなんて、小気味のいい!
江戸っ子運転手さんかな?
疲労困憊の中、あったかい気持ちにさせてくれますよね。
それにしても、なな先生。もともとの勤務先の病院でもお忙しいのに非常勤もこなされてるなんて、それではいくら食べても太れませんね(・o・)
なぁーんて、時間どおりに食事がとれない日常なんですものね。
先生にあったかいご飯届けたい。
うちの家族の大好物、どこのレストランより美味しいと大好評のハンバーグとブロッコリーのポタージュ。
夢の中で食べてくださいね(^o^)丿
分かってる と叱られそうだけど。
それにしても激務ですね。
私も泣いちゃったよー(泣)です。
タクシードライバーさんもなかなかシブいことをやって
くれましたねー。こんなあったかな人を見かけると、まだまだ世の中、捨てたもんじゃないって思いますよね。
なな先生の味方、また発見!(笑)
「ちょこっといいお話」でしょ?
温かい人情に触れたことに加えて、
夜道を一人で歩かない、食事はしっかり食べるなど、
本来当たり前のことを、今さら思い出すエピソードでした。
それにしても、タクシー業界って大変なんですね・・・
>メガマック
誰でもいっぺん食べてみたくなりません?(笑)
いけてる運転手さん、素敵な年長者でしょ?
「女の子(真っ暗だから”子”に見えたのでしょう(微嬉))が、こんなになって働いてるなんてねえ。
日本の国は何やってんだろうねえ」ともおっしゃっていました。
私の勤務形態は、産婦人科医としては決して特殊ではないのです。
個人開業の産院は、院長先生プラス曜日交代の非常勤医という体制でやっているところが多数あります。
そうしないと回らないのが、日本の産婦人科医療の現状です。
なので、S先生の産院には私以外にもう5人、同じ勤務形態のドクターがいます。
>どこのレストランより美味しいと大好評のハンバーグとブロッコリーのポタージュ。
mizuhoさんちのお子さんが、心底うらやましい・・・(涎)
本当に、その通りですね。
朝ご飯は絶対抜かないのが、元気の素です。
シブい運転手さんでしょ。60歳くらいかなあ。
あんなイカした60歳になりたいですね(生存していれば)。
なんだか、お父さんに諭されたような気持ちでした(笑)。
かっこいい!
なな先生もかっこいい!
かっこいい大人がたくさん増えるといいな。
私もかっこいいおばさんになってみせますね。
なな先生、地元のおいしいお酒、送ります。
住所を。
あっお酒より、お米!
それにしてもなな先生も、芸能人並の忙しさと言っては失礼ですが、本当に綱渡りをされていることが、このブログを読んでいて、よくわかります。
実家の方にも人気№1、2の個人病院の産婦人科がありますが、先日全国紙にその病院のことが載っていました。
そこは、院長の産婦人科医の他はすべて助産師さんで分娩をやっていると書いてありました。
同じ市内にNICUがあるので、緊急時には対応できるようになっているのだとは思いますが。どこも綱渡りなんですね。
日曜日に静岡子ども病院のNICUの番組を見ました。未熟児科の女性の先生が今度、妊娠を控えていて、お母さんたちが妊娠時の不安な気持ちがよくわかると言っていました。その先生も結婚しているのに週末婚だそうです。出産後も頑張って小児科医を続けていってほしいと思いました。
お米もお酒も重要です(笑)。
ちなみにお米は、炊いたものをお願いします。
何しろうちには炊飯器がありませんので。
(次々暴かれる、独身産婦人科女医の驚愕の生態?!)
未熟児科は、産婦人科よりもっと大変かも知れません。
今後はきっと、その先生のように勤務をこなしながら結婚・子育てもする女医が増えていくでしょう。
新生児を持つお母さんの気持ちが丸分かりの、
そんな先生にこそ、頑張ってもらいたいですね。
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