現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 事件・事故
  5. 記事

焼酎ブームに冷や水、メーカーは怒りの声 事故米偽装

2008年9月8日22時0分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真「とんでもないことをしてくれた」と、事故米を食用として出荷していた三笠フーズに怒る西酒造の西陽一郎社長=8日午後1時2分、鹿児島県日置市吹上町

 焼酎ブームが思わぬ形で足を引っ張られた。米販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)による工業用「事故米」の食用への偽装問題。知らずに購入していたメーカーや業界からは、同社に対する怒りと戸惑いの声が上がった。

 「とんでもないことをしてくれた。損害賠償を求めたいくらいだ」。看板銘柄の芋焼酎「薩摩宝山(ほうざん)」を一升瓶約30万本分も回収するはめになった西酒造(鹿児島県日置市)の西陽一郎社長は憤った。

 黒糖焼酎の喜界島酒造(同県喜界町)。上園田慶太社長も「寝耳に水とはこういうことか。裏切られた思いだ」。工場内に貯蔵している事故米を使った原酒は一升瓶で47万1300本分にもなる。検査結果を踏まえて今後の対応を検討するという。

 「事故米が使われた銘柄を公表しろ」「もう焼酎は飲まない」。同県酒造協同組合には、そんなメールが寄せられた。8日、緊急会見した吉野馨専務理事は「焼酎は安全で健康的というイメージがもろくも崩れた」と頭を抱えた。

 福岡県粕屋町の光酒造の光安直樹社長(61)は「毒のあるものを食用に回すなんて言語道断だ」と厳しい表情を浮かべた。この日は農林水産省からの電話と報道陣の取材に加え、取引先からの問い合わせも殺到。社長と数人の従業員らが対応に追われた。米焼酎や米こうじの麦焼酎6品種に事故米を使った可能性があり、8日から全商品の出荷を止め、一部は回収を始めた。

 怒りの矛先は農水省にも向けられた。「小さな企業では仕入れのたびに検査をするのは難しい。米の安全と流通を担う国が汚染された米を食用ルートに乗せ、さらに見逃した。職責を果たさずして何のための役所なのか」

    ◇

 福岡県は8日、九州農政局と合同で、三笠フーズ九州工場に食品衛生法に基づく立ち入り調査を実施。事故米の購入や加工品の製造量などの台帳の提出を受け、流通先の全容解明を急ぐという。

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内