小沢民主党代表の無投票三選が決まり「脱・官僚主導」の政権構想を公表した。総裁選候補が乱立気味の自民との対立軸は鮮明だ。生の言葉で分かりやすく語ることだ。新体制の顔触れも大切になる。
民主党代表選で当選した小沢一郎氏は普段と変わらぬ仏頂面で会見に臨んだ。だが、いつになく雄弁だった。
自公政権は官僚の言うがままの政治、行政を行っている、選挙で選ばれた政治家が自ら判断し政策決定に責任を持つ国民主導の政治に変える−。自民離党以来の議員生活を振り返りながら、次期総選挙を最後の戦いとする決意も語った。
自民党は福田康夫首相の退陣表明を受け、十日告示の総裁選へ多数の候補が出馬表明している。無投票となった民主党内には「埋没」への危機感も漂う。「メディア対策チーム」を設置したことからも、その動揺ぶりが伝わる。
小沢氏には、総裁選の政策論争に先手を打って政権構想をアピールすることで、民主への目を引き寄せる狙いがあったようだ。
主張は明快だ。国民が主役の新しい政治システムの構築へ百人以上の与党議員を副大臣、政務官などとして政府に入れ、政策の立案・作成・決定を主導する。
昨年の参院選公約と同様に農家への戸別所得補償制度の創設や子ども手当支給を盛り込んだ。特殊法人、独立行政法人の原則廃止も打ち出した。自民総裁選の政策論争にも影響を与えよう。
ただ国民を納得させるにはもう一つ具体論がほしい。課題は財源についての丁寧な説明だ。
小沢氏は政府の特別会計などに不要、無駄な予算が多くあり、民主の政権になれば財源はいくらでもあると力説した。党内にも無責任の声が聞こえるようでは有権者も戸惑う。小沢氏は「具体的数字も含め国民にきちんと示したい」と語った。言葉通り、政策を煮詰めて提示してもらいたい。
二十一日予定の新たな党役員人事も注目点だ。新役員は総選挙公約づくり、そして全国の街頭演説での主力要員となる。
剛腕でも独りでは政権交代は果たせない。親小沢、反小沢にこだわらず、政策立案にたけ、いかに分かりやすく説明できるかの能力優先の人事が肝要だろう。
小沢氏は会見で総選挙について悲願の政権交代へ「厳しい状況だ」との認識を述べた。その通りである。やはりここは愚直に国民と対話するしかあるまい。
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