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看護師による内診問題の浮上以来、カルテ記載が厳格になり、
夜間は助産師のいない産院で当直するのは、すなわち完全徹夜と化しました。
お世話になったS先生の産院ですので、
少々きつくてもお手伝いしたい、という思いから非常勤医を続けていますが、
その産院で当直している時に、数分の仮眠を取ると
動悸で目が覚めるようになり、さすがにちょっとまずいかな、
と思ったりもしています。
「どっかに助産師さん、いないかな~」
と、徹夜明けのモヤモヤ頭でぼんやりと考えながら自分の病院に帰って、
午前の外来のために持ち場につくと、
いるじゃありませんか、助産師さんが、何人も。
天使のような笑顔を浮かべる彼女たちは、いわゆる「潜在助産師」です。
助産師としてのキャリアを持ちながら、子育てのため、
夜勤のない外来勤務についています。
その気になれば、すぐにでも分娩取扱いができる人たちです。
極めて単純な質問をしてみました。
「ねー、何で、お産やらないの?」
答えも極めて単純明快でした。
「夜勤の時に、子供を見てくれる人がいない」
「子供のことを何とかやりくりしても、見合った給料が貰えない」
回答の、あまりの分かりやすさに却って興味が湧き、
他の潜在助産師さんにも聞いてみました。
助産師の資格を持ちながら、産科以外の病棟で働いている助産師さん、
専業主婦をやっている助産師さん。
「本当はお産をやりたいんだけれど、産婦人科が閉鎖になってしまった」
という回答が加わったくらいで、
やはり同じような内容でした。
「お産をやりたくないから」という人は、
少なくとも私の周囲の助産師さんの中には、
一人もいませんでした。
では、
保育施設を確保して、
専門職として見合った給料を支払えば、
現場に戻ってくれる助産師さんは、増えるのではないでしょうか。
平成17年以来、厚生労働省の看護職員確保対策特別事業として、
潜在助産師さんたちを対象とした研修会が、各地で開催されました。
この効果は、きちんと検証されたのでしょうか。
潜在助産師さんたちに
「こういう研修会があるんだけれど、これを聴いたら現場に戻ろうという気になる?」
と聞いたら、みんな吹き出していました。
我々産婦人科医もそうですが、助産技術も
元々研修会で取得したものではありませんから。
「どうやったら、潜在助産師さんたちがお産の現場に戻ってくれるか」。
一人でもいい、まずは本人たちの声に、耳を傾けてはどうでしょう。
子育て中の女性こそ、助産師の仕事に向いていると思うのですが。
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コメント
コメント一覧
そんなもったいない方々がいらしたのですね。
子育てをしながらの夜勤は確かにきついけど、
何人かでチームを組んで週に1~2回でも交替で夜勤ができるシステムでもあれば可能なのかなぁと
ぼんやり想像してみましたが^^;
実際はなかなか難しいのでしょうね。
本当にその通りです。
私も就職についてのネックは子供です。
預かり場所。
でも子育てをしていると言うことは出産経験あり。
とても力強いですよね。その経験!
その出産によって経過が違っていたりするのを
肌を感じて経験済み。
本当に潜在ですね。
大きな大きな力です。
自分の仕事が大好きという点も。
確かに遷延分娩や分娩停止になったりすると長丁場になる
し、夜間に動ける助産師さんって貴重な人材ですよね。
24時間保育園って私立で点在しているので、いっそのこと政府が支援して病院の近くに持ってくることって出来たらいいのになぁ…と思います。
たぶん預かる側も責任を問われるのが怖くてちょっとの熱でもすぐ保護者を呼んで返してしまうそうなので(…と友人が言ってました)
お上のお偉い方たちはそこまで汲んではくれそうにないんでしょうかねぇ…。
勿体ないでしょう、潜在助産師さん。
助産師だけではなく、同じよう理由で
看護師、女医も潜在がいます。
多分、他の職種でもいっぱいいるのでしょうね。
最後の一文に込めた思いを汲んで下さって、
「わが意を得たり」です(笑)。
そうなんです、子育て中の女性は、お産の経験だけでなく、
産後のおっぱいトラブルや、乳幼児と接する時の悩み、
言語の通じない、理屈ではない新生児と接する時の独特の閉塞感のようなものも
実体験として感覚的に理解できる人たちですから。
これに専門性が加わるわけですから、
こんなに頼りになるプロ集団はいないと思うのです。
そうそう、その通り。
「24時間保育」
「お上」
私も考えていた、key wordです。
お上は、得てして自分の利得にならない政策はやろうとしませんが、
利得とは離れていても「ある偉業」を達し、名を残すことには吝かではない、という一面があります。
今後、職業を持つ女性は増える一方でしょうから、
女性の労働力を無視することはできないでしょう。
そんな世の中において、政府主導の24時間保育体制を、空前のレベルで拡充したら、
後世に名を残せると思うのですが。
誰かやってくれないかな~
単純な話、疲弊しきってもうそんな薬の効かない産科医とは違って、まだ助産師には「高給」という薬が効く余地がありそうですね。もちろん、子育て環境を整えてあげるのは当然のことなのですが。
せっかく助産師の専門性ばかり主張する強力な大臣を頂いているのですから(これは皮肉です)、これを機会に公立病院だろうがなんだろうが、雀の涙みたいな手当じゃなくて給与もしっかり看護婦と差をつけて増額してもらえばいいのに(これは皮肉ではありません)。もちろん、公立病院がそれで更に倒産へ爆走しようが、それは時代の流れですから仕方ありません。「給与は公務員と一緒、責任は専門家並み」という屁理屈に不満を感じ始めているのは、医師だけでなく助産師もそうでしょうし、そうでなくてはいけません。
医師がもうだめになったように、その薬が効くのは、もう今のうちだけかもしれません(資格そのものを取るのにかかる年数が全然違いますがね)。
「今のうち」というのは、新しい着眼点ではないでしょうか。
はっとしました。
日本の勤務医の中には、少々給料が安くても、誇りと使命感に支えられて働いている人がまだまだいます。
助産師も職人ですので、同じようなものと思いますが、
医療を取り巻く環境が、良くなる要素がひとつもない現状の下では、
「今のうちに」現場に戻ってもらうのが得策と、私も思います。
今後ともよろしくお願いします。
私もいわゆる「潜在助産師」なんです。「潜在助産師研修会」にも参加しましたが、講義を聴いただけでは、現場に復帰しよう!!という勇気までは沸きませんでした。そうやって、1年、2年と過ぎていくと、だんだん現場に戻るのが怖くなるんですよね・・・。もう、私も最後のお産から5年くらいが経ちました。かといって、「現場で研修させてくれる所」も意外とないですね(当たり前だけど・・)。 夜勤と子どもの問題も、子どもが寝付く頃の時間帯(21~22時頃)から、朝子どもが目覚める(6時頃)まで という、とっても中途半端な育児者向け夜勤制度を作ってくれたら、なんとかなるわ!!っていうママさん助産婦は意外と多いのかも知れません。 現在は、行政の臨時職員で赤ちゃん訪問をしていますが、行政でも助産師不足が出ている状況です。なな先生お体大事にされて下さいね。これからも、時々訪問させて下さいね。
1年前の記事を、よくお読み下さいました。
勿体ないですよね、潜在助産師。
1年前から比べて、全く改善していない、というか
更に不足化しているような気がします。
ぴょんぴょんさんのおっしゃるブランクのことも育児者向け夜勤制度も、
潜在助産師さん本人でないと、わからない発想です。
制度さえ整えば働く意志のある専門職がこうやって存在するのに。
産婦人科医不足対策は、昨年に比べれば少し変化が見られて来ました。
この動きが伸るか反るか、今後を見守りたいと思っています。
このブログ、助産師さんのお話も時々書いてますので、
是非お好きなところにコメント下さいね。
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