三笠フーズ(大阪市)が工業用の米を食用と偽って販売していた問題で、有機リン系の農薬成分メタミドホスが検出された中国産もち米が、宮崎、熊本、鹿児島の3県の菓子メーカーに納入され、菓子に加工・販売された可能性が高いことが農林水産省の調査でわかった。同省は使用方法の特定を急いでいる。
農水省の調べでは、三笠フーズが政府から購入して出荷したメタミドホス検出米は425トンにのぼる。このうち、130トンは出荷先の倉庫に保管されていた。加工原料用のもち米は、せんべいやおかきなど米菓や和菓子として使用されるのが一般的で、農水省は残る295トンの行方を、取引伝票をたどって追跡した。
その結果、九州内の仲介業者や米穀店など6社を経たルートが判明。最終的に、宮崎県36社、熊本県4社、鹿児島県3社の米穀卸業者や米菓・和菓子のメーカーに納入されていた。農水省は、この計43社での使用状況の確認を進めている。
メタミドホス検出米は、このほか、関西方面や静岡、千葉、茨城など関東の一部の米穀卸会社でも取引が確認された。しかし、このルートでは、最終商品を製造する菓子メーカーにはまだ、たどり着けていない。
一方、カビ毒のアフラトキシンB1が検出された「うるち米」については、三笠フーズが政府から購入した約9.5トンのうち出荷した計3.8トンの追跡をほぼ終えた。ベトナム産の3.4トンは鹿児島県の焼酎メーカー3社に、アメリカ産の390キロは福岡県の肥料会社に出荷されていた。
三笠フーズは、このほか、殺虫剤成分のアセタミプリドが検出されたベトナム産のうるち米計598トンを商社から仕入れている。追跡調査では、少なくとも焼酎メーカー6社が使用していたことが判明している。しかし、調査は進んでおらず、今のところ出荷した量も不明。全容解明には時間がかかるとみられる。(歌野清一郎)