ほとんどの産科医院「移転中止を」
ほとんどの産科医院「移転中止を」 09/09 19:22

福岡市が人工島への移転計画を進めている、こども病院のニュースです。

福岡市内でお産を取り扱うほぼすべての開業医が、福岡市と市議会に対し、人工島への移転を考え直すよう求める提言書を提出しました。

福岡市内68の開業医の代表者はきょう午前、福岡市議会のすべての議員と福岡市長に宛てて、こども病院の人工島への移転を止めるよう求める連名の緊急提言を手渡しました。

緊急提言を提出したのは、産科や婦人科、小児科など福岡市内の開業医合わせて68人です。

福岡市内には、お産を取り扱う開業医院が21施設ありますが、東区の2つの医院を除く19の医院の院長が、人工島の移転に反対し名前を連ねました。

緊急提言はまず、「すべてのお産は、婦人科の慢性疾患と違ってハイリスクで救急医療。胎盤早期剥離では死産や母親の死亡もまれではない」と指摘しました。

その上で、「障害を残さずに母子の命を助けるには、問題が起きてから30分以内が勝負」と訴え、「利便性が悪い人工島にこども病院が移転することは危険極まりない」と主張しています。

また福岡市は、人工島に移転した場合の収支を年間17億円の赤字と予測していますが、医師たちは、アクセスしにくい人工島では患者数の増加は見込めないとして、赤字額を年間40億円以上と試算しています。

きょう提言した産科医院の院長は、お産で不測の事態が起きた時にこども病院に患者を送り込んでいる立場の医師たちで、移転問題は白紙に戻し、現場で働く専門医を交えもっと議論すべきだと主張しています。

一方、提言に先立ち、きょう会見した吉田市長は、「専門医の意見は十分に聞いてきた」と述べ計画通り移転を進める考えを示しました。

この発言に対し、産科の院長の代表は強く反発しました。

福岡市は、人工島の移転用地を47億円で購入する議案を、今月12日から始まる市議会に提出しますが、最大会派の自民党が賛同する意向を示し、可決される可能性が高くなっています。

患者の家族たちも人工島移転に反対して、現在、移転の是非を問う住民投票の実施を求め署名活動を展開中で、きょうは各会派を回って理解を求めました。

住民投票を実現するには、有権者の50分の1、およそ2万3,000人の署名・捺印を、9月28日までに集める必要があります。

親たちは「何としても法定数を集めたい」としていて、集まった場合には住民投票条例案を可決するよう、63人のすべての議員に求めました。