【静岡】廃線の軽便鉄道「駿遠線」地図で再現 御前崎の阿形さん作製2008年9月7日
袋井−藤枝間を結ぶ軽便鉄道として長い間親しまれた駿遠線の研究に取り組んでいる御前崎市池新田の阿形昭さん(49)=菊川市内田小教諭=が、同線の廃線跡地図を1000部作製した。最終区間が廃止され約40年がたつ今、当時を懐かしむ世代を中心に喜ばれている。 (中野吉洋) 軽便は線路の幅が狭く、車両も小さい鉄道で、駿遠線は1913(大正2)年から70(昭和45)年まで営業。地域の足として大いに活躍したが、自動車に押されて廃線の運命をたどった。10年以上研究を続ける阿形さんは「関心を持つ人が年々増えている。廃線跡をたどってみたいという声も多く、地図づくりを思い立った」と語る。 実際に歩いて調べた内容や、集めた資料などをもとに、廃線跡のルートや駅跡を5万分の1の地図に記した。1936年に廃止となった岡部町までのルートも加え、全長69・4キロに仕上げた。 訪ねた沿線には、往時の駅名紹介板や関係の石碑、線路の枕木を活用した橋など、随所に駿遠線の面影が息づいていた。阿形さんはお勧めの「駿遠線十二史跡」として唯一のトンネル「小堤(こづつみ)山トンネル(牧之原市)」や当時のプラットホームが残る「五十(いご)岡駅(袋井市)」などを、写真を交えて地図上で紹介。ウオーキングやサイクリングにも活用できるように、歩行・走行できない部分も丁寧に記してある。 阿形さんは「軽便を通して昔を懐かしんだり、忘れかけていた場所を思い出す人もいる。良い地図が出来上がって満足」と話す。地図は希望者に1枚500円で配る。問い合わせは阿形さん=電0537(86)5414=へ。 駿遠線 全盛期の営業距離64・6キロは、軽便鉄道として日本一長かった。第2次大戦中に中遠鉄道(袋井−掛川)と藤相鉄道(藤枝−牧之原)が合併。車の普及とともに廃線の区間が次第に延び、1970年に最終区間(大井川−新藤枝)が廃止となった。
|