アジア通貨動向(9日)=総じて下落、景気懸念の再燃と米ドルの上昇で
[シンガポール 9日 ロイター] 9日午前のアジア通貨は、前日の上昇から一転し、総じて下落。米政府による政府系住宅金融機関(GSE)救済策発表の効果も薄れ、景気への懸念が再燃している。
米ドルは、主要通貨バスケット.DXYに対して、1年ぶりの高値を記録。米政府によるGSEの連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)の救済策が、米ドルの上昇を支援している。
前日には、米GSE救済策を受けて、リスク志向の復活や金融セクターへの信頼感回復から、アジア通貨や株式市場が上昇したが、きょうは早くも楽観的な見通しが後退した。
韓国ウォン<KRW=>の下げがきつく、前日には対米ドルで過去10年で最大の上昇幅を記録したが、きょうは約2%安。米ドルの上昇と、ソウル株式市場の軟化が嫌気された。また、外国人が保有する大量の国債の償還期限を迎えるにあたり、資金流出懸念が広がっている。
タイバーツ<THB=>は0.3%安の1米ドル=34.62バーツ。市場は、サマック首相のテレビ番組出演問題に対する憲法裁判所の判断を注視している。もし違憲判決が下されれば、同首相は退陣を余儀なくされる。
大半の投資銀行は、今後数カ月はアジア通貨のショートポジションを維持する方針を示している。
スタンダード・チャータード銀行の通貨ストラテジスト、カラム・ヘンダーソン氏は「総じてアジア通貨に対するドル高傾向が続いている」として、「アジアでは、中央銀行が多少なりとも依然インフレ問題に直面している。インフレは、成長重視政策よりも優先的に対処すべき問題だ」と述べた。
アジアの中銀がインフレ問題に対応しきれていないとの懸念が、アジア通貨の重しとなっている。輸出促進のため、通貨当局は故意に自国通貨を低水準にとどめているとの見方すら出ている。
アジア各国の中銀による度重なるドル売り介入にもかかわらず、韓国ウォン<KRW=>は対米ドルで2カ月で9%下落したほか、フィリピンペソ<PHP=>は対米ドルで1カ月で4%下落。ペソはこの日、1米ドル=46.75ペソで推移している。
マニラの銀行のストラテジストは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)の政府管理下に置くという米財務省の救済措置を受けて、米ドルは急反発したが、米国経済の悪化懸念がドルに暗い影を落とすと予想する。
「企業の需要とアジア通貨に対するドル高の継続を背景に、ペソは近く1米ドル=47.00─47.12ペソの水準まで下落リスクがある」と述べた。
*0329GMT(日本時間午後零時29分)時点のアジア各国通貨の対米ドル相場は次の通り。
シンガポールドル 1.4331
台湾ドル 31.908
韓国ウォン 1098.00
タイバーツ 34.58
フィリピンペソ 46.75
インドネシアルピア 9348.00
インドルピー 44.59
マレーシアリンギ 3.4480
人民元 6.8389
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