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【主張】新型インフル 企業も真剣に対策を急げ

2008.9.8 02:48
このニュースのトピックス主張

 新型インフルエンザが発生した場合の民間企業がとるべき対策について厚生労働省が指針(ガイドライン)の改定案をまとめ、ホームページで意見を募っている。

 改定案は専門家会議で了承された。企業はもちろん一般からの意見も十分参考にして、より対策を立てやすい指針にしていきたい。

 厚労省によると、具体的対策をまとめている上場企業は10%にすぎない。企業も国の指針をもとに適切な対策を早く練り上げ、行動計画にすべきである。

 感染の拡大を抑える観点から、厚労省は発生の場合、一般企業には不要不急の事業の自粛を求める一方、電気やガスなどライフラインを担う企業に対しては業務の継続を要請している。

 改定案は、大流行(パンデミック)時に従業員の40%が数週間にわたって欠勤するとの具体的見通しを示したうえで、事業の自粛や継続のため、重要業務についてはあらかじめ絞り込んでおくよう求めている。

 大流行時の代替要員の確保や人材の配置、物資・現金の流通不足への対応など、検討すべき課題は多い。震災と違い、1年以上にわたって流行を繰り返す恐れがあることも忘れてはならない。

 新型インフルエンザは鳥インフルエンザのウイルスが変異して発生する。変異後は人から人へ次々に感染していく。ウイルスのタイプがH5N1と呼ばれる鳥インフルエンザはもともと毒性が強い。東南アジアや中国などで人への感染例が多数報告され、多くの死者を出している。

 感染症の専門家の多くが「H5N1はいつ新型に変異してもおかしくない」と指摘している。大流行すると、世界で最大7400万人、日本国内では最悪64万人が感染死すると推計される。

 しかも発生は季節を選ばない。対応は一刻の猶予も許されず、しっかりとした危機管理の態勢を整えておくことが必要である。

 備蓄しているプレパンデミック(大流行前)ワクチンを6400人の医療関係者らに事前接種する臨床研究も始まった。厚労省はワクチンの有効性と安全性を詳しく調べ上げ、接種対象を一般国民にまで拡大できるよう早急に検討を進めるべきだ。

 政府はワクチンを早く作る細胞培養技術の研究にも着手した。こちらも成果が急がれる。

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