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汚染米、全国から高値で買いあさり…三笠フーズ4年半で計53回、政府売却総量の4分の1を購入米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が、汚染された「事故米」を食用と偽り転売していた問題で、同社が、2004年2月〜今年8月までの4年半で、北海道から沖縄まで全国25か所の農政事務所などから、計53回にわたり事故米約1779トンを買いあさっていたことがわかった。政府の売却総量約7400トンのほぼ4分の1にのぼり、平均購入単価は通常の2倍近い高値だった。農林水産省は、最初から食用に転売して利ざやを稼ぐ目的だったとみている。 同省によると、関税・貿易一般協定(ガット)のウルグアイ・ラウンド合意に基づく「ミニマム・アクセス(MA)米」や備蓄用の国産米は、全国の各農政事務所が保管。このうちカビが生えるなどの事故米が出ると、各農政事務所が掲示板に張り出すなどして公示し、購入者を募る。購入できるのは、〈1〉事故米を原料とする商品を製造、加工している〈2〉自己資本300万円以上――などの要件を満たす業者に限られている。 過去に事故米を購入した17業者のうち、同社の購入量は最多。53回のうち、予定価格が50万円に満たないため、随意契約だったのは49回にのぼる。 売却量が少ない場合は買い手が付きにくいとされるが、▽岡山で60キロを260円で購入▽宮崎で210キロを800円で購入――など、「交通費や運送費を考えると採算を度外視した」(他の購入業者)取引もあった。 業界関係者によると、購入金額は通常1キロあたり6円前後とされるが、同社は平均約11円と、倍近い値段で購入。焼酎や米菓などの原料として売買される食用のコメは通常、1キロあたり80円前後とされ、農水省は同社が不正転売で多額の利ざやを得たとみている。 食用転売 業界でうわさに「事故米がある所なら全国どこにでも顔を出す」「なぜ普通の米卸業者がわざわざ買い占めるのか」。業界では突出ぶりを不審がる声が以前から上がっていたという。 他の16業者は、自社で工業用のりや飼料などを製造する業者がほとんどで、食用米を扱う三笠フーズは異色の存在。このため、「何年も前から食用転売がうわさされていた」と、中部地方のある業者は証言する。 事故米は販売時期や量が予想できないため、各業者は「まとまった量が売り出されれば、たまに買う程度。運送費がかかるので遠方であれば買いにくい」と口をそろえる。 少量の時は、買い手がつかず、各農政事務所の職員が「買ってほしい」と業者に電話をかけることも。そんな時、三笠フーズは「関東でも九州でも取りに来てくれる、ありがたい存在。各事務所とも事故米が出ると必ず声をかけていたようだ」と、農水省担当者は明かす。 事故米を扱うある業者は「うわさになっているのに、農水省が不正に気付かなかったというのは不自然」と首をかしげ、こう推測する。「三笠フーズと持ちつ持たれつの関係だったのでは」 (2008年9月9日 読売新聞)
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