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■高校生部門
◆優秀賞・中央審査委員長賞
◇「湖水浄化作戦」−−福島県立白河実業高3年、高橋祐喜(ひろき)さん
私が通う白河実業農業科の水田は白河市中心部の南湖から水を引いている。近年、その水質悪化が深刻だ。
南湖をきれいにし、白河を米の産地にしたいと決意し、COD値(化学的酸素要求量)を調べた。稲作に適した水は6ppm以下だが、南湖の水は12ppm。魚はほぼ生息できない値だ。
市役所では湖底に炭素繊維を沈めるという。炭素がいいのなら竹炭でもいいのではないか。ドラム缶で炭窯を作り、600度で蒸して竹炭を作った。南湖の150万分の1の縮尺で模型(ビオトープ)を作り実験した。植生や水生生物まで入れ、川の流入・流出量も計算した。その結果、12ppmだった水を6ppm以下にすることができた。
実験は成功したが、これを南湖に当てはめると675万トンの竹炭が必要だ。湖全体を浄化するのは大変だが、排水を浄化するため、用水路に2メートル間隔で12キロの竹炭を10カ所に置きデータを取る計画を進めている。事後対策だけでなく汚染物質流入を防ぐには、家庭排水の流入を防ぎ、企業の排出基準を厳しくする必要がある。文化祭や公共施設でのパネル展示で呼びかけたい。
◆優秀賞
◇「りんごの絆」−−青森県立藤崎園芸高3年、三上亮(あきら)さん
りんご農家に生まれ、幼いころからごく自然にりんご作りをしようと思っていた。わが家の歴史は、青森りんごの歴史でもある。家業を継ぐため、日本で唯一りんご科がある藤崎園芸高校に進学した。青森のりんご農家を救い、いまや日本を代表する品種「ふじ」の名は、育種の地である藤崎からとったといわれる。この原木を町民遺産にするため、原木がある果樹研究所から15本の穂木をもらった。これを接ぎ木すれば原木と同じ遺伝子を持つ「ふじ原木」が出来上がる。祖父、父、私、そして消費者につなげ、故郷を支えていく人材になろうと思う。
◇「日本一の畜産経営者を目指して」−−岩手県立花巻農高3年、畠山満正さん
畜産農家の長男として生まれた。専門的な勉強がしたくて花巻農高に進学。今年度の県技術大会で最優秀賞を受賞した。黒毛和種のふん尿処理に着目し、微生物を利用した堆肥化にも取り組んでいる。私が住んでいる紫波町ではかつて「志和牛」ブランドを確立したが、全国のブランド牛に押され幻となっていた。父が先頭となり、名前をひらがなの「しわ牛」にして安全でおいしい牛肉を復活させた。渡米し日本の飼料配合が優れていることを確信。ライバルである前沢牛の牧場にも学んだ。将来は名実ともに「しわ牛」を日本一の黒毛和種に育てたい。
◇「稲作にかける我が人生」−−秋田県立鷹巣農林高3年、疋田成司(まさし)さん
東京で食べたご飯の味にがくぜんとした。一部の生産現場でも農薬をまいて作ったお米を平然と売っている。日本の食は間違っていると思う。私は体に優しく、おいしい米を作ろうと心に誓った。今の農業にはなく、昔の農業にはあったもの、それは「有機物の循環」だ。調べていくうち、植物を燃やし、その煙から溶液を抽出して防虫剤を作る方法を知った。木酢液という。わが家の水田でこれを使ってみたところ、いままでの農薬の量を3分の1に減らすことができた。高品質で安全なお米を作り、食卓に笑顔を届けることを目指している。
◇「農村文化で村おこしを」−−栃木県立栃木農高3年、宮田悠史(ひさし)さん
農業の一番の課題は後継者問題だ。麻の郷・栃木市も例外ではない。忘れ去られようとしている伝統文化を次代に伝えるため、調査を始めた。まず、有機農法を麻の土作りに応用し完熟堆肥を作った。麻農家に配って実験したところ、茎の太さが10ミリ以上に育ち、倒伏被害が減少、前年度に比べ30%も生産量が伸びた。全国にたった1人しかいない麻炭焼き職人にも話を聞いた。麻炭は花火の原料になる。純度の高い国産は世界から引っ張りだこだが、後継者がいない。縄文時代の繊維「からむし」を河川敷から採取し、縄文織を復活させた。からむしの粉炭から花火を作る実験にも成功した。地域を支えるには地域がはぐくんだ伝統文化を伝えることだ。
◇「我が家の養蜂記〜都市型プチ養蜂の取り組みから」−−大阪府立園芸高3年、吉野恵さん
大阪近郊で江戸時代末から続く植木生産農家にミツバチがやってきた。ミツバチを飼育している高校の先生から話があり、指導を受けながらプチ養蜂を始めた。天敵のスズメバチに襲撃されるなどの困難を乗り越え、おいしいハチミツをとることができた。ここでの取り組みは都市型養蜂の可能性を証明することになるかもしれない。ミツバチが飛び交う植木産地を目指し、これからもミツバチと付き合っていきたい。ミツバチは我が農園のかけがえのない一員だ。
◇「農への挑戦」−−兵庫県立播磨農高3年、前川真司さん
小学校の動物飼育を通して農業への関心を持った。自分でインターネットを検索、山村留学制度を見つけて高知県の中学で学んだ。そこで見たのは日本農業の惨状だった。「この村をどうにかしたい」。農業への思いが一層、強くなった。家族が反対する中、父は賛成してくれた。唯一の理解者だった父は農業高校に入学した直後に病気で亡くなったが、父との約束を胸に日本の農業を担っていきたいという気持ちは変わらない。
◇「実践・農業経営〜私の試行錯誤」−−岡山県立瀬戸南高3年、西川宗佑さん
自分の手で野菜栽培を始めるきっかけは母の友人からの注文だった。「将来は農業を」と考えていた時、母から「農業経営のシミュレーションとしてやってみたら」とアドバイスされ、野菜作りに取り組んだ。小遣いから資金を出して種や苗を買い、利益から肥料代や出荷運賃などの経費をまかなった。試行錯誤の連続だったが、自分が育てた野菜が商品として販売できたことが大きな喜びになった。農業は私にとってなくてはならない生活の一部になっている。
◇「環境保全型農業の実践から芽生えた夢」−−熊本県立鹿本農高3年、竹熊隆蔵さん
化学物質による環境汚染を警告した「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著)を中学時代に読んだ。故郷熊本で起こった水俣病の情景とも重なり合い、「農業を通して環境問題に取り組みたい」と、農業高校への進学を決めた。バイオ研究会に入り、地域農家と連携して無化学肥料・減農薬栽培を可能にする「土着菌ボカシ」を開発。水田環境への影響調査を実施する中で、改めて環境に配慮した農業の必要性を実感した。大学に進んで海外の農業も体験し、故郷で環境保全型の農業に取り組んでみたい。
◇「私の和牛生産」−−宮崎県立高鍋農高3年、一万田さとみさん
親子3代、7人で和牛の繁殖経営と削蹄(さくてい)業務を行う畜産農家。一日も休まず同じ作業を繰り返す両親や祖父母を尊敬している。将来は立派な和牛の牛飼いをめざす。消費者から喜ばれる安全で安心できる肉牛の生産、堆肥を有効利用した循環型農業、そして改良を加えて優秀な牛づくりをするのが夢だ。農村女性を中心とした会に参加し、農業の素晴らしさを知ってもらう活動もしてみたい、農閑期を利用して都市部の住民にグリーン・ツーリズム体験に来てもらいたいと考えている。
【目次】
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