救急医療週間(7〜12日)にちなみ、紀南各地で消防本部や医療機関などが事故や災害を想定した訓練をしたり、救急医療の業務に理解を求める街頭啓発をしたりしている。現場再現、救命技能競う 医療関係者ら200人 白浜町の平草原公園では6日、医師や看護師、救急救命士でチームを組み、さまざまな救急現場を再現して救命技能を競う「メディカルラリー」があった。ラリーの運営を手伝った人や見学者も含め医療関係者ら約200人が、競技を通じて互いに技能を高め合った。 メディカルラリーは、医療チームが救急現場に出動したと想定。決められた時間内にさまざまな救急現場の状況を判断し傷病者を救命する各過程での対処の仕方を客観的に点数化して競う。チェコで救急隊の競技としてスタートしたとされ、国内では2002年に始まった。 県内では05年から毎年1、2回開いており、今回が通算5回目。県立医科大学にある和歌山救急症例検討会が主催、白浜町と同町消防本部、県防災航空隊が共催した。 高速道路での交通事故や小型飛行機の墜落事故、分娩室以外での出産など公園内の5カ所にそれぞれ異なる救急現場を設定。出血や打ち身など本番さながらの化粧をほどこし、体をけいれんさせる模擬患者に、救急医療チームが職種を超えて連携・協調して対応。約30分の制限時間内にどれだけ適切に措置できるかを競った。 参加したのは海南市、和歌山市、田辺市、湯浅・広川町の4チーム。4人でチームを組んだ。衝突事故の現場では傷病者の人数や症状の確認、症状によって治療の優先順位を決めるトリアージ、刻々と容態が変化する患者への対応に、採点する医師も含め全員が真剣な表情で臨んだ。 運営を手伝った南和歌山医療センター(田辺市)の川崎貞男医師は「職種を超えて協力し合うことで、互いに協力して頑張ろうという取り組みの輪が広がる。日ごろからさまざまなケースを想定した医療を考える契機になるし、運営を支えるスタッフも勉強になる」と評価した。 医療チームの一員として参加した田辺市消防本部の救急救命士(42)は「今後の取り組みにつながる貴重な体験だった。われわれと医師の目線で救命できる人が増えると感じた」と話した。正しい理解を 上富田や田辺で街頭啓発 上富田町では8日、上富田消防署が町税務課職員の伊藤真帆さん(20)を一日救急隊長に任命し、救命応急手当ての正しい理解などを呼び掛ける街頭啓発をしたり、救急訓練を披露したりした。 伊藤さんは上富田町役場で「一日救命隊長」の任命を受けた後、町内のスーパーマーケット「スーパーセンターオークワ上富田店」と「Aコープ紀南アピア」前で「救急医療週間中です」と買い物客らに啓発用のティッシュペーパーを配った。 60代の男性が突然倒れたと想定した救急訓練も披露した。伊藤さんは自動体外式除細動器(AED)を運んで人形に装着したり、点滴を高い位置で持ったりして訓練に参加した。 田辺市でもこの日、市消防本部や市医師会などでつくる「田辺市救急医療週間推進協議会」が女性消防団の津田康代部長を一日救急隊長に任命し、街頭啓発をした。11日には救急功労者の表彰式、13日には救急講習会、14日には田辺市稲成町のスーパーに救急体験コーナーを設置する。白浜消防本部も行事 白浜町消防本部は9日、白浜町の5カ所とすさみ町内の1カ所で救急医療の理解と協力を求める街頭啓発をする。 また、12日午後3時〜4時半に白浜はまゆう病院で救急症例検討会を開き、9、12、13日にはすさみ町役場で、11日にはすさみ町社会福祉協議会で、それぞれ普通救命講習会を実施する。