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【町猫浪々】人の輪が自然に生まれた丸の内 (1/2ページ)
先ごろ、久しぶりに東京駅丸の内中央口に出てがくぜんとした。一帯が大規模な再開発の真っただ中。赤れんがの駅舎は高いフェンスで囲まれ、駅前の公園の木々は一本残らず切られて工事現場と化していた。
あまりの変わりように立ち尽くしていると、かつてその公園と駅舎に複数の猫が住み、また、それらを世話する人々がいたことが、夢だったのかと思えてきた。
2000年の春、その公園で目を病んだ子猫の世話をしている3人の男性と出会った。彼らはそこに捨てられた猫と、駅舎内に住みついた猫の世話をするために遠方から来ていた。
毎日通い続けて8年になる女子高校の英語講師Mさん、毎週末に訪れる先輩格の会社員Sさん、そして写真家のOさんである。Mさんは、ここで車にひかれ、重い障害を負った「ナオミ」を引き取って暮らしていた。
その後、八重洲口で洋品店を営む女性Kさんと70代の婦人Oさんとも知り会った。
彼らは毎日の餌やりと周辺の清掃、健康管理などを献身的に行っていた。
そんな折、ある雑誌の取材で、私に公園の猫を撮る機会が訪れた。その写真を見て、ふたりの若い女性が加わった。そのひとりKさんは写真大学の学生で、捨てられたばかりの子猫「サクラ」の成長を撮り続け、後に自宅に保護する。