日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
1 妊婦さんが救急車で来た
朝、病院の近くまで来たところで、携帯が鳴りました。
ディスプレイには出たのは、病棟の直通電話の番号です。
出ると、師長さんからですが、電波が悪くてよく聞こえません。
「ななせ・・・・、にんぷ・・・・が、救急車で・・・・・・先生今どこ・・・」
どうやら 「妊婦さんが救急車で来ている、先生は今どこにいますか、早く来て下さい」
と言っているようでした。
どんな状態で救急車で来たのかわかりませんが、
とにかく急がなくちゃ!と思い、病院まで全力疾走しました。
病棟まで駆け上がると、スタッフたちはいつものように穏やかに笑っています。
「あれっ、妊婦さんが救急車で来たんじゃ・・・?」
聞いたら、臨月の妊婦さんの破水でした。
破水は、本人は驚きますが、危険なものではないので
あわてず入院の支度をして、来てもらえばいいものなのです。
でも、びっくりして救急車で来てしまったとのこと。
医者のサインがないと、救急隊の人が帰れないので、早く来てほしい、という電話だったようです。
拍子抜けしながらもほっとしてサインを済ませ、気を取り直して
「じゃ、破水の人を診察しましょう」 と言うと
「今、朝ごはん食べているから待って下さいって言ってます」 。
救急車で来て、朝ごはん・・・?
2 妊娠初期の破水?
当直中の真夜中、電話が鳴りました。
救急隊からです。 瞬時に目が覚めます。
「妊娠初期の妊婦さんの、破水です。受けて頂けますか」
妊娠初期の破水は非常に危険で、かなりの確率で流産につながります。
緊張しながら、いくつか質問をしました。
何週ですか、と聞いたら、わからないというので、
最終月経は、と聞くと、ついひと月半くらい前です。
この辺で不審に思い、本人に代わってもらいました。
「妊娠してから、どこか病院にかかりましたか」
「・・・いえ、まだです」
「妊娠検査薬で、自分で調べましたか」
「・・・いえ」
「今、お水のようなおりものが下りてますか?」
「はい」
「今、もう一度おりものの色を見てみて下さい」
(しばらく間があって)
「・・・すみません、お水じゃありません、血です・・・」
・・・遅れてきた、月経です、はい。
3 腹痛
これも救急隊からの連絡でした。
妊婦さんで、強い腹痛を訴えている、というのです。
無条件で受けました。
数分後、救急車が到着。
お腹を痛がる妊婦さんに、ご主人がつきそっていますが、どうも様子が変です。
非常に心配して、いてもたってもいられない、という感じはなく、
何だか悪いことでもしたように、下を向いています。
まずは診察すると、出血もなく、赤ちゃんは無事でした。
ほっとして、
「よかった。赤ちゃんは無事ですよ」 と言うと、
妊婦さん、「え~~、どうして~・・・?」 と、半べそ。
いったい何事? と思って話を聞くと、
お金がないので赤ちゃんを堕ろしたいのだけれど、
中絶手術を受けるお金もないので、ご主人が奥様のお腹を
バットで何回もたたいたとか。
お腹が痛くなってきて、あわてて救急車を呼んだのだそうです・・・
固定リンク | コメント (16) | トラックバック (1)
コメント
コメント一覧
読んでて心が痛くなりました・・・。
特に、最後のお話・・・。
信じられないけど、本当にある事なのですね。
事情があるのだろうけど、でも人として許せません。
生意気ですが、自分たちのしたことに責任を持って欲しい、
人の善意を大切に受け止めて欲しい(←うまく言葉で表現出来ずすみません)、そしてもっと自分を大切にして欲しい、そう思いました。
なな先生が赤ちゃんが無事とわかってどれだけほっとしたことか。
その気持ちを考えて欲しい・・・。
私も、交通事故で2回も救急車に乗ったことがあるので、あまり大きな声では言えませんが。
でも交通事故の場合は、見かけは大したことがなさそうでも、実は重大なことが起こっているかもしれないので、許してもらえますよね。
北海道は本格的に寒くなってきたようですね。
日本は決して豊かな国じゃないんだ、ということを思い知るエピソードでした。
でも、ナーバスなほど流産を心配する妊婦さんに、
「それでも赤ちゃんは無事だったんですよ」という説明に
使えるかも知れませんね。
ちなみにこの方、その後診察した外科の先生に
こってりお説教されていました。
交通事故で2回も怪我されたんですか。
病院に着くまでは、ご不安だったでしょう。
今日も、今にも破裂しそうな子宮外妊娠の人を搬送しようとしたのですが、
まず、救急隊に電話してもなかなかつながらない、というところから始まりました。
この年で常勤を命ぜられ・・・人生第2ステージを踏んでおります。
救急車の乱用は以前から言われていますよね。
初産の妊婦さんは本当に不安でいっぱい・・・
わかるなぁ。・・・オリエンテーション大事ですね。
三番目の話は・・・う~ん。自分中心なのですね。
生まれて来る赤ちゃん・・・元気に出て来ても大変そうです。命を二つ叩いている事、わかっているのでしょうか。
ちゃんと、避妊教育も必要ですね。
いやぁ・・・なんとも言えない世の中ですね。
いっぱいで、お疲れ様です。。。
実は知り合いが妊娠中の破水で救急車に乗って
総合病院に受けてもらったことがあります。
彼女の場合、助産院で当初出産希望でしたが
助産師が彼女の破水を見落とし、入浴させてしまった
ために緑便が下りたとのこと。おなかの胎児の細菌感染の
疑いもあるため、
「救急車に乗って転院してほしい」
と助産師に指示されたそうです。その総合病院との連携
がないため、紹介状など書けなかったそうです。救急扱いなら受け入れてもらえるから…と判断したみたいです。
そう考えると、やはり出産は何が起こるか判らない…と
思いました。。。。
ちなみに本人は「素」で救急車はイヤだ!と言ってましたが。。。
『でも、ナーバスなほど流産を心配する妊婦さんに、
「それでも赤ちゃんは無事だったんですよ」という説明に
使えるかも知れませんね。』
ポジティブシンキングですね、素敵です!
確かに、お金の問題ってあまりにも現実的な問題で、
辛い決断をしなきゃならないこともありますよね。
あと、ごめんなさい。関係ない話なのですが・・・
先生、実は私、実家は北海道なのですが、今は東京で暮らしています。
誤解されてしまうような書き方をしてしまいまして、すみません・・・。
でも、なな先生に私が北海道産(道産子)だと覚えてて頂けて、
とーっても嬉しいです!
ちなみに地元の今日の最高気温は0℃だったそうです。
日々プチ事件の連続で大変ですね^^;
初めての妊娠出産はどんな些細なことも心配で
医学書とにらめっこしてた日々を思い出します。
私がお世話になった産院は執拗なくらい
「産気づいても救急車で来ないように」
と妊婦に言いきかせていました。
二人目の出産では3週間早く破水してしまい、
いつも土壇場にならないと準備にとりかからない私は
入院セットなどあるわけもなく、
だらだらと流れている最中に支度をして
1時間ほど主人の帰りを待ち、病院に向かいました。
で、次の日帝王切開で無事産まれました。
でも先生、満月の夜に破水しやすいって話。
あれ、本当ですか?
ちなみに私はそうでした(゚.゚)
救急車って、搬送患者の流血や嘔吐があると、洗浄して消毒して乾燥するまで同じ車両で再出動できない規定になっているそうです(間違っても車内感染を起こさないため)。
バカな酔っぱらいのために、心筋梗塞の患者や脳梗塞の患者の搬送時間が長くなって命を危険にさらしているのかと思うと、本当に腹が立ちます。
酒はやっぱり美味しく楽しく飲まないと。味が分からなくなるほどまで飲んで、救急車で運ばれるようなバカは、きっと死ななきゃ治らないのでしょうね。あっと、産婦人科には直接関係ない話ですみません。
もう新天地にご着任されたのでしょうか。
勤務環境は如何ですか?
>命を二つ叩いている事、わかっているのでしょうか。
あのご夫婦の近くに、こんな風に言ってあげられる人がいたら
あんな無茶はしなかったかも知れませんね。
いるんですよね、こういう助産師さん。
気持はわかりますが、やっぱり医療者が救急車乱用の片棒を担いではいけないと思います。
送るところまでやればいい、あと知らない、では、あまりにお粗末です。
こうやって送られてくると、受け入れ側にもその意図は伝わります。
でも、
>ちなみに本人は「素」で救急車はイヤだ!と言ってましたが。。。
このくらいの意識のある方だと、行った先の病院でも良識ある方だということがわかるでしょうから、
ご本人は温かく迎えられたことでしょう。
実は私、北海道ファンなんです。
何回も行ったし、
学生の時には全周しちゃいました(笑)
破水すると、慌てますよね。
救急車呼びたくなるくらい。
「こんなに羊水が出て、赤ちゃんは大丈夫なの?」
当然の気持ちと思います。
「大丈夫!」と、マザークラスでの、更なる啓蒙が必要です。
実際は満月で破水する人が多かったり、お産が多かったりはしないのですが、
現代の科学では説明できない「波」はあるようです。
「いつお産になりますか」。
よく外来で聞かれます。
これが解明できたら、ものすごい発見になりますが、
いつ生まれるかわからない、という現状にも、
何か意味があるのかも知れません。
おかげさまで手荒れがちょっとましになりました。
急性アル中の救急車は、ほんと、いけません。
「死んじゃうかも」という不安は、わからないではないですが。
学生実習で、夜間消防署に一泊した時、
その日は偶然なのか、出動が3件あって、3件ともアル中でびっくりしました。
産婦人科医になってから思うに、
「これは救急車で来てもらってよかった」という症例は
正直なところ、1〜2割という印象です。
その一方で、さっきも通勤帰りの渋滞で、救急車の行く手が阻まれていました。
救急車が交差点を横切ろうとしても、どの車も止まらずに
早く行ってしまおうとするんですね。
信号待ちの先頭にいた私の車、さすがにこれにはムッとして
青に変わった途端、少し動いて道路に垂直に停車しちゃいました(笑)
>酒はやっぱり美味しく楽しく飲まないと。
個人的に、激しく同意します(爆)
少なくとも、重症患者ではない人。
常連とかは、絶対にお金取るべきですよね。
その軽い患者を受けた事によって、より重症の患者を助けられない、って事もあるんですから。
そうそう、常連さん、いるんですよね。
うちの病院にも、生理痛とソセゴン中毒の常連さんがいます。
コメントを書く