グラノワール王国はベルンに占領され、王族はモニカとエレナを残し、皆処刑された。
美しくまだ若いモニカとエレナは、「加工」を施し生き長らえさせられる事になった。

薬で乳房を肥大化させ、腹部にベルンの紋章の焼印を押す。
主要な間接を固定した後、四肢を切断された。
絶望と恐怖、激痛に襲われながらも、二人の王女は悲鳴を飲み込み、歯を食いしばって耐え切った。


変わり果てた姿となったモニカとエレナは裸のまま、ベルン帝国の王ブラドの玉座の両脇に備え付けられた。
切り落としたモニカの手足は玉座に取り付けられ、エレナの手足は軍配やステッキ等に加工された。

無様で屈辱的な姿で晒し者にされながらも、モニカとエレナは毅然とした態度を崩さなかった。

朝の作戦会議が終わり、人がいなくなったところで、ブラドが左右に置いてある王女達に話しかけた。
「へっ…そんな姿になってもまぁ、随分と済ました面が出来るんだなぁ」

モニカとエレナは、祖国を蹂躙し、家族を殺したこの男とは、一言たりとも口を利くつもりは無かった。
「ククク…その調子がいつまで続くかな…?次の進軍先はモニカ姫の通っていた魔法アカデミーのあるマルネアス王国だ…」
「子宮にポール打ち込んで、我がベルンの旗の代わりに高々と掲げて攻め込んでやるぜ」
「素っ裸のダルマになって、クラスメイトと再開たぁ傑作じゃねぇか、ガハハハハハ」

その光景を想像し、押し込めていた羞恥心が、じわりと蘇ってきた。
だがモニカは、それでも絶望に飲まれる事は無かった。

懐かしいマルネアスの魔法アカデミーを思い出す。
普段は生徒思いの優しい教師達が、一国の兵力にも匹敵する魔法を駆使出来る事をモニカは知っていた。
仲の良かったクラスメイトや先輩、後輩の中にも、天才的な腕を持つ魔法使いが何人もいた。

彼らならきっと、この悪魔のような男に負ける事は無いだろう。
私達がこの変わり果てた姿を晒すことで、彼らの心に火を付ける事が出来るなら…。
決意を新たに、モニカは毅然と真っ直ぐ前を見つめ続けた。