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【話の肖像画】「反日」「嫌韓」って何だ(1)早稲田大客員研究員・洪ヒョンさん
■火をつけているのは誰か
−−「竹島」の問題や北京五輪閉会式での「日本海」呼称問題…。韓国での反応を見ていると、日本人はウンザリしてしまう。「いつまでこんなことが繰り返されるのか」と
洪 日韓両国の間には、いつでも火がつく問題が3つあります。「独島(竹島)」「教科書」「慰安婦」です。とりわけ領土問題(竹島)は、どこの国でも感情的になる。それなのに問題を管理する中心がなかった。このままでは「反日」「嫌韓」はいつまでも、繰り返されるかもしれません。
ただ、問題は「誰かが火をつけている」ということですよ。日韓両国の接近や発展を何としても阻止したい、未来に向けての良好な関係を望まない勢力が韓国の中や日本の中にいる。韓国で言えば、“民族統一”の欺瞞(ぎまん)を振りかざして北朝鮮の金正日と手を組んでいる左派・共産主義勢力がその代表です。日本にもそれに呼応する勢力があり、国外にもいます。
−−でも、韓国では何かあると日の丸を焼いたり、日本大使館に卵を投げつけたりする人たちがいるでしょう
洪 そんな人たちはごくわずかですよ。ソウル市民の0・1%にも達しません。彼らを煽(あお)る勢力があり、日韓のメディアがそれを増幅させて発信する。「意図的」に作り出されたものなのに、知らずに踊らされているのです。今回の「独島」をめぐる騒ぎも不自然に感じられます。ちょうど北朝鮮の金剛山で韓国人女性観光客が北朝鮮兵士に射殺される事件があったでしょう。その事件に対する韓国内の反発を沈静化させたのが「結果的」に「独島」問題でした。実際、日本は独島を奪い返しに攻撃を仕掛けてきたわけでもありませんからね。冷静に考えれば「独島」よりも深刻で緊急なことはいくらでもあります。
−−そう思います
洪 「反日」は単純な感情ではなく、イデオロギーによるものだと気付くべきです。もし「感情」なら、戦後60年以上もたっているのだから、薄れて整理されて当然でしょう。そうならないのは、これが感情ではない証拠です。(喜多由浩)
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【プロフィル】洪●
ホン・ヒョン 1948年、韓国・ソウル出身。韓国陸軍士官学校卒。国防省、外務省に勤務。1980年代から2001年にかけ、在日韓国大使館の参事官、公使として、3度の日本駐在勤務を経験。03年退官、04年から早稲田大学客員研究員。オピニオン誌などで精力的な執筆活動を行っている。
●=榮の木を火