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あっぷるLINK:社会・地域 「ドクターヘリ」運航 /青森

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 ◇消防との連携を--出動要請の判断重要

 消防機関などからの出動要請を受けて医師らが救急現場に向かい、ヘリコプターの中や現場で患者に救命医療をする「ドクターヘリ」が来年1月にも運航される。青森市の県立中央病院(県病)の救命救急センターが充実するまで、八戸市の八戸市立市民病院で暫定運航する。同病院は、ドクターヘリ運航をどうとらえているのか。関係者の話や先行事例を紹介し、運用の課題を探った。【後藤豪】

 ■どう変わる?

 ドクターヘリの特徴は、要請から5分以内に離陸できる早さ。乗り込むのは救命救急センターの医師や看護師で、八戸市立市民病院は、医師5人、看護師7人が担う予定だ。同病院救命救急センターの今明秀所長は「(ドクターヘリを運航している)日本の現施設で最も少ない人数と同じ」と話す。

 ■へき地医療支援

 慢性的な医師不足に悩まされている青森県にとって、ドクターヘリは「へき地医療支援」の面でも期待されている。これまでも、県の防災ヘリ「しらかみ」で県病や八戸市民病院へ患者を搬送するケースはあった。県防災消防課によると、03年度に5件だった「病院間搬送」は、06年度に14件、07年度も16件--と増加している。

 ただ、防災ヘリには問題があった。へき地の医師がヘリに乗ると、患者を降ろした後、医師だけがタクシーなどで陸路を帰らなければならないケースもあり、その間、この医師がいる病院の体制は手薄になった。一部事務組合下北医療センター国保大間病院(大間町)の佐藤信彦事務長は、「丸1日つぶれることもあった」と明かす。

 ドクターヘリだと、へき地の医師がヘリに乗ることがないうえ、医師と看護師は患者を診療可能な病院に託した後はヘリで戻るため、同種の問題は解消される。今所長は「へき地医療の一部を助けることになる」と評価している。

 ■先行事例

 都道府県などが費用をまかなうドクターヘリは現在、13道府県に14機ある。東北初として今年1月から本格運航している福島県立医科大学付属病院(福島市)の出動回数は、8月末現在で114回。1~2日に1回のペースだ。

 今春、福島市から車で1時間半ほどの場所で交通事故が起きた。中年男性が骨盤骨折などの重傷で意識不明になった。だが、ドクターヘリで15分で現場に行き、同病院の救急の専門医が手当てをして命を救った。同病院の病院経営課は「ヘリの一番の目的は搬送することではない。現場に行き、そこで治療行為をすることだ。1時間半もかかる場所に15分で行けるなど、劇的な成果が出ている」と話す。

 ■課題

 一方、出動要請がないとドクターヘリは動けない。青森県医療薬務課は「現場で救急隊が判断するのが基本」としている。実践を積んでいる福島県立医大付属病院の病院経営課は「『ある程度、重症と思われる場合は呼んでください』と消防に頼んでいる」という。昨年6月と今年2月、ドクターヘリのデモフライトなどをして訓練を重ねてきた八戸市民病院も、消防との連携を考え始めている。今所長は「県内の全消防本部を回り、ドクターヘリの説明をしたい」と意気込んでいる。

 ほかにも、ヘリを降ろす場所の拡充や悪天候時の飛行の判断をどうするかなど、課題がある。今所長は「夜でも吹雪の時でも台風の日でも飛行する、というわけにはいかない。また救急の一部を担うため、万能ではない。しかし、命を相当助けられるのではないか」と期待している。

毎日新聞 2008年9月8日 地方版

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