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入院患者の身体拘束は違法 逆転勝訴、全国初と評価


 愛知県一宮市の病院に入院した岐阜県大垣市の女性=当時(83)=が病院のベッドに身体を不当に拘束され苦痛を受けたとして、家族2人が、病院を経営する医療法人「杏嶺会(きょうりょうかい)」に600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、名古屋高裁であった。西島幸夫裁判長は、請求を棄却した1審判決を変更、違法な身体拘束があったと認め、計70万円の支払いを命じた。

 原告側代理人は「医療機関や介護施設での身体拘束を全国で初めて違法と認定した画期的な判決だ」と評価した。

 判決理由で西島裁判長は「拘束しなければ重大なけがをするという切迫した危険性があったとは認められず、ほかの措置にも十分に代替可能で拘束は違法」と述べた。

 判決によると、女性は2003年10月、腰痛で一宮西病院に入院。深夜に病院内を徘徊(はいかい)する症状があり、看護師はひも付きの手袋でベッドに拘束し、女性は手首などにけがをした。06年9月に死亡した。