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3 訴訟のリスクが高い
今年に入って、私の知っているだけで、
別々の医療事故に際した産婦人科医局員が2人、警察で事情聴取を受けています。
その前の年まで、取調べを受けたという話は聞いたことがありません。
2人とも、まだまだこれからの若手です。
逮捕もされていなければ、起訴もされていません。
でも、2人とも第一線から退いてしまいました。
民事訴訟に関しては、お互い話題にするわけではないので、 知らないことがほとんどです。
ですので、訴訟を抱えていることを知っているのは、ごく親しい人同士に限られているはずですが、それでも何人もいます。
膨大な量の書類を扱うのも、仕事を休んで裁判所に出向くのも耐えられるとしても、
法廷で、大切にしていたはずの患者さんと敵となって対峙する辛さは、
筆舌に尽くし難いものと思います。
親友の産婦人科医、郁子(仮名)が、医療裁判の被告になっています。
彼女は研修医の頃、閉所恐怖症のためにMRIの機械に入れない妊婦さんを抱いて、
自ら一緒にMRIの機械に入ったような医者です。
聡明で健康な心を持った郁子は、それでも産婦人科医を続けたいと言っていたのですが、
ご家族の大反対にあい、第一線から退いてしまいました。
激務でも働く医者はいっぱいいます。
給料が安くても働く医者はいるでしょう。
でも、一生懸命やっても結果が悪かったら、賠償責任を問われるばかりか、犯罪者にされるのだとしたら
働く医者はいなくなっても当然なのではないでしょうか。
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コメント
コメント一覧
どんなに多くの人の命を救っても、
たった一人不幸な症例に出会ってしまえば、
それで終わり。
家族に叩かれ、マスコミに叩かれ、司法に叩かれ。
正当論を述べたとしても、
「人が死んでるのに、反省してないのか」
と感情論に持ち込まれてしまえば、
われわれは何も言えない。
正しい医療を提供しても、人は死ぬ。
この大原則が一般の人々に理解されないかぎり、
医者たちのロシアンルーレットは永遠に続くのでしょう。
医者がいなくなるまで。
mao先生、通りすがりさん、前々コメントに対してレスありがとうございました。
非難されるのを承知で書き込みしてしまいました。
ご助言どおり、家事の合間に多方面のブログを拝見させていただきました。
私は周囲が呆れるほど単純で、今回のようにマスコミが撒き散らす情報を鵜呑みにしてしまう格好の的であることを自覚しております。
もっと思慮深く、根底にあるものを見極める人にならねばと日々反省しています。反省ばかりで進歩がありませんが・・
ご指摘のように事実の一部だけを過剰に放送してしまう傾向にあるようですね。
ご遺族も悲しみの矛先を担当医や病院に向けられたのかなと。
ただ、やはり気になるのはご主人のひとこと
「命ってそんなに粗末なものなんですかね」
ご主人から見て、病院側が必死な対応であるならこんな言葉が出るのかしらと。
これもマスコミのやらせなんですかね・・・
なな先生、こんばんは。
私も
このブログに出会い、先生の大ファンになった一人です。
産むことはもうありませんが、小学生の娘が十数年後に孫を産んでくれるまで現役でいてくださいね。
直接お会いすることはないのでしょうが・・
将来の夢がめまぐるしく変わる今日この頃
「医者になりたい」と口にする日もあるので
産婦人科医を薦めてみようかな。
産婦人科ではありませんが、地方中核都市で僻地医療、救急医療をやっております。
私たちは本当に燃えつきそうです。10年以上がんばってきたんですが、特にここ1年ほどで急速に医療環境が荒廃しています。
優秀な指導医は過重労働で何人も、それこそ何十人も第一線からリタイアしました。地方の市長や公立病院の事務は「医者はいれば仕事するだろう」と、ろくな労働環境を提供していません。
知り合いの医師は、「ここに勤める限りこの町から出るな。30分以内で来れるところだけにいろ」と言われたそうです。毎日夜8時過ぎまで外来をし、急患も一人で受け持ち、結局は燃え尽きて2年で開業しました。後任はいません。
医師を使い捨てにして、労働基準法を完全に無視して、それでも優良な医療を、100%の安全を(医療に100%の安全はありません)、と国民の皆さんが言われるなら、我々はやはり静かに舞台を下りるしか無いのです。
今後ともよろしくお願いいたします。
今、現場は翼の折れた天使達が必死に戦っている・・・のでしょうか。
前回、医者という仕事を勧められない・・・と、
書いてしまい、恥ずかしく感じました。
患者さんを助けたい一心で身を粉にしてがんばっている
ドクターがいるのに。
日本全体責任転嫁の時代ですね。
なんでも教師のせい、なんでも友達のせい。
なんでも夫のせい、なんでもかんでも自分は被害者・・・・
自分の人生、自分で責任持ちたいものです。
日本人は弱くなったのでしょうか。
分娩は命がけですが、お母さんもがんばって
あかちゃんもがんばって、周りのスタッフもがんばって
その時間 全員で一つのチームになれた様な・・・
そんな空間でした。
皆さんの話を聞いていると僕はまだ恵まれていたのかもしれません。
何度か訴訟になりそうになりましたが、上司や周りの先生達のfollowでなんとか無事に現在に至ってます。
今、医局の人事で北の方の県での一人医長の話が来ています。まー半分強制ですので、行かざる得ないんですけど・・・僕が断ると後輩が行かされますし(^^;;
仕事がきつくなるのは分かっているし、不安が大きいですけど、少し楽しみにしているのは、病気なんでしょうか・・・・
明治維新のような、太平洋戦争敗戦のような、
革命的な出来事がないと、もうどうしようもないかも知れません。
このままだと、患者さん、医療者、行政、司法、警察官。
全ての立場の人に、犠牲者が出てしまうでしょう。
心の篭ったコメントを、ありがとうございます。
ご家族の「命ってそんなに粗末なものなんですかね」という言葉は、
私の心にも波紋を残したままです。
いろんな背景の人が集まって、それぞれの視点から情報や意見を交換してこそ、ネットの価値があるのだと思います。
mizuhoさんは、私は経験していない、
妊娠、出産、産褥、そして子育てという素晴らしい経験を持っていらっしゃいます。
今回は、mizuhoさんにしか言えない素直な意見をもらいました。
そこに更なる情報と意見が集まり、ちょっとした議論になりましたね。
ブロガーとして、こんなに嬉しいことはありません。
先生も、大変な思いをされているのですね・・・
言葉もありません。
ここ1年の急速な崩壊ぶりは、私も肌で感じるところです。
この項に書いた、本年に入って突然警察が関与してきたことも、
急速な崩壊に拍車をかけていると思います。
良心的に解釈して、警察は「市民を守る」と思ってやっているのかも知れませんが、
警察の介入が招いたことは、萎縮医療のみです。
本当に必要なのは、ペナルティーではなく、
再発予防対策のはずなのに。
大丈夫なのですか?
ただ、心配です。
ご家族も、ご心配されているのでは?
とは言え、現実は一筋縄では行かないでしょうから、
せめてお金のことだけでも何とかならないのでしょうか。
奈良の産婦人科医5人の要望書提出みたいな方法は可能ですか?
>日本全体責任転嫁の時代ですね。
短い中に深い意味が凝縮された一文ですね。
そういえば一時期「自己責任」という言葉が流行りました。
責任の所在の追及ばかりしていると、
何か大切なものを見逃すような気がします。
小児科の、一人医長ですか・・・?
>仕事がきつくなるのは分かっているし、不安が大きいですけど、少し楽しみにしているのは、病気なんでしょうか・・・・
実はその気持ち、わからないではないですが・・・
・つらくなったら、人間辞める前に、小児科医辞めましょう。
・この病気、末期症状も自覚しにくいので、誰か止めてくれる人を確保してから行った方がいいですよ。
・でもでも、生きていることの証って、医者であることですよね。
いろいろ、お伝えしたいことはありますが。
くれぐれもご自愛下さい。
悲しみと悔しさが募る思いです。
明るくてやさしい、郁子を返して!
本当は、そう叫び出したいのです。
若い頃は、激務でボロボロでもお産の面白さに魅せられて
自分の知識が増えたり、技術が向上するのが嬉しくて、
スキルがアップするのにお給料がもらえて嬉しい、
くらいの気持ちでした。
でも、責任をもって妊婦さんを診るようになると、
はちきれんばかりの笑顔の妊婦さんに対して
致死的な奇形や胎児死亡を告げなければならなかったり、
分娩後全力を尽くしても出血が止まらず、子宮摘出となり
ICUにかけつけた妊婦さんのお父さんに胸ぐらをつかまれ
「てめえ、自分の子宮を取ってここで土下座しろ!」
と罵倒されたりと、精神的な辛さを経験するように
なりました。
医学的な知識つければつけるほど、分娩の医学を超えた
怖さが身に染みますね。訴訟になっていないのは「運」が
良かっただけなんだと知ってしまうから。
命を預かるプレッシャーはやってる人間にしかわからない
んでしょうか・・・。
私もいつまでこの生活が続けられるかわかりません。
14年目ですけど、来月は5泊6日の当直の旅があります。
ななさんのブログは本当に第一線で働いていることが
よくわかります。私たちの仕事の価値が評価される日が
くるように、素敵な話を楽しみにしています。
>mizuhoさん
前回勢いでコメントしてしまったので、余計なお世話だったかと気になっていました。
真摯に受け止めてくださってありがとうございました。
ご主人の「命ってそんなに粗末なものなんですかね」という言葉がやらせかどうかは、当事者ではないので、残念ながらわかりません。
個人的には、主治医は必死に患者さんと赤ちゃんを助けようとしていたと思いますし、どんな治療や処置をするのが一番いいのか、最良の道を模索していたと思います。
ただ、この言葉が本当にご主人の本音だとしたら、主治医や病院側のフォローがなかったとか、説明が不足していたとか、信頼関係が薄かったとか(なかったとか)、そう言わせてしまうような態度・対応があったのではないかと想像します。
必死に対応することと、必死に対応したけれどもダメだったと患者さん側に納得していただくことは別ですから。
(医師や病院は説明が下手という根本的な問題もあります。不用意な発言も多い。反省)
行政に働きかけたり、産科や救急体制を整えるといったことに対して、個々の医師や病院ができることは限られています。
今は、自分にできることは何かと考える日々です。難しい問題ですが。
>なな先生
エントリ自体に触れずに個人的なメッセージを書き込んでしまい、申し訳ありません。
(しかも長い)
mizuhoさんが応えてくださって嬉しかったものでつい…。お見逃しください。
ご家族の「命ってそんなに粗末なものなんですかね」という言葉。
「粗末になんか思っていない!」と言いたいですし、治療の甲斐なく患者さんが亡くなったら医療従事者も少なからずショックを受けていると知ってほしいし。
ただ、しょっちゅう患者さんの死に遭遇するため「人が死ぬ」ことに対する感覚が鈍くなっていないかと反省しきりです。
かといって次の患者さんを診るときまで引きずるわけにもいかないし…。
バランスが難しいですね。
激情しようが何だろうがこんな言葉が出る時点で人としての出来は知れてますが、今は暴言に加えて訴訟の時代なのですね…。
ご家族ならまだしも、同じような論法で奈良の医師を責め立てる一般人&マスコミが多数いる潮流に身がすくむ思いです。
働く医者はいなくなっても当然なのではないでしょうか。
今、一番声を大きくして、世間に広めたい言葉です。
それ以外、言葉になりません。
現状を知っているひとが一生懸命訴えても、
それを受け止めてくれるひとがいなければ何も変わりません。
もしよろしければ、私のブログ(http://natu-history.jugem.jp/)でなな先生のブログを紹介させて
いただけませんか?
稚拙な育児ブログですので恥ずかしい限りですが、
読者の多くが妊娠・出産を経験してきている方たちなので、
きっと、何か受け止めてくれるのではないか、
そうでなくても何か、考えるきっかけになるのではないかと
思っています。
是非、ご検討ください。
小児科医です。先生のところへは僕のブログの常連さんのブログを通じてやってきました。過去のブログも見させてもらいました・・・。
産婦人科医の苦悩も良くわかります。僕も新生児をやっていたころはお互い結構、たいへんでしたから・・・。今は産科のない病院小児科医ですのでその辺は落ち着いていますが・・・。一生懸命、人を助ける仕事のリスクが助けられなかったときの訴訟というのは本当に悲しいですよね。でも、それに負けずに前向きに行くつもりでいます。僕のブログにも遊びに来てくださいね。
ショッキングな内容に、ただ驚くばかりです。
どんなに怒っても動転しても、絶対に言ってはならない言葉というものがありますが、
この患者さんのご家族の言葉は、それに当たるでしょう。
そう、いつまでこの生活、続けられるか、わからないですね。
深く同感します。
どうかお身体を大切になさって下さい。
>ただ、しょっちゅう患者さんの死に遭遇するため「人が死ぬ」ことに対する感覚が鈍くなっていないかと反省しきりです。
これは確かに、難しいですよね。
ある程度鈍くならないと、勤まらないのも事実ですし。
自分の年齢が上がっていくと、
自分より若い患者さんが亡くなるケースが少しずつ増えてきて、
これには耐え難い気持ちですが、どうにもなりません。
おっしゃるように、最近の医療事故関連報道に関するマスコミの潮流は、目に余ります。
人間、誇りを失ったら終わりだと思うのです。
他国とちがって、日本では災害時に略奪が起こらないのは
日本が貧者から誇りを奪わなかったからだ、という説を聞いたことがあります。
「お金がある人が勝ち」という明確な価値観のある国では、洪水の時も竜巻の時も、略奪や暴行で収集がつかなくなる、無政府状態になるそうです。
マスコミが好き放題に「ペンによる暴力」を振るっている、
現在の無政府状態も、
彼らが誇りを失ったからではないでしょうか。
自分のブログを広めてもらえて、嬉しくないブロガーはいないと思います(笑)。
紹介して頂けたら光栄です。
少しでも多くの人に、現状が知らされますように。
早速先生のブログを拝読しました。
子育てママへのメッセージに、目からうろこの思いでした。
私のところに来る迷えるママたちにも、是非知らせてあげたい内容です。
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