運転代行業者を頼みながら、最後の最後に自分でハンドルを握ったために酒気帯び運転などで検挙される事例が各地で毎月のように起きていることが分かった。東京都中央区のNPO法人「アルコール薬物問題全国市民協会」(ASK)が調査した。今成知美代表(52)は「代行業者を頼んで気が緩んでしまう実態が浮かび上がった」としており、「代行を利用するなら最後まで」を肝に銘じる必要がありそうだ。
06年9月~08年4月に起きた運転代行とかかわりのある酒気帯び、酒酔い運転事件64件を新聞記事などから抽出して、独自に分析。うち18件が、自宅近くのわずかな距離を運転して検挙されていたことが分かった。
運転した理由や状況は、道が狭く気の毒なので自宅まで20~30メートルの所で運転を代わり、物損事故を起こした(07年1月、静岡県)▽酔って約500メートル離れた家を自宅と間違え、業者を帰してしまったため(08年2月、宮城県)など。山形県では06年10月、女性教員が「自宅を知られたくないから」と最後の数十メートルを自ら運転し、摘発された。
業者の運転で自宅へ帰ったのに、コンビニエンスストアへの買い物など「やぼ用」で運転したケースも10件。逆に、業者との待ち合わせ場所まで車を移動させようとして検挙された例も3件あった。
ASKは25年前から、未成年者の飲酒防止や一気飲み、飲酒運転の撲滅など幅広く活動。今回は、代行業者を頼んだのに飲酒運転で検挙されるドライバーが目立つことに気付いて調査した。今成代表は「飲む前に業者を手配したり、車庫入れまでしてもらう心掛けが必要」と指摘している。【珍田礼一郎】
2008年9月8日