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< 独身産婦人科女医の生態 | メイン | "義理・人情” の入り口で >
2007.02.03 21:07 |  診療  |  なな  | 推薦数 : 6

妊婦さんと煙草

患者さんにアドバイスをする時は、なるべく具体的なお話をするよう心がけています。

例えば、妊娠中の体重増加がオーバーペースになる妊婦さんには、

「体重を増やさないように、気をつけて下さい」と言うのではなく、

「次の健診までに、1.5kg増までに抑えて下さい。次の健診は4週間後ですから、

1週間に500g増えたら増えすぎですよ。そう思いながら、毎日体重計にのって下さいね」

という具合に。

内容的に優れたアドバイスであることよりは、

患者さんの心に響くような言い方をすることの方が、よい医療につながると思うのです。

 

しかし、未だに妙案が浮かばないのが、妊婦さんと煙草。

決して新しいことでもなければ、稀な話でもないこの局面で、

どうしたらいいのか、考えあぐねているのです。

 

 

妊婦さんの煙草への暴露が問題になるケースは、3通りあります。

1 ご家族(たいていの場合はご主人)が喫煙者

2 煙草の害を知っていながら、禁煙しようとしない妊婦さん

3 禁煙しなくては、と思いながら、止められない妊婦さん

 

 

1 ご家族が喫煙者

この場合は、一切手加減しません(笑)。

得てして妊婦さんご自身は、「頼むから自分のそばで煙草を吸わないでほしい」と思っていらっしゃいます。

ですので、特に喫煙者本人が一緒に受診に来ている場合は、容赦ない言葉を浴びせます。

「煙草は、全ての能力が低下します」

「まあ、妊婦さんのそばで煙草を吸うということは、赤ちゃんの顔にフーッと煙草の煙を吹きかけるのと、

おんなじですからねぇ」

「赤ちゃんに何かあった場合に、一生責任を感じることになりませんか」

という具合です。

 

 

2 禁煙しようとしない妊婦さん

赤ちゃんに対する煙草の害を知らないわけではないけれど、それでも煙草を止めない人がいます。

彼女たちの思考回路は、こんなところです。

「ちょっとくらいならいいんじゃない」

「吸わないと却ってストレスになって、赤ちゃんに悪いし」

「いろいろ書いてあるけど、私は大丈夫よ」

こういう妊婦さんたちに対しては、危機感を促すような話をします。

「赤ちゃんのいるお腹の環境を、お母さんが守ってあげなくて、誰が守ってあげられるんですか」

「赤ちゃんの細胞が酸欠になりますから、細胞が育たなくなります。赤ちゃんの頭の細胞が育たなかったら、

大変でしょう?」

あるいは、低出生体重児の写真を見せて、視覚に訴えることもあります。

 

 

3 いけないと思いながら、禁煙できない妊婦さん

このグループの妊婦さんたちは、大抵の場合、思いつめた表情で、煙草を止められずにいることを告白します。

「先生、実は私、煙草がやめられなくて・・・。赤ちゃんに、影響しますよね」

 

この場合、産婦人科医は、何と言ってあげられるでしょう?

 

まずは、思い切って相談してくれたことをねぎらいます。

そして、1日何本吸うのかお聞きして、こちらも真剣に捉えているのだという姿勢を見せます。

危機感を促して、絶対に止めるようにと言ったところで、

妊婦さんを心理的に追いつめるだけです。

「まず目標は、絶対に今の本数を増やさないことです。

 これだけは守って。

 そして、今日よりは明日、明日より明後日、という調子で

 1本1本減らして行くことを目指しましょう。」

と、こんなことしか言えずにいるのですが・・・

 

 

妊婦さんと煙草。

患者さんの心に響くアドバイス。

未だに模索中の課題です。

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喫煙大国 日本
血管撮影後、シースを抜いて用手圧迫中の15から20分間、喫煙者には必ず禁煙指導をすることにしている。まず禁煙を試みたことがあるか?何故その時禁煙出来なかったと思うか?決して責めてはいけない。確かに禁煙... [続きを読む]
posted from アメリカ脳血管内治療事情 2007.02.08 12:32

コメント

コメント一覧

なな先生、こんばんは。
お疲れさまです。

具体的なアドバイス、すごくいいと思います。
数字で示さらないと実感がわかない人、結構多く見受けますしね。
ご家族への容赦ない説明も大賛成です!!

私も主人も喫煙はしないので、妊娠中にあまり喫煙の影響について
改めて考えたことはありませんでしたが、
やっぱり大切な教育の1つですね。

あとは視覚的に訴えるのもいいかも知れません。
私は学生の時に授業でみた喫煙者の汚い肺(実物でした・・・)が
ずっと忘れられません。
衝撃的な汚さでした。
これは是非小中・高校の授業でやってほしいですね。
写真ではなく実物・・・とうのがインパクトとして重要なのかも
しれませんが。
妊婦さんに対しても、軽く脅すくらいのインパクトも必要なのかも・・・。
こんなのはきっと安易な考えですね(^-^;)


「患者さんの心に響くアドバイス」を模索し続ける先生は、
やっぱり尊敬します。
written by piro / 2007.02.03 21:54
なな先生、こんばんは。
本当に世の中の全ての女性に言いたいです。
赤ちゃんを産むつもりのある人は絶対に吸わないで!
赤ちゃんが育つ身体を傷つけないでと。
お腹に宿った命に気づいたころでは遅いということを
ちゃんと認識してほしい。
周りのママ友達にもいますが、気づいてから禁煙して生まれた子供は二人とも弱視です。
喫煙が原因とも限りませんが、それぞれのママたちは今でも悪びれず「その期間だけ吸わなきゃいいのよ」と言い放ちます(-_-メ)あぁ、気の毒なのは子供たち…
私の母も私を身ごもってから喫煙を始めました。ストレスからだったのでしょうか…
そのせいだと思いますが心臓に欠陥ありです。
憎むべき女性の喫煙です。
written by mizuho / 2007.02.04 00:51
この妊婦さんの喫煙については、先日「朝日新聞」の読者の投書欄にも載っていました。
妊婦さんが喫煙することにより、リスクのあるお産が増えてしまい、産婦人科医の負担が一層増しているというような事が書いてあったように思います。

会社でも何人かの独身女性が煙草を喫煙室で煙草を吸っています。いつかは、母になるかもしれない彼女達は、たぶん、喫煙が妊娠に影響するなんて、きっと知らないと思います。

もっと、妊娠と喫煙のリスクについて、若い女性向けの雑誌などで特集をして、知識として教えてあげればいいのにと思ってしまいました。
written by バリ島 / 2007.02.04 01:18
なな先生、お疲れーライスです。(ありがとうございます、今、ずっこけるフリをしてくれたと思う、私はサブい女です)

煙草、吸わないんで「禁煙」の苦労って解からないんです。
でも、見たことありますよ、おなかが大きいのに人目をはばからずに吸ってる人(--;)
外で吸うくらいなんだから、家のなかなんてもっと吸ってるんだろうなぁ…と思いました。
乳幼児突然死症候群のリスクが高くなるんですよね?
妊婦喫煙の話は(きっと熱いと思われる)いっちゃん先生もブログに以前、書いてらっしゃいましたが。。。結局は自己抑制力があるかないかだから、なな先生や諸先生方のようにどんなに苦労して諭しても徒労になるのは、ちょっとイタイですね。
written by 来夢 / 2007.02.04 16:11
 そう言えば、血液中のニコチン濃度が発生学的にどんな影響をもたらすか、ちゃんと文献を調べたことがありませんでした。

 私自身は5年前にニコチンガムを使って禁煙に成功したのですが、自分の場合は血液中のニコチン濃度が一時的に上がろうと、煙の中の化学物質や一酸化炭素が減る方が健康的に違いないと思ってました。口の中に、妙にしびれ感が残るような味が感じられるくらい、将来の肺気腫リスクに比べれば誤差も同然だと思っていました。

 でも、妊婦さんに禁煙してもらうために、血液中のニコチン濃度を上げていいものかどうか、信頼できるデータがないと勧めにくいですね。

 ファイザーが申請しているニコチン性アセチルコリン受容体パーシャルアゴニストのバレニクリンは、妊婦さんにも使えるのかなあ?
written by hirata / 2007.02.04 17:49
 すみません。ネットワークの回線状況が悪く、アップロードの速度が極端に遅いので、ブラウザを止めてセットをやり直したつもりが、同じコメントを重複してしまいました。

 削除コードがないので、自分では修正できずお詫びするだけです。
written by hirata / 2007.02.04 17:58
若い今どきママさん達、ほんとう~にかっこよくだんな様の横で堂々と吸ってらっしゃいますよね。
カッコから入って、それがやめられなくなる・・・
麻薬ですから・・・
子供の前でも平気ですよね。今は。
なので子供が小学生で吸っても自分も吸ってるからいいやって思うそうです。
注意しないそうです。「火事に気をつけてね。」って。
健康を害するって事を後何年後に知るんでしょうか。
それと今回婦人科系でなな先生に個人的に相談があるのですが・・・いけませんでしょうか。
written by ぴょん / 2007.02.04 20:33
piroさん、こんにちは。

実物の肺とは、インパクトありますね。
禁煙教育の方法としては適切と思います。
海外の煙草の警告表示は、どきっとするような写真です。
http://www.pat.hi-ho.ne.jp/ten250/biyou/eu.html
written by なな / 2007.02.05 06:46
mizuhoさん、こんにちは。

いつも穏やかなmizuhoさんの、いつにない調子のコメントに
ちょっと驚いています。
お母様のこと、ずっと心の中で葛藤されていたのでしょうか。
台湾では、妊婦さんの喫煙を禁じる法律があるのだそうです。
喫煙一般に関してはさておくとしても、妊婦さんの喫煙だけは
もっと強力に禁止できないものかと思います。
written by なな / 2007.02.05 07:01
バリ島さん、こんにちは。

>いつかは、母になるかもしれない彼女達は、たぶん、喫煙が妊娠に影響するなんて、きっと知らないと思います。

そうですね。
精子は、新しいものが次々できますが、
卵子は、私たち女性がお母さんのお腹の中にいた頃から、ずっと持ち続けているものなのです。
つまり、女の子の胎児の頃から、自分の卵巣に持っている卵子で、赤ちゃんができるんですね。

だから女性たちには、身体を大切にしてほしいと思います。
written by なな / 2007.02.05 07:12
来夢さん、こんにちは。
さっ、さぶいですね~最近(笑)。

>結局は自己抑制力があるかないかだから

その通りなのですが・・・
まずは救ってあげたいと思っているのは、
「煙草は悪いと思いながら、止められない妊婦さん」です。
ニコチン依存になっているケースは少なく、
何か心に満たされないものがあって、吸ってしまっている場合が
多いのではないか、と思うのです。
そうだとすると、もう少しケアのしようがあるように思えるのです。
written by なな / 2007.02.05 07:17
先生、再度失礼致します。
お察しだと思いますが、私は母が嫌いです。
たぶん一生許すことは無いでしょう。
マザコンとなられた先生のお母様はきっと素敵な方なのでしょうね。
私にとって女性の喫煙はありえないんです。
今やくわえ煙草で歩いたり車の運転をしたり
いつから日本の女性は恥じらいを無くしてしまったのでしょう。
私にも娘がいますが、折にふれて煙草の害を話していくつもりです。いつか生まれるであろう孫が苦しむことのないように。
written by mizuho / 2007.02.05 14:59
hirataさん、こんにちは。
続けてレスを書こうと思っていたのですが、
呼び出されてしまって、書けませんでした。失礼しました。

おっしゃる通り、疫学的なデータしかないのが弱いところです。
ニコチンの直接的な影響かどうかはわかりませんが、Down症の原因となり得る染色体分離不全と、喫煙との関係に関しては論文があるようです。
現場での印象に過ぎませんが、喫煙妊婦の子宮内胎児発育遅延は結構な頻度で見かけます。
これはニコチンの影響だけではなく、胎児ヘモグロビンと一酸化素の親和性が、大人のものに比べてはるかに高いことと関係していそうです(ご存知ですよね、きっと)。

もっとも、妊婦さんを説得するには疫学データだけで充分ですが。
written by なな / 2007.02.06 03:07
ぴょん先生、こんにちは。

価値観の多様化と言われて久しくなりましたが、
ほんと、いろんな価値観の人がいますね。
以前、「女性の煙草に火をつけてあげるのが好き」という男性がいました。
私は非喫煙者なので、物足りなさそうでした(苦笑)。

相談、もちろんOKですよ。
ここに書けるようでしたらそれでもいいですが、
書きにくいようであれば、他の方法を工夫しましょう。
written by なな / 2007.02.06 03:13
mizuhoさん、こんにちは。

本当にそうですね。
女性がものをくわえたまま何かする姿は、決していいものではありませんね。
喫煙者の友人が、どんどん肩身が狭くなっているのを感じるのだそうで、
「きっと10数年後には、煙草は前面禁止になっているよ」と言っていました。
本当にそうなるかも知れません。
written by なな / 2007.02.06 03:21
ありがとうございます~
実は子宮筋腫でどうしようかと・・・
だんだんひどくなって。
子宮を全摘ってその後症状は
出ないといわれていますが実際のところ
どうなのかな・・と。
すみません、現場の、しかも女の先生だと
相談しやすいので。
written by ぴょん / 2007.02.06 20:41
ぴょん先生へ

子宮筋腫は、持ったままでもいいものがかなりの割合であります。
一方、治療が必要なものは、一般的には以下のような場合です。
1 過多月経による貧血
2 不妊の原因になっている
3 増大する勢いが早い

全摘後は、症状がないケースがほとんどというのは本当のようです。
ご存知と思いますが、卵巣を温存すれば、ホルモン分泌も変化しないからです。
子宮の働きは、赤ちゃんを宿すこと一点ですので、
赤ちゃんを作らなければ、ただの「肉の塊」です。

ただ、メンタル面(子宮がないとなんだか寂しい、とか)と
開腹手術そのものによる侵襲の2点については、考える余地があると思います。

また、全摘以外の方法として、超音波破砕、子宮動脈塞栓があります。
筋腫の大きさや個数によって、適応が限られること、
施行している施設が少数であること、
保険適応がないこと、痛みのコントロールと、いくつか問題はあります。
ホルモン療法もありますが、根治にはならないこと、
更年期のような副作用が出現するケースがあること
年齢的に若過ぎる(……と思ってます(笑))ことから、ホルモン療法は
ぴょん先生には向かないかと思います。
written by なな / 2007.02.07 06:56
ありがとうございます。
1・・・なのです。
鉄剤を飲んで・・・の繰り返しです。
仕事に差し支えもあったりします。
生活にもです。
ホルモン療法は・・・若くないのですが抵抗があります。
で、全摘を考えているのですが、子宮だけの摘出でも
めまいや更年期症状などが起こる事もあると聞いて・・・
子供は3人産んだので子宮には未練はないのです。
”女って生涯たいへんなのよ・・・”って言うことを
全国の皆様、少しでも知ってほしいなぁと、思い切って
書いてみました。
男性の方、周囲の女性をいたわって下さいね~
毎月忙しいのです。
written by ぴょん / 2007.02.07 19:51
ぬぉぉーっ。かなり乗り遅れてしまいました。なな先生。この話題は小児科・産科医共に考えねばいけない問題ですね。

母体(父親も)喫煙はSIDSリスクや喘息発症リスク、異物誤飲リスクなどリスク以外ありません。ベネフィットは何かあるんでしょうか?

静岡県立こども病院の加治先生は「禁煙外来」をしています。やはり親が吸っているとこどもは高率に吸ってしまうらしく、小中学生で吸いはじめると、本人の意思に関わらず、重度のニコチン中毒になってしまい、禁煙できなくなるそうです。

前に診ていたハーフの10歳の男の子は喘息でした。よくよく話を聞くとタバコをすっていました。母親も吸っていました。

禁煙するように言ってからうちに来なくなり、噂でひどい喘息発作を起こし入院し、呼吸状態が不良で...という話を聞きました。

その後どうなったか知りませんが、母親がすっていなければこの子も平和な生活を送れたろうに、とよく思います。

1ヶ月健診では「喫煙歴あり」の母親を脅迫ばりに追い詰めています。大体の母親はそれでやめてくれます。SIDSのリスクが高いことはかなりショックなようです。

一方的な話になってしまいましたが、なな先生も是非不幸なこどもを作らない為に禁煙活動に御協力ください。またおじゃまします。
written by いっちゃん / 2007.02.09 17:15
いっちゃん先生、熱いコメントをありがとうございます。
妊婦さんと煙草に関して、先生のようにお考えの小児科の先生がいらっしゃることを、非常に心強く思います。

改めて言うまでもありませんが、妊婦さんが煙草を吸うことのベネフィットは、
皆無です。

臨床的に頻度が高く、問題も大きいのは、SIDS、IUGRと思います。
IUGRで産まれて、挿管され顔にテープがベタベタ貼られて、
ルートやSaO2モニターなど何本もコードがついていて、クベースに入っている
頭だけ大きくて、躯幹が痩せた赤ちゃんの写真が、手元にあります。
私はこれを「脅迫」の道具に使っています。

>なな先生も是非不幸なこどもを作らない為に禁煙活動に御協力ください。

やりますよやりますよ〜
赤ちゃんが不幸だと、家族ごと、ひいては親戚ごと皆が不幸になってしまいます。
縁あって、自分のもとに来てくれた妊婦さんとご家族が不幸になるのは、
どうしても許せないのです。

「煙草を止めたくても止められない妊婦さん」は、
実は、煙草社会の被害者だと思っています。
まずはこの層の人たちから、助けないといけません。

今後とも、是非よろしくお願い致します。



written by なな / 2007.02.11 14:44

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