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進相コンデンサの火災にご注意!

キュータ

 通常、交流200Vの動力電源を使用する機器の回路上にはコンデンサを設置し、電気機器の力率を向上させ、消費電力を抑えています。これを進相コンデンサといい、主に工場や作業場などのモータを有する機器等の回路上に多く取り付けられています。
 例年、この進相コンデンサから出火する火災が梅雨の季節から暑さの続く9月にかけて多発する傾向が見られ、本年もすでに18件(8月20日現在)発生しています。
 東京消防庁では、暑さもまだまだ続くことから、進相コンデンサからの出火防止について注意を呼びかけています。

【進相コンデンサ火災の特徴】

 過去5年(15年から19年)の月別発生状況をみると、6月から9月の4ヶ月間で全体の73.5%の火災が発生している。(図1)
 設置経過年数の判明したもののうち、83.3%が設置後30年以上経過している。(図2)
 出火した用途の45.9%が工場・作業場である。(図3)
 出火原因は、ほとんどが内部の絶縁劣化により発熱し、出火したものである。
 一般的な電気機器と違い、それ自身が動かなくなるなどの症状が見られないため、故障や劣化が分かりにくく、また、回路上の機器等が使用されていなくても電圧は常時印加されている場合が多く、早朝や夜間などその場に人がいないときに出火する事例も見られる。

【進相コンデンサの火災を防ぐために】

 コンデンサから出火する火災を防ぐためには、概ね10年以上経過した進相コンデンサは専門業者による点検を受け、計画的に交換することが必要です。
※ 社団法人 日本電機工業会では10年を更新推奨期間としています。
 (社団法人 日本電機工業会 TEL 03−3556−5885)

年別発生状況

  火災件数 火 災 種 別 焼損
床面積
(平方メートル)
焼損
表面積
(平方メートル)
死者(人) 負傷者(人)
建 物 火 災 その他
全 焼 半 焼 部分焼 ぼ や
平成15年 9 2 6 1 27 66 1
平成16年 27 1 1 3 18 4 699 10 1 1
平成17年 22 2 1 4 14 1 329 178 3
平成18年 18 1 3 13 1 214 65 3
平成19年 22 3 19 12 1
平成20年 18 2 3 13 214 100 5
注) 平成20年中の数値は8月20日現在の速報値で、後日変更される場合があります。

【資料】

※ 進相コンデンサについて

 モータ等のコイルを含む電気機器に交流電力を加えると、電圧と電流が周波数のタイミング(時間)でずれてしまい、皮相電力(見かけ上の電力)と有効電力(実際の使用電力)に差が発生し、効率が低下することによって消費電力が増加します。進相コンデンサは、この差をなくし、電気機器の効率を向上させ消費電力を抑えるもので、主に作業場や工場のモータを有する機械等に多く設置されています。

表1 月別発生状況

  合計 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
合  計 98 3 2 - 5 4 18 19 22 13 9 1 2
平成15年 9 1 - - 1 - 2 1 4 - - - -
平成16年 27 - - - 2 2 2 8 5 5 2 - 1
平成17年 22 1 - - 1 2 5 4 3 3 2 1 -
平成18年 18 1 - - 1 - 3 3 6 1 2 - 1
平成19年 22 - 2 - - - 6 3 4 4 3 - -
平成20年 18 1 1 - 2 - 2 9 3 - - - -

表2 経過年数別発生状況

  合計 10年
未満
10年〜
19年
20年

29年
30年

39年
40年
以上
不明
合  計 98 1 4 2 31 4 56
平成15年 9 - - - 3 1 5
平成16年 27 1 - 1 9 3 13
平成17年 22 - 2 1 5 - 14
平成18年 18 - 1 - 7 - 10
平成19年 22 - 1 - 7 - 14
平成20年 18 - 1 - 10 1 6
注) 平成20年中の数値は、8月20日現在の速報値で、後日変更される場合があります。
合計欄の数値は、平成15年から平成19年の5年間の合計です。

※ 火災事例

出火年月 平成20年7月 15時ごろ
出火場所 大田区内
構造・用途 その他構造1/0 作業場
焼損程度 建物全焼 1作業場 21平方メートル(全焼) 2事業所兼住宅 12平方メートル(部分焼)
火災概要  1階作業場内のスチーム乾燥機用の進相コンデンサが、長年の使用により絶縁が劣化して発熱し、出火したものと推定される。隣接建物の居住者が作業場の軒下から煙が出ているのを発見し、作業場の関係者に知らせ、知らされた作業場の関係者が火災を確認後、119番通報した。なお、製造年は銘板の焼損により不明であるが、関係者の供述では設置後35年経過している。

図1 過去5年間の月別発生状況

図1 過去5年間の月別発生状況

図2 過去5年間の経過年数別発生状況

図2 過去5年間の経過年数別発生状況

図3 過去5年間の用途別発生状況

図3 過去5年間の用途別発生状況

写真 分電盤の焼損状況(丸印:焼損した進相コンデンサ)
分電盤の焼損状況(丸印:焼損した進相コンデンサ)
写真 焼損した進相コンデンサの拡大状況
焼損した進相コンデンサの拡大状況

写真 進相コンデンサ内部の焼損状況
進相コンデンサ内部の焼損状況

問い合わせ先
東京消防庁
TEL 03-3212-2111
広報課報道係(報道関係の方)内線2345
調査課資料係 内線5374


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