国会議事堂にほど近い東京・赤坂の繁華街のはずれ。夕暮れとともに、和風の二階建ての料亭に黒塗りの車が次々横付けされ、バッジを着けた国会議員が入っていった。
福田康夫首相の突然の退陣表明を受けた自民党総裁選へ向けて先週、派閥が会合を繰り返す姿が見られた。派閥の機能低下が言われて久しいが、総裁選びの基本単位として派閥が一定の役割を果たし続けていることは確かだ。
派閥主体だった総裁選の転機として、二〇〇一年選挙が思い出される。最大派閥の力をバックにし、職域団体の強い支持も受けた故橋本龍太郎元首相が本命視されていた。
だが、党員による予備選の地方票から、小泉純一郎元首相への支持が大きなうねりとなった。派閥の力学や締め付けがきかず、橋本氏の陣営がなすすべもなかったのを、当時取材で目の当たりにした。
「派閥で総裁候補を決める時代ではない」「派閥で候補者を立てて戦うことが活力となる」。今回の総裁選に向けた派閥の会合でも、さまざまな意見が聞かれ、派閥の関与のあり方が模索されている。
「ワイドショー的な興味ではなく、きちんとした政策論争をしなくては」とある岡山県選出議員が強調した。どんな総裁選になるか、じっくり見極めることが、次期総選挙での投票の参考になる。