佐賀、小城、多久の3市を管轄する佐賀広域消防局の07年の出動件数が、過去最高となる1万902件を記録した。前年より約600件増。同消防局は「高齢化社会を迎えていることと、応急処置の知識不足が背景にあるのでは」とみている。【高芝菜穂子】
佐賀広域消防局は00年に4消防局が合併して発足。以来、出動件数、搬送人員ともに増加傾向にある。
搬送人員を年齢別でみると、特に65歳以上高齢者の伸びが目立っている。00年からの8年間で2822人から4879人となり、割合でみると1・7倍。また、05年にはそれまでトップだった成人(18~64歳)を抜いた。
一方、搬送したケースを程度別にみると、中等症(入院日数1~20日以下)と軽傷(同0日)が約4割ずつを占めている。
だが、出動要請が増加する一方、救急車を使う必要がないのに救急車を呼ぶケースも目立っている。例えば、「夜間開いている病院がわからない」「予約していた病院に間に合わない」など“タクシー代わり”に救急車を呼ぶ例も後を絶たず、極端な例では、夫婦げんかの仲裁を頼まれることもあるという。
こうした事態に、消防局は「不必要な出動で本当に行かなければならない現場への到着が遅れ、傷病者が死亡するという深刻な事態が起きるのは時間の問題」と頭を抱えている。
消防局は対策として、けが人の応急処置の講習会を開いたり、夜間の病院情報は救急医療情報センター(0952・31・8899)に尋ねるよう市民に呼びかけるなどしている。
毎日新聞 2008年9月9日 地方版