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< 忘れられない患者さん (2) | メイン | スピード違反で捕まった話 >
2006.09.17 15:02 |   |  なな  | 推薦数 : 8

「医療崩壊」と言うよりは

今日は、毒を吐きます。

 

<序の口>

その日も、外来は混んでいました。

恩師I先生の

「患者さんを待たせること即悪、ではない、

待った甲斐があった、と思わせる医療をやればいいのです」

という言葉を胸に、粛々と診療に当たっていました。

そこへ、出血とお腹の張りのある妊婦さんがきました。

急患ですので、すぐに診察室に呼びました。

妊婦さんに症状を聞いていると、診察室のドアをノックする音が。

こちらの返事を待たず、ドアが開けられ、

初老の女性が入って来ました。

何事かと思っていると、

「私の方が先です。先に診て下さい」。

 

状況を説明して、お待ち頂きましたが、

問診表を見ると、「65歳、癌検診希望」とありました。

急ぐ事情があったのかも知れませんが、

65歳の方のやることでしょうか?

 

<ミドル・レベル>

社会的地位のある某氏の、ご家族がいらっしゃいました。

順番通りにお呼びして、標準的な診療をし、

通常通りの説明をして、診療を終わりました。

約1時間後、まだ外来中でしたが、

受け付けのあたりから、穏やかではない男性の声が聞こえてきます。

聞くと、件の某氏ご本人が、先ほどの患者さんと一緒にお見えになっているとのこと。

他の患者さんをお待たせしていますので、お話は後にしたいところですが、

騒がしいのもなんなので、某氏とご家族をお呼びしました。

憤懣やる方なし、という形相で入って来た某氏は

開口一番、

「あんたは、当たり前の診療しかしなかったそうだな」。

 (・・・は?)

「何故、それなりの扱いをしないんだっっ!」

 (それなりって、それなりって、どういうこと??)

「普通の患者と同じ扱いじゃ、困るんだよ」

 (患者さんは普通ですけど、あなたは異常ですな)

こんな調子でまくしたてるので、呆気にとられていると

「あんたじゃ話にならん。院長を呼べ、院長を」

こうなると、社会的地位のある人でもなければ知識人でもない、

ただのチンピラです。

早々にお引取り頂くのが一番。

心のこもらない謝罪をすると、満足して、帰って行きました。

 

<とどめ>

手術の予定を決めた患者さんから、電話がかかってきました。

手術の予定をずらして欲しい、と言います。

日にちも迫っており、その患者さんの病状に変化があるわけでもありませんので、

予約がいっぱいで変えられない旨お話ししたのですが、

なかなか納得してくれません。

理由は、どうしてもぬけられない仕事が入ってしまったとのこと。

仕事でぬけられない大変さは、よくわかるのですが。

では土日はどうか、その日の予定の手術が終わってからやってもらえないか、などと、無理な主張をしてきますが、

当然そんなわけにはいきません。

そこで、決めの脅し文句のつもりで、

「ご希望の日に手術を入れるとなると、他の患者さんやご家族、

うちの科と麻酔科の医者、ope室の看護師たちの予定も、

全てずらすことになりますよ」

と言ってみたのですが、なんと

「では、それでお願いします」。

 

ちなみにこの方、どうしてもだめとわかると、

大声で泣いて怒って、電話をたたき切りました。

 

 

医療崩壊、と言いますが、

崩壊しているのは医療でしょうか?

 

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 今日も今日とて勉強中ですが、別のこと書きます。  お医者さんのブログなのですが面白いです→<a href="http://blog.m3.com/nana/20060917/">クリック</a... [続きを読む]
posted from kanitoのブログ 2006.09.28 07:42

コメント

コメント一覧

同じ名前なので、みさせていただいてます。
私は栄養士をしています。
お医者さんたいへんですよね。すごい!産婦人科と小児科医
絶滅危惧種ですね。

もちろん看護師さんも医療にかかわっている人間は・・・
一緒にしたら失礼ですが、業務は違えど・・・
う~んと思ってしまう患者さんがいて悩ますものですね。

サービス業みたいな(サービス業といえばそうですが)
サービスばかりで患者さんにこびる訳にはいかないですから
接待業の人もへんてこな人いますから・・・

世の中『自分だけよければいい』とか『金払ってるんだから
』とおかしな人いますよね。
医療従事者にもおおいですが・・・偉いとか勘違いしている人種が・・・
そうならない様にときづかせてくれるという手本というかなんというか・・・そういう存在として私は扱います(笑)
心も病んでしまったんだろうと思うようにしています。

そんないろいろ毎日不思議な人種と触れ合ってご苦労も耐えないでしょうが、日本の女性の味方で居てください!
written by seven / 2006.09.17 22:01
 まいどご苦労様です。たまにいますよね。歩く不条理なみたいな人。新たな気持ちで診療に望めるように、ブログでは、存分に毒を吐いてください。

 序の口パターンは、たいていの医療機関は待合室の張り紙で対処してますね。

「重症で急を要すると思われる患者さんがいらっしゃる場合、診察の順番を変えさせていただくことがあります。どうかご了承ください。疑問がありましたら職員にお尋ねください」

 ミドルレベルは適当にいなして放っておけばいいと思います。精神年齢が小学生レベルから進歩していないようです。ただし、雑な対応は禁物です。このパターンは、ほかの患者さんと同じ扱いと感じた場合は文句をつけるだけですが、不当に扱われたと感じた場合、理性が切れて後先考えずに何をしでかすかわかりません。

 とどめパターンはきっと、忘れられない患者さん2の仮名患者さんと共通する部分があると思います。自分が困難な状況にあるときには、他の人も同じようにタイトなスケジュールで仕事をしていることに気がつかないものですね。しばらく後になって、自分がいかに無理な注文を出していたかにようやく気づくタイプだと想像します。

 このパターンは、自分がいっぱいいっぱいのために周りの状況が見えない人に多いようです。手術の対象疾患にもよりますが、治療がうまくいくとようやく全体の経過を理性的に把握できるようになり、退院するときに「すみませんでした」と謝る人が少なくないようです。
written by hirata / 2006.09.18 00:02
なな先生、こんにちは。お疲れ様です。
こんな理不尽な患者ばかりだと、さすがに“デトックス”
したくなりますねw
私は一般人なのでどちらかというと医療を受ける側の立場
の人間なのですが、なな先生の記事を読んでいて
「ああ、いるいる!こういうひと!!モラルを足元から叩き割って破壊して歩くひと!!」と思いました。
世間でちらほら見かけるくらいなので、きっと分け隔てなく
医療を提供する病院には、物凄い「ツワモノ」が大集合
するのだろう…とお察ししてます。。。。
余計にガックリきちゃうと思いますが、スルーしかないですよね。
written by 来夢 / 2006.09.18 14:45
 学校だって崩壊してます。PTAだって。
お役所だって。
テロを起こす人たちだって自分達しか
見えていません。

目の前のかわいい子供達の明るい未来のために
私達は何ができるのでしょうか。
”相手の身になって考えてみる”・・・死語でしょうか。
written by ぴょん / 2006.09.20 22:13
sevenさん、こんにちは。
「え、同じ名前?」と、一瞬考えちゃいました(笑)。

大部分は、普通の善良な患者さんなんですけれどね。
こういう患者さん、なんだか年々増えているような気がします。
でも、増えているのは、きっと病院でだけじゃないでしょうから
日本全体が病み「崩壊」しようとしているのかも知れません。
written by なな / 2006.09.22 05:11
hirataさん、「なるほど」な分析をありがとうございます。

ご存知のように、昨今医療訴訟が乱発しています。
正当な権利として訴訟を起こしている人もいるのでしょうが、
「クレーマー?」と思いたくなるようなものも結構あります。
そんな原告・裁判に消耗させられる理不尽を思うと、
やっぱり立ち去り型サボタージュしかないのかな、と思ってしまいます。

ところで、「職業は会社員」とおっしゃってますが、ホントかしら……(笑)
written by なな / 2006.09.22 05:18
いやー、あるあると思って読んでしまうところがかなしい(笑)。「患者は医者を選べない」って昔いってましたけど、あれは逆ですね。「医者は患者を選べない」

僕はななさんと違って「無鉄砲の短気症」なので、両親と喧嘩する事はしょっちゅうです(意外にも子どもとけんかになる事は少ない。みんな意外に聞いてくれるんですよね)。ということは...大人の方が子どもなのかもしれませんね(^_^;)
written by いっちゃん / 2006.09.22 12:48
来夢さん、「デトックス」って、傑作ですね(笑)
愚痴ることに一抹の罪悪感を感じていましたが、
おかげで和らいだ気がします。
今回のような記事は書いたものの、大部分は普通の患者さんですし、
たまにこういうモラル・ハザーダーがいると、
そばにいる看護師さんが一緒にあきれてくれたりするので、
寂しい思いはしないで済んでいます(笑)
written by なな / 2006.09.23 01:52
ぴょん先生、短いコメントの中に、崩壊を阻止するkey wordがあるように思いました。

>”相手の身になって考えてみる”

単純なことのはずですが、世界中の人が、この能力にもう一歩づつ長けたとしたら
全然ちがう世の中になっているのではないかと思うのです。
written by なな / 2006.09.23 01:55
いっちゃん先生、「大人の方が子供」に、思わず笑ってしまいました。
小児科の先生らしい、味のあるコメントですね。
ちなみに私、「子供が子供を産む時代」と思っています(笑)
written by なな / 2006.09.23 01:56

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